敷地の中に大きな岩が三つ四つあり、その岩の上に枯れ葉がつもり、それが土になり、その土に草がはえ、草が木になっている。
何十年もの間にその木も育ち、大岩の下の道を通る人間の上にうっそうと枝を茂らせるようになっていた。
先日の雨の後少し風が吹いたらそのうちの一本の木が倒れてしまった。
木は土に根を張っているつもりだったのだが、その土は所詮岩の上に降り積もった枯葉の分量しかないので、岩に生えた木が大きくなりすぎると、少しの雨と風で根がはがされてしまう。そういうことだったのだ。
何年も何年もその木の下を歩いてきて、いつかそうなるかもしれないと何度も思ったことがあった。それが現実になって、ああやはりと思うだけ。自分の身に直接は何の影響もなかった。
しかしもし木が岩からはがれ落ちたとき、岩の下に誰かいたら、私でもいいが、私の身内だったりしたら、そのときは「ああやはり」ではとても済まない。
今回は誰にもけが過ちはなかったが、果たしてそれで済ませていいのか。
それだけでなく、岩の上の腐葉土に生えた木、のようなものが、そのような分かりやすい形でなく、そこいら辺にゴロゴロしているのではないか、しらと思った。
美しい国、というのは、どんな土に生えた言葉なのかしら。
島国の岩の上にわずかに降り積もった枯葉の上でなければいいのだが。
何十年もの間にその木も育ち、大岩の下の道を通る人間の上にうっそうと枝を茂らせるようになっていた。
先日の雨の後少し風が吹いたらそのうちの一本の木が倒れてしまった。
木は土に根を張っているつもりだったのだが、その土は所詮岩の上に降り積もった枯葉の分量しかないので、岩に生えた木が大きくなりすぎると、少しの雨と風で根がはがされてしまう。そういうことだったのだ。
何年も何年もその木の下を歩いてきて、いつかそうなるかもしれないと何度も思ったことがあった。それが現実になって、ああやはりと思うだけ。自分の身に直接は何の影響もなかった。
しかしもし木が岩からはがれ落ちたとき、岩の下に誰かいたら、私でもいいが、私の身内だったりしたら、そのときは「ああやはり」ではとても済まない。
今回は誰にもけが過ちはなかったが、果たしてそれで済ませていいのか。
それだけでなく、岩の上の腐葉土に生えた木、のようなものが、そのような分かりやすい形でなく、そこいら辺にゴロゴロしているのではないか、しらと思った。
美しい国、というのは、どんな土に生えた言葉なのかしら。
島国の岩の上にわずかに降り積もった枯葉の上でなければいいのだが。