(散歩にて ノウゼンカズラ)
「愛の旋律」、何やら先に亡くなった渡辺淳一作品のタイトルの様だが、
今読んでいるクリスティー作品の一つです。
とは言え、これ推理小説ではなく、恋愛小説の部類に入る作品です。
クリスティーは結構昔から読んでいます。3年ほど前からは、すでに読んだものも含め
全作読破を目指して再び読み始めましたが、その時に、クリスティー作品に恋愛ものがあることを
知りました。
もっとも、今はクリスティー作品として読まれている恋愛ものも、発表当時は、推理小説作家
としてのイメージダウンになるのを避けて、「メアリ・ウエストマコット」という名前で発表したようです。
ここまで60冊近く読みましたが、そして、今回が最初の恋愛ものとなりました。
この作品が非常に評判になったということは聞いていませんので、多くの小説の一つ程度という
ことなんでしょうが、やはり、クリスティー作品の特徴が出ている気がします。
それは、イギリス文学としては「さらっと」していることです。
ディケンズの比較的多くと、E・ブロンテの「嵐が丘」程度しか読んでいないので、これでイギリス文学を
読んだ、とは言えませんが、いずれもイギリスの風土である「じめっと感」があります。
文学と言えるか疑問ですが、ローリングの「ハリー・ポッター」シリーズもそうですね。映画のイメージ
そのものです。
ところが、同じイギリスのクリスティー作品にはそれが無いですね。ポアロやミス・マープルなどの探偵も
どこかユーモラスな雰囲気すらあります。
そんなところが、クリスティーを飽きずに読み続けられるポイントかもしれません。
それなりの長編ですが、特別「著者は何が言いたいのか?」、と考えさせられるということなく、さらっと楽しむ
そんな作品、お勧めです。