(府中市郷土の森公園・修景池にて:美中紅(ビチュウコウ) 7月16日撮影)
『今朝の天気:雨』
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仏教真理の純粋性を追求したのが中国華厳でした。その中国華厳を実践面で継承したのが中国禅でした。「あるままが一番」中国禅思想の神髄でしょうか。
汚れた泥にも染まることなく、あるがままに泥田に美しく咲く蓮の花、最も中国禅にふさわしい花でしょうか。
中国華厳思想概要の整理が終わって1か月半ほど経ちました。少しお休みをいただき、少しづつ次の中国禅思想概要の整理をスタートさせています。ということで、整理が終わったところから順次ご紹介していきます。これまで同様、うまく整理が出来なく、「仏教の思想」の抜き書きになると思います。パスしていただくのが賢明な選択かと思います。泥田にはまってみようという方は、どうぞ???と思いながらお付き合いください。
今日は、本題に入る前に、いつもどおり、中国禅宗に関わった人物や組織を整理した系譜と、中国禅宗成立の要因をみていきます。
『仏教の思想7 無の探求<中国禅>』概要
-中国禅宗の思想-
1.中国禅宗の成立と発展
1.1.中国禅宗の系譜
中国禅宗に思想があったかという点になると、多少の疑問があります。中国華厳宗の概要でも取り上げたように、中国禅は中国華厳の思想的影響を強く受けています。華厳宗にも実践論はありますが、その実践方法は観念的な内容となっており、具体的な実践法はありません。結果としてそれは禅宗にゆだねられます。一方、禅宗は中国仏教の中で唯一思想的な背景となる仏典を持ちません。その点は華厳思想にゆだねることになります。つまり、思想面、実践面で華厳宗と禅宗は相互依存の関係にあったといえます。
とはいえ、宗派としての禅宗も、自派の発展のためには布教活動は必須であり、そのための背景となる思想が必要となります。ということで、仏典によらない禅宗の思想がどういうものであったのかを、以下みていきたいと思います。
前置きが長くなりましたが、中国禅宗(以下禅宗と称す)の思想を説明する前にまず、禅宗がどのように成立し発展したかをみてみたいと思います。
成立過程の説明の前に、禅宗の成立・発展に関与した主な人物と組織を系譜で示します。(下図1参照)
本著(仏教の思想7)では、禅宗の系譜については詳しく述べられていません。このため、上図は、ウキペディアなどのネットの情報も参考にして整理しています。
この図は、禅宗の宗派としての隆盛を中心に整理したものです。このため「思想」といった点を中心にとらえると、例えば、禅の二大祖師の一人である「行思」などは本著では登場しません。また、禅宗の伝説的な時代である正伝の時代も本著では詳しい説明はありません。(なお、「仏教の思想11 古仏のまねび<道元>」において詳しい解説がありますので、ご参照ください。過去記事)
思想面では、南宗禅の祖師「慧能」と北宗禅の祖師「神秀」、その後の主流となった南宗系の道一と神会が中心に中国禅が形成されます。以下、その内容をみていきたいと思います。
2.中国禅思想の成立
2.1.中国仏教と中国禅
①体用論とは
中国思想を考える上での重要な思想に「体用論」があります。それは同時に、中国的な仏教思想のもっとも基本的な概念といえるもの(「体用」とは本体と作用のことで、宋代の儒学者が用いた哲学用語)です。
「僧肇の『涅槃無名論(ねはんむみょうろん)』にみる「体用論」(表1)
②中国仏教諸宗の基礎にすえられた無の体用論
造物者の絶対性をもっともきびしく退けたのがブッダの宗教の出発でありました。一方万物の根源に形而上的な一者を認めることをたえず拒否しつづけてきたのは、ほかならぬ中国人の思惟でした。無の体用論は、そうしたインド仏教にも中国思想にももっていなかった独自の論理として、中国仏教の基礎にすえられました。
(無の体用論)
「主体的な無は、無といっても主体であるゆえに、つねに失われることがないもの、しかも失われることがない主体としての無がつねに有の世界にはたらく。
有の世界のすべてが、無のはたらきと見られるとともに、無はつねに有の世界にあることになる。→中国的な思惟では、有と無はつねに冥合し連絡している。」
③『大乗起信論』の出現と中国禅の形成
六朝末の『大乗起信論』の出現により、真如の体・相・用という三大の組織により体用論はよりいっそう強められることとなりました。
唐代の華厳学者はこれを現象世界の根源にある絶対的一者と考え、現象をその起動と解したのであり、そうした形而上的な真如の理解のうえに、やがて中国禅が形成されたのです。
まずは、お付き合いいただきありがとうございました。本日はここまでです。
次回は中国禅の成立過程をみていきます。まずは天台宗との関係をみます。よろしければ、引き続きお付き合いください。