はな兄の1分で読めるエッセー

ふと脳裏に浮かんだ雑感を気ままに綴った日記

モヤモヤした話

2024-01-31 00:03:18 | 

なんかヤフーのニュースで

内田洋と名乗っていた男が

ガンになって余命いくばくとなり

「三菱重工をはじめ連続企業爆破にかかわっていた」

東アジア反日武装戦線の一人と告白したという。

 

あ~思いだした。

確か上記の団体の一人が

ニッポン放送の番組オンエア中に

その時、パーソナリティだった

宇崎竜童に電話して

テロ事件に対する判決に対して

愚痴をこぼすというか

文句を言ってたんだよね。

いつだったかな。

 

今頃後悔してるだってさ。

 

風呂に入っていると

くもりガラスのサッシの向こうに

にゃーすけの輪郭が見える。

 

にゃんで待ってんの?

風呂から上がりサッシを開けると

いくぶん、ほふく前進するかのような

伏せ気味の姿勢でササっと逃げる。

チミは、埠頭を走るフナムシか。

あ~あ。

にゃーすけは、足ふきのバスマットの上に

鎮座していたから

潔癖症と言われるかもしれないが

そこに風呂上がりの私の足を乗せるのはイヤだ。

つーわけで

バスタオルをひく。

と。

そこに

キジトラ君が近づこうとしてくる。

「あっち行って!あっち。着替えるまでは」

あ~

キジトラ君は

バスタオルの上にのっかって

仰向けゴロゴロをするのだった。

ガクッ。

 

ところで

ガックリというか寂しいのは

肝っ玉母ちゃん猫が

顔をスリスリしようとする

にゃーすけやキジトラ君に対して

威嚇しパンチをくらわすようになったこと。

自立を促す

子離れというやつなんだろうけど

ウチにいる間は3匹とも仲良くやってほしいというのが本音。

 

ただし日本の一部の芸能人の母親ほど

息子にべったりべたべたべたべた

そこらへんの佃煮も顔負けぐらい

あまあまべたべたする必要はないけれど。

 

母ちゃん猫には

こういうありさまだから

ウチ以外でかかわる誰かにとっては

印象は良くなく

一時は故意か事故かはわからぬが火傷をさせられたが

それは

人間の物差しで考えるからそう思うのであって

野性の血が色濃く残る野良の世界では

母ちゃん猫は極めて正しい行動とみなすべきであろう。

 

とかく日本人

特に女性は、情動的に考え

すぐに行動を起こしてしまう。

 

女流棋士にもいるけど

ちょっと悪手を指して

それまでの大優勢が怪しくなってくると

カッと頭に血が上りテンションが高くなる。

右往左往

右に左へ

東へ西へ (by井上陽水)

バタバタバタバタする。

なんで女性って

すぐに

バタバタするの?

 

さて

「にゃーすけは、まだいいよ。

頼りになるアニキのキジトラ君がいるから。

僕には誰一人も友達がいないもんねえ」

お腹を撫でてやると

爪で私の右手の甲をひっかこうとした。

ワハハ、だいじょうーぶ。

捨てようと思っていた古い『鍋つかみ』を

両手にはめているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


最近気がついたこと

2024-01-16 17:26:07 | 病気

高校時代入院してたら

60代70代の同室の患者が

「最近さ、新聞で真っ先に読むのが死亡欄なんだよな」

「そうそう」

と、頷き合っていた。

私は

「へえ、そんなもんかいな」

と、今一つピンと来ていなかったが

最近になって、あの言葉が

心にズキンと突き刺さる。

 

 

ネットの有名人のニュースでも

突然死だのガンの話が多い...気がする。

いや、まてよ

最近特に(突然死やガンの)数が増えたということでもないんだろうから

たぶん

自分がそういうニュースに関心を抱きはじめ

ついつい視線を向ける回数が多くなっているから

すごく増えてきたような錯覚をしているのかもしれない。

 

ま、とにかく

明日は我が身

気をつけていて損することはない。

また、上記の当事者の

「あのとき、ああすれば結果は少しは変わっていたかも」

という言葉は貴重で

耳をダンボに目を皿のように注目すべきだと感じる。

自分にもいずれ参考になるかもしれない

と言ったら

イヤラシイ言い方になるが。

 

 

ところで

『江戸川不動尊唐泉寺』

をご存じだろうか。

ここは、ガン除けのご利益のある

お寺だそうだ。

住所は

江戸川区北小岩7-10-10

である。

 

 

実は...私は

 

8才(1969)から5年間

 

北小岩7-10-9

に住んでいたのだ。

えっ。

じゃアナタお寺の方?

