つづきです。
そして、黒い穴子の正体は・・・・。
「うなぎ」
天然のうなぎ。「かば焼き」「白焼き」「うな重」、「ビール」に「冷酒」
心は、釣りから食べることへ変わっていった。氷づけにして持ち帰ったうなぎを水桶に入れる。捌き方は、穴子と一緒、目打ちをして背開きにし、中骨とわたを取る。前はよく失敗したものだったが、今は手慣れたものである。
「・・・・・」
「・・・・・」
何か動いた・・・確かに、今、水桶の中で!!!
「わっ!わっ!わっ!」息を飲んだ。驚いた。
水桶の中であれよあれよと、死んだはずのうなぎが踊り始めたのである。
仮死状態だったのだろう。すごい生命力である。今まで蚊やゴキブリはやっつけた事はあるが、命ある動物を自らの手で直接殺生した経験はない。
出刃包丁を持ったまま妻を見た。
一歩退く妻。
「わたしは、や~よ!」と顔に書いてある。
踊るうなぎとにらめっこの挙句、僕はとうとう決心した。やってやろうじゃないか!
「飼えば~」と、変なこと言う妻を無視し、僕は腕まくりをした。
うなぎをつかむ、しかし、動くは、踊るは手から滑り落ちたうなぎは、床を這いまわる。妻も子供も悲鳴を上げて逃げまわる。阿鼻叫喚、驚天動地、うなぎも僕の決心を知ってか必死である。やっとの思いで、まな板の上にのせたうなぎの目を打つ。いささか残虐な気持ちになる。背を開こうとするがとてもきれいに包丁が通らない。とうとう小一時間の戦いで2匹を捌いた。
たっぷりと身を残した骨は油で炒めて骨せんべいに、昆布で出汁を取り肝吸い、身は蒲焼きにして鰻丼にした。
「残酷だ」何だとか言っていた妻と子は、美味しい、美味しいといって平然と食べていたが、僕は食欲がなかった。あの残虐な気持ちがまだ残っていた。
そして月日が経っても、
うなぎを口にするたびに、あの日を思い出す。
おしまい
写真は、
何年か前の・・・
仲の良かった時の?今も仲好いと思っている父親なのですが・・・
そして、黒い穴子の正体は・・・・。
「うなぎ」
天然のうなぎ。「かば焼き」「白焼き」「うな重」、「ビール」に「冷酒」
心は、釣りから食べることへ変わっていった。氷づけにして持ち帰ったうなぎを水桶に入れる。捌き方は、穴子と一緒、目打ちをして背開きにし、中骨とわたを取る。前はよく失敗したものだったが、今は手慣れたものである。
「・・・・・」
「・・・・・」
何か動いた・・・確かに、今、水桶の中で!!!
「わっ!わっ!わっ!」息を飲んだ。驚いた。
水桶の中であれよあれよと、死んだはずのうなぎが踊り始めたのである。
仮死状態だったのだろう。すごい生命力である。今まで蚊やゴキブリはやっつけた事はあるが、命ある動物を自らの手で直接殺生した経験はない。
出刃包丁を持ったまま妻を見た。
一歩退く妻。
「わたしは、や~よ!」と顔に書いてある。
踊るうなぎとにらめっこの挙句、僕はとうとう決心した。やってやろうじゃないか!
「飼えば~」と、変なこと言う妻を無視し、僕は腕まくりをした。
うなぎをつかむ、しかし、動くは、踊るは手から滑り落ちたうなぎは、床を這いまわる。妻も子供も悲鳴を上げて逃げまわる。阿鼻叫喚、驚天動地、うなぎも僕の決心を知ってか必死である。やっとの思いで、まな板の上にのせたうなぎの目を打つ。いささか残虐な気持ちになる。背を開こうとするがとてもきれいに包丁が通らない。とうとう小一時間の戦いで2匹を捌いた。
たっぷりと身を残した骨は油で炒めて骨せんべいに、昆布で出汁を取り肝吸い、身は蒲焼きにして鰻丼にした。
「残酷だ」何だとか言っていた妻と子は、美味しい、美味しいといって平然と食べていたが、僕は食欲がなかった。あの残虐な気持ちがまだ残っていた。
そして月日が経っても、
うなぎを口にするたびに、あの日を思い出す。
おしまい
写真は、
何年か前の・・・
仲の良かった時の?今も仲好いと思っている父親なのですが・・・