風と僕の歩調

釣りが好きで、台所に立つ事が好きで、音楽が好きで、毎日の暮らしの中で感じたことを僕の言葉で綴ります

夏の高校野球

2010年08月07日 | 回想録
いよいよ全国夏の高校野球の開幕です。

数年前の事です。
やはり朝から暑い日でした。
新聞の高校野球地方予選の記事に母校の試合がある事に気付きました。

振り返ってみると、別に野球も有名校でなかったし卒業して何度も夏が通り過ぎていったのに初めて高校野球と結びついたのです。

ほ~今日試合があるのか・・・。
最初はそんな気持ちでした。

日曜日の朝、食事も終わりのんびりしていると、かみさんはパート、娘はプール
一人ずつお家から居なくなっていきます。

ふと、先ほどの野球を思い出しました。
もう一度新聞を引っ張り出して地方欄を覗きこみます。

隣町の市営球場で第一試合10時30分 3回戦。
確か当時の監督は、眼鏡かけてひょろっとした数学の先生、顔も浮かんできました。
いつも一回戦で敗退していたのに・・・三回戦か、2回も勝ったんだ。

行って見ようかな・・。そんな気持ちが頭をもたげてきたのです。

時計を見上げると今10時半。今始まったところです。
やっぱ遅いか・・・。
コーヒーを入れ暫くしてネットで速報をチェックすると、2回終わって2対1で勝っています。

今家を出て頑張って行くと・・・駅からタクシーで向かうとして・・。
考えながら洋服を着替え始めていました。


球場に辿り着くと、次の試合の選手と応援団、そして、父兄やボランティアの高校生達でごった返していました。
外からも、応援団の声援と吹奏楽の演奏、歓声と悲鳴が聞こえてきます。
500円で入場券を買うといざ球場の中へ。
試合は5回 3対3の同点です。
来て良かった。

陽射しを遮るものは何もなく球場を覆う熱気、そしてなぜか、夏草の香り。
芝生と土の匂いなのかもしれません。

母校側のスタンドに座ると周りを見渡します。

父兄かファンなのか、投手の一球ごとに声をかけています。
これさ、東京ドームのオレンジの集団より熱いかも。
攻撃する反対側のスタンドもバケツの水を撒き散らしてのパフォーマンス。
自分も、徐々に感情移入していつの間にか熱い声援を送っていました。

そして、この選手達も、応援している生徒も、あの校舎に通って、あの教室で勉強してるんだな・・・。そんなこと考えると、余計に親近感が芽生えてきます。

別の回路では、高校時代の友人の顔と過ごした日々が浮かび上がってきました。

そんな感情と、感傷が交錯しながら、試合は8回の裏に2点を入れられ3対5の最終回。
最後まで諦めない応援団のボルテージ、最後の打者のバットが空を切ると、それが大きな悲鳴に変わりました。

じわじわと悔しさが込み上げてきました。
周りを見ると、嗚咽が聞こえてきます。生徒も父兄も応援団も・・・。
近くのお母さんの溢れる涙を見つけたら僕も眼頭が熱くなり視界が遮られました。

甲子園に出場出来る選手だけが高校野球じゃない。
ここにも白球を追いかけた熱い3年間があることを知りました。

行きはタクシーだった道を、高校生活三年間を思い出して歩きました。
それほど遠く感じなかった道のりでした。


今年は、二回戦で敗退。タイミングが合わず行けなかったけどね。

コメント
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