よれよれ日記

谷晃うろうろ雑記

国立神戸移民収容所

2016年05月04日 | 雑事万端

連休中日、高知県立美術館で大原治雄写真展を鑑賞。

http://kochi-bunkazaidan.or.jp/~museum/contents/exhibition/exhibition/2016/haruo%20ohara/haruo%20ohara.html

 

昭和初頭、高知県吾川郡三瀬村(現・いの町)から家族をあげてブラジルに移住し、農地を開墾し9人の子を大学に進学させた大原治雄。

農民写真家として現地で認められた抽象の域に達した作品群と、妻幸(こう)や子ども親類たちとのあふれるような日々を、写真家になった孫が「叙事詩」に構成している。

高知県ではこの写真展は「高知の移民文化発信プロジェクト」の一環と位置づけられている。

 

大原治雄の年譜に寄れば、神戸三宮から移民船に乗った、とある。

元の国立神戸移民収容所であり、現・海外移住と移民文化交流センターが跡地。

移民は収容され、長い船旅の生活訓練を受けてから、船出した。

石川達三の「蒼茫」。

幸い大原家のたどり着いた農地は肥沃でコーヒーなどの農園に成長する。

写真と出会って彼が最初に撮影したのは妻幸(こう)。

9人の子に恵まれ育てる。

60歳を過ぎ病を得て妻は亡くなる。

撮りためた写真から、9人の子それぞれに母幸の思い出のアルバムを編んだ。

自分のためにも幸のアルバムを作ったが、それは他の9冊よりずいぶん厚くなった。

90歳近くなって、大原も静かに亡くなるが、一度も日本に帰ることはなかった。

 

移民は、たくさんの写真と、たくさんの人を残した。

 

 

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