寒い~。
ぶるぶるぶる・・・。
うちは一日中
庭に出るダイニングルームのサッシが10センチほど開いている。
だから
常に入り込む寒風によって、
暖房効果が得られない。
が、仕方がない。
乗りかかった船ならぬ
乗りかかった猫だ。
猫たちが出入りできるようにするためだ。
黒の面積が広い黒白ママ猫と
白の面積が広い白黒子猫である。
子猫はたぶんメスだと思う。
二階の昼間は暖かい和室にいる。
夜中になると、巨漢のキジトラ猫が
サッシの開いたところにいて
「にゃ~ご。にゃ~ご」と鳴いて
親子猫を迎にくる。
最近
ママ猫のカラダの側面に
500円玉より大きな脱毛箇所があり
むき出しの皮膚に
赤チンみたいなのが塗られている。
片耳の先端部が不自然に縮れている。
火傷かなんかしたんだろうか。
先日うちの薄暗い廊下で
ママ猫が傍らで監視をする中で
子猫がなにやらはしゃいでいたので
のぞき込むと
その先に
一羽の小さな灰色のひな鳥がいた。
ひな鳥の真一文字にした口からは血が出ていた。
私はウルトラセブンに出てきた
宇宙で一番気の毒な怪獣の
『ギエロン星獣』を想起した。
裏になったり表になったりむぎゅと
バタバタしながら逃れようとする鳥を
子猫の手がむぎゅと押さえつけた。
「きみたち!」
私は声を叫んだ。
「きみたち、いかんじゃないか。ちゃんとごはんはあげているだろ?」
おお、かわいそうに。
なんの鳥だろう。
すると子猫は不思議そうな顔で私を見つめて
「なにか?」
と、キョトンとするのみなのである。
こりゃだめだ。
私はいたたまれなくなり
自分の部屋に引きこもったが...。
翌日
普段使用してない二階のじゅうたん部屋には
灰色の羽が散乱していた。
私は
杉田かおるの『鳥の歌』を口ずさみながら
コロコロを転がしながら、羽をはぎ取っていった。