えつこのマンマダイアリー

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憧れのピアノ協奏曲 ~及川浩治コンサート~

2010年03月19日 | 音楽

 昨日「サントリーホール」にピアノ協奏曲の演奏会を聴きに行きました。ピアニストの及川浩治Wikipedia)氏が2008年から取り組んでいる「協奏曲シリーズ」の3回目で、演目はリストの「ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 G.124 」とチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23」、指揮は広上淳一、演奏は新日本フィルハーモニー交響楽団 Wikipedia)という内容でした。

 実は、私の目当てはチャイコフスキーでした。第1番は、中2のとき初めて出会って虜になって以来、いろいろなピアニスト・指揮者・オーケストラの組合せで何百回となく(決して大袈裟ではありません!)レコードやCDを聴いてきましたし、ピアノ用の楽譜まで持っている入れ込みようなのですが、ライブ演奏を聴いたことがなかったのです。今回長年の夢が叶い、チケットを買った半年前から本当に楽しみにしてきました。
 
 全楽章のすべてのメロディーが口をついて出てくるほど曲を覚えてもいれば、一音でも違おうものならすぐにわかってしまうほどのリピーターです。「期待を裏切られたらどうしよう?!」という、不安と期待が入り交じった緊張で、身を硬くして聴き始めました。もう、ほとんど、自分がタクトを振っているような気分なのですもの!

 あまりにも有名な序奏部での演奏が曲全体の印象をかなり左右しますが、私の好きなテンポより遅めに始まったことと、最初のピアノの和音の響きが期待と異なり、「座席の場所(ステージに向かって右側の前から5列目)のせいかしら?」とか、「昨秋聴いたアンドレ・ワッツの演奏*があまりにパワフルだったからかしら?」とか考えていました。
 また、カデンツァの後に序奏部の主題が再び出てくるときの、ピアノのシンコペーションの連続和音がオケの音にかき消されてしまったことがとても残念で、私にとっては不安な出足だったのです。
 第1楽章の第2主題はかつて聴いたことがないほどゆっくりで、これにも驚かされました。

 ところがどっこい、及川氏の演奏は実に丁寧、かつ熱く重厚な演奏で、それは曲を追うごとに増していき...私はどんどん惹き込まれていきました。
 生の臨場感もさすがにすごいですね。残念ながら、ピアノに隠れて指揮者は見えず、ピアニストの手許も見えなかったのですが、顔はよく見えていましたし、CDでは聞こえてこない音や空気が感じられました。及川氏のうねる波のような熱い息づかい、弦楽器のボウのこすれる音、管楽器のカチカチいう音などが混ざり合い、さらにそれらが聴衆の“気”、“聴くエネルギー”と一体となり、会場全体に空気の渦ができるような感覚......私はいつの間にかすっかり演奏に魅せられていました。

 指揮者の意向なのでしょうか、第2楽章もやはり通常よりゆっくりで、宮本文昭さんの話を聞いたばかりだったこともあり、出だしは「この速度じゃ、フルートが息を持たせるのが大変だろうな~」と思いながら聴きましたが、実にゆったりとした、でも、良い意味での緊張感と集中力が持続した演奏でした。

 第3楽章では、第1主題が[2度×何セット]か繰り返されるので、ピアニストは弾き方にバリエーションを加えますが、及川氏の2度目の弾き方は初めて聴く演奏でした。オリジナルの楽譜では2音目にアクセントがついているし、通常の演奏はそれに忠実ですが、及川氏は小節最後の音にアクセントを置いて2回目のシンコペーションを強調するという、斬新な弾き方を取り入れていたのです。

 す、すみません、ついつい解説がマニアックになってしまいました。キリがない&鼻持ちならないのでこれくらいにいたしましょう。とにかく、演奏時間は一般より長めだったと私は思いますが、全体的にとても丁寧、かつメリハリがあり、なんといっても熱い演奏に、最初の不安はどこへやら、すっかり魅せられていました。演奏が終わると、全身が火照っていて、自分が演奏したかタクトを振ったかのように、汗をかいていました
 初めて生で聴いた憧れの協奏曲に魅せられ、本当に感激しました。ほぼ満員の聴衆の拍手は何分か鳴り止まず......魅せられたのは私だけではなかったのですね。

 アンコールはリストの『ダンテを読んで:ソナタ風幻想曲』。「協奏曲を2曲弾いた後、これを弾くの~?!」という選曲にさらにびっくり! またまた拍手が止みませんでした。及川氏はほんとに熱い演奏家なんですねぇ。

 * 記事にはできませんでしたが、オペラシティでアンドレ・ワッツ氏のソロの演奏会を聴きました。1階の最後列で聴いたにもかかわらず、地鳴りのするような、まるで会場が揺れるような、地響きがお腹にず~んと響くような重厚な演奏で、その印象が今でも耳に、体に焼きついています。
                
     (サイン会で私と握手しているワッツ氏です(#^.^#) by 友人撮影)

       ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

 ついでに、このエリア、「アークヒルズ」の画像をご紹介します。(★これより下の画像をクリックすると大きい画像や別の画像が見られます。※印がついた画像には裏に別画像が入っていません。)

            
         サントリーホール正面玄関前            テレビ朝日前

          
 (左)「アーク森ビル」前のコリダー (中央)サントリーホール・テレビ朝日側と「アーク森ビル」側の間のコンコース
 (右)コリダーから見上げた「ANAホテル東京」 

 恥ずかしながら、私め、「ARK HILLS」の「ARK」が「赤坂=『A』kasakaと六本木=『R』oppongiのつなぎ目=『K』notに存在することから頭文字をとってARK Hills」(Wikipediaよりコピー)とは知りませんでした! 英語の本来の意味にばかり気を取られておりました。そこかしこにアーチ形のデザインが施されているのは、さらに「arch」とかけたのでしょうか? 東京に生まれ育ったくせに、何も知らなくて恥ずかしいです


 またまた冗長な記事におつき合いくださり、ありがとうございました 



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2 コメント

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及川浩治さんのファンです。 (にりんそう)
2010-03-21 11:35:04
熱情のピアニスト、といわれる及川浩治さんの
演奏会に行かれたのですね。
私も彼大好きですよ。
男らしい強いタッチ、そして重厚さのあるピアニストですね。10大協奏曲シリーズが今まさに進行中ですよね。
5月に私も聴きに行きます。
私はショパン生誕200年にちなんだ、ショパンシリーズです。

アークヒルズってそういうところから取ったネーミングでしたのね。
私も知りませんでした。
返信する
にりんそうさんへ:にりんそうさんも? (takuetsu@管理人)
2010-03-21 14:31:49
にりんそうさん、いつもありがとうございます!

やはり及川さんもカバーしていらっしゃいましたか? さすがにりんそうさん、範囲が広いですねー。
5月のショパンの感想を、ぜひ聞かせてくださいね。
返信する

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