と、問われるだろうが違います。

 

 

ここらは当時

自警会住宅という

2軒長屋の集合住宅群といえる一帯になっていた。

どんな住宅かというと

毎日、天井裏で

ネズミたちがドタバタと運動会をしている。

壁がひび割れていて

指でグリグリすると

粉を吹いて指がめり込む。

壁の中に植物の枯れたのが埋め込まれてる。

安っぽい白っぽいコンクリートみたいな瓦

木造建築というのは名ばかりで。

リンゴ箱の再利用かと見まごう板を

ミノムシのように張り付けただけの

時代劇のワンシーンで

高利貸しに踏み込まれ

病気のおとっつぁんと気立ての良い娘が暮らす

そんな住宅と言っても過言ではないボロ家である。

改修する予算が自治体や政府になかったわけじゃないだろうが

意図的に

ボロ屋にしておく必要があったのだと思う。

 

 

自警会住宅の人口はどのくらいなんだろう。

えーと。

1500人ぐらいかな。

全員が警察官およびその家族である。

ちなみに

江戸川の土手のすぐ近くだった。

江戸川堤を超えて

河川敷を見渡しながら

土手の上の道を下流方向に行くと

京成線の通る鉄橋があり

その鉄橋の下の河川敷に

『バタヤ部落』と私ら小学生が呼んでいた

ベニヤとかトタン屋根の家の集落があった。

 

いっちゃなんだけど

自動車所有率は自警会住宅よりも上かもしれない。

もちろんその中には

チリ紙交換や竿だけ屋の時に使用する商売道具の軽トラもあるが

高度成長期の終盤期の勢いもあって

普通の自家用車も数台

土手の上から眺めたりしていた。

一方、自警会住宅はめったに自家用車は見かけない。

そもそも置くスペースがない。

 

 

さて。

もしドローンが当時あって

ここらを上空から撮影したとしたら

 

『バタヤ部落』と自警会住宅の間に

江戸川堤があり

逆に後ろを振り返り、自警会住宅の背後に

一般住宅そして学校、駅、商店街が広がっている。

と。

この状況を冷徹に考えてみると

この自警会住宅というのは

バタヤ部落と一般住宅街との

『緩衝材』といったら変な表現だが

そういう役割を担わされてきたんじゃないだろか。

我々小学生は

夏休みの河川敷グラウンドでの

少年野球大会などで

交流はあったが

年配の人ではまだまだ

偏見で見る人が多かった時代だから。

したがって

その子ども、孫の世代になり

小岩~松戸あたりの

リサイクルショップやお掃除代行サービス会社

ビルメンテナンス会社などに衣替えし

当然、この部落もなくなった。

ほぼ同じころ

自警会住宅群もなくなったのだと推測される。

 

しかし

 

なぜ

 

ガン除けの寺が

私が住んでいたところにできたのかは

いまだ謎である。

 

 

 

 

 

 


野良の品格

2024-01-10 01:06:34 | 

仔猫って、不思議だよねえ。

つい一週間前ぐらいに

こ~んなに小さかったのが

ある日。

「アレ?いつの間にこんなに大きくなっちゃったんだろ」

って瞬間がある。

 

 

 

台所に向かい

皿に猫ゴハン(スマック)を入れていたら

いつのまにか足元に

にゃーすけがいた。

「わ~い」

てな感じで

ボクの履いているスリッパの上

足の甲に

乗っては降り

乗っては降り

まとわりついてくる。

 

日ごとに

だんだんと重みが増しているのがわかる。

 

これまでは

強気な母ちゃん猫がまっさきに

床に置いたエサの入った皿にがっついていた。

しばらく間をおいて

兄ちゃん猫のキジトラ君。

またしばらくして

ニャー介という順番だった。

きょうは珍しいことが起こった。

一回だけだったが

母ちゃん猫が譲り

キジトラ君がまっさきにさらに突進していった。

スマックの山盛りに

いろいろトッピングし

ちゅーるをまわしかけた御馳走だ。

 

野良業界のママ猫は

男勝りの肝っ玉母ちゃんと呼ばれるぐらいじゃないと

やってゆけないんだろな。

 

 

 

 


小説『ドンゾコ病院待合室午後9時10分』

2024-01-09 04:28:03 | 世の中

【この物語はフィクションで実在の人物・団体とは関係ありません】

 

 

「今どき消灯が9時なんて」と

眠れるはずがない人々が

薄暗い病院の廊下を歩き

一階総合受付待合室の片隅の席を陣取る。

ここは通称ドンゾコ病院。

社会の底辺に這いつくばって生きる

主に心の病を抱えてやってくる。

なお念を押しておきたいのはあくまでここは

ドンゾコ病院であり

ズンドコ病院ではない。

ドリフターズとは一切関係がないのだ。

 

 

前科持ちの看護師

キンタマの裏が白いアダルト男優

右足の人差し指と中指の接点の

人差し指側にできる角質層を指でつまんで

爪切りで切り落すことが趣味の男

彼は自分の足だけじゃなく

子どもの頃は妹の足も『狙って』いたという。

スベスベになった跡を指で撫でながら

ウットリする変態男。

『令和版・横山ヤスシ』と呼びたくなる

毒舌家であり、みなから面白がられている男。

主に彼が主導権を持って『座』が開催される。

 

ここはそんな

ひとくせもふたくせもある

落ちこぼれ野郎たちの吹き溜まりと化している。

 

「アメリカでは隣の席を確保すれば

ペット同伴もOKですが」

「アメリカだけじゃなくヨーロッパはもちろん

ほとんどの航空会社がOKです」

「なのになんで石田ゆりえは

そんなに日本中から

バッシングされなければならないのかわかりません」

「さあ。あくまで私見ですが、タイミングが悪かったと。つまりですね。

テレビのワイドショーで

能登地方の地震の悲惨な状況が映し出される。

死亡200人に迫り行方不明もそのぐらい。

がれきの下で「家族を頼むと言い残し」命を落とした夫。

寒い中で

配給品に列を作る人々の疲れた表情

それらのシーンを観て

同じ日本人として

人命の大切さ尊さを

全身をわなわなとふるわせつつ痛感して

一方ではまた同時にテレビの前の自分が

被災者に対し

どうにもできないもどかしさ、やるせなさが

フツフツメラメラと湧きおこってるわけです。

「なにかたとえ微力でも彼らの身に寄り添うことをしたい」

切実にこういう義侠心にもえさかるわけです。

と。そんなときに

テレビ画面が切り替わり

石田ゆりえが登場して

「ペットを

ケージに入れて飛行機内に同伴させてほしい」

という若い女性の発言が

石田ゆりえをバッシングするネット民。

倉田真由子。夕刊紙の『肉感ゲンダイ』などにとっては

(この重大な人命の危機が叫ばれている中)

とてつもなく甘っちょろい、能天気な考えのように思えてしまう。

なにせ『人命』に燃える人々だ」

 

日本航空のCAさんは頑張って

乗客の命を救った。

なのにその恩に砂をかけるような発言許すまじ

人命が大事だ

人命を優先だ

人命だ

貴様も能登地方の厳しい状況を知ってるだろう

ペットが大事だなんてしょせん

おんなこどもが考えるようなふぬけたお嬢様の思考だ

なあんてという気持ちになる」

能登地方の人々になり替わって

断固、ワタシは、オレは人命人権を守り

社会正義道徳の戦士になって

その敵、すなわちこの人命軽視能天気お嬢様女優を

言葉のつぶてで血祭りにしてやったろと

うでまくりし、舌なめずりし

ゆりえ嬢にバッシングを繰り返すんだろうと思うんだよね」

「異議ナーシ」

「ナンセンス!」

出席者からは次々に呟きが漏れ出くる。

 

「ネット民も倉田も肉感ゲンダイ編集長も

外国の航空会社では

石田ゆりえのいってることが

なんら常識外れではなく

ペット同伴が施行されていることは知っているんでしょう?」

 

「さあ?」

「すっとぼけているんじゃないですか」

「脱税がバレた時と同じように?

『全然知らなかったですぅ』って」

 

 

「ただひとつ

これだけは声を大にして

言いたいのはですね。

こいつらは信じられないほど

自分に甘く他人に厳しいってことです。

そりゃ誰だって

自分に甘い、他人に厳しい面はありますよ。

私だってもちろんそうです。

 

ですが

脱税漫画家や

嘘八百どころか嘘八百兆の夕刊紙にですよ

えっらそうに

「人命優先じゃないか」

と、大上段に構え

(誰も異を唱えられないような)『人命優先』の言葉を記した

水戸黄門の印籠のごとき印籠を

「ひかえおろう!」

と、ふりかざされたら

俺だったら

 

『フザケルナ!』

 

って映画『ライジングサン』の

ショーン・コネリーの様に発しますよ」

『どんな正義も

アンタにだけは言われたかねえ』ってことありますよねえ」

 

『肉感ゲンダイ・デジタル』の書き方が

ホントむかつくの。

『あらあら。石田のお嬢ちゃんは、いつまでそんな不思議な論理をおっしゃる

不思議ちゃんなのねえ。万年女の子なのねぇ」

みたいな感じの

すっごいバカにした

おちょくった見出しなの」

「何様なんだよ」

「なあ」

「腹立つ~」

「この編集部の粘着性いじめ的なウソ記事を書く記者たちって

ひょっとして子どもの頃、イジメられたタイプなんじゃないの」

 

「念のためにに言うけどさ

石田ゆりえが美人だからって、肩を持ってるわけじゃないよ。

もし、大久保佳代子だったとしても坂本美雨だったとしても

同じように俺は憤然となったぜ」

「『飛行機にペット同伴問題』が

『職場に子ども同伴問題』と同じように盛り上がればいいのに。

あのときは、林真理子対アグネス・チャン。

今回は、倉田真由子対石田ゆりえ」

「前回は結局どちらに軍配が上がったの?」

職場に託児所があるのが普通になってることから

アグネスじゃないの。

でも、オジサンが読む夕刊紙や週刊誌はみんな

林真理子の味方だったでしょ。

その当時の編集部のジジイは

今どういう弁解を言うつもりなんだ」

「だからぁ。いつものすっとぼけに決まってるじゃん」

「今回も同じような結果をたどるんだろう。世論も状況も」

「そのとき、石田ゆりえに彼らは謝るのかな」

「謝るわけないじゃないですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「肉感ゲンダイって

これまでの何十年の歴史の中で

一つの記事もウソの内容はありません

って言い張ってるの?」

「まさか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「だけどさあ。よく考えれば

羽田の飛行機事故でさあ。

乗客全員の命が救えたのは不幸中の幸いだけど

よくよく考えてみれば

乗客たちは被害者ですよ。被害者。予定通りであれば

到着先で旅行を楽しんだ人もいるでしょう。

引っ越し先で荷物を整理してる人がいるかもしれません

出張先で新しい職場の仲間と飲んでいる人もいるかも

あるいは

大学受験に親子で乗った客もいた。

むろん家族同然どころか家族のだれよりも大事なワンコやニャンコ

それらの人は予定が全く狂ってしまい

所持品はすべて焼失し

かつ

家族同然どころかどんなかぞくより自分の命よりも大事とさえ思っている

愛犬を焼き殺された

正真正銘の大被害者ですよ」

「なのにたった今、能登の映像を観たもんだから

能登の悲惨な状況に比べればまだましな

なにかこの

日本航空の的確な対応によって

九死に一生を得られた

ラッキーな人々みたいに思われる。

はてまたは

「ケージに入れてのペット同伴を認めて」

と述べた石田ゆり子に

人命を軽視した

常識外れの

 

 

 

 

 

 

 


そういえば

2024-01-03 03:28:30 | 病気

母はステージ4のガンだった。

 

初めのころの診察のK医院は

市役所に勤めている弟が

市役所職員の健康診断を行ったという理由で信用して選んだ。

何度か通院したが

医師は「胃炎だ」という主張を曲げることなく

毎回大量のクスリを処方する。

一向に病状が良くならないので

「ちょっと怪しい」と

変更することを進めたが

なぜか母は「お客様」のように

弟に気を使い

メンツをつぶすわけにはいかぬとK医院に行こうとする。

ボクは

「頼むから。近くでいつもお母さんを観察してるボクの意見にも

たまには耳を傾けてよ」

と、おしとどめ赤十字病院での診察を提案した。

と、

そこで

S結腸に怪しいものがあり再検査となり

ボクは「ああ、やっぱり」

と予感は当たったのだが

その一週間後の

その肝心の再検査に行ったかと思ったら

その弟が割り込んできて

「あの病院、評判が悪いってうわさだからと再検査をキャンセルしてきた」

などとぬかすのである。

呆れてものが言えない。

再びK医院での通院が再開された。

弟としては

胃炎と思ったというより

胃炎ということにしておきたい

胃炎と言ってくれる医師がありがたい

いわゆる希望的観測だが

それが手遅れという取り返しのないしっぺ返しに帰ってくることを考えない。

いくらボクが横から

やいのやいの抗議しても

「はな兄はしょせん高卒で引きこもりで居候のぶんざいで

一流大学卒で結婚して公務員の僕に忠告するなぞ100年早いよ」

とばかり

「ふん」

と、とりあわぬ。

信頼も友達も金もない、

偏差値53程度の高校を卒業しただけの兄なんぞ

鼻くその役にも立たぬと思ってるようだ。

俺は入院のプロだよ。

入院生活や病院の見分け方については

たかが日本理科大卒業したぐらいで

エリートぶるな

わが一族のエース気取りの私の9歳下の弟である。

ちなみに

そのK医院。

医師は医院長のこの一人だけで

やたらアンバランスな