言葉で、傷つき、言葉で悩み、言葉で勇気づけられる。
たしかに言葉で、物に名前を付けて、そのものがなくても、それを思い出し語れる。
未だに目にしたこともない人とも語り合うこともできる。
しかし、逆に言えば、私たちは言葉を通してしか世界と触れ合いができない。
あるものに名前を知ってしまうと、その名前を抜きにして、その物自体を眺めることが出来なくなる。
言葉を使う、私たちは人の思考の範囲をせばめ閉じ込める。
二度と自然界に混じりえない不純物になる。
悩まなくてもいいことに悩み、傷つかなくてもいいもの傷つく、みじめな動物だ。