堤防のある町 伊勢正三
さざ波が光る陽射しの中で
あの頃の夏を捜した
堤防にもたれたら
海が見えないだろう
せっかく帰ってきたのに
吹く風に止まるカモメのように
僕はまだこの町にいて
まるで木の葉が波にのまれてしまうような
都会で傷ついた君と
時が戻りそうで
夏が終わるまでの
ほんのひとときだけの
季節にまた出会っただけの 二人
海沿いのちっぽけなストア
陽にやけたあの日の二人
スパイクを持った君と
僕はまだユニフォーム
帰りにパンをかじった
君がかわりそうで
綺麗になりそうで
ずっとそばにいなけりゃ
言葉もかわってゆくだけの 二人
時が流れそうで
夏が終わりそうで
ほんのひとときだけの
季節にまた出会っただけの 二人
君がかわりそうで
綺麗になりそうで
ずっとそばにいなけりゃ
言葉もかわってゆくだけの 二人
甘酸っぱい夏の風景が浮かびます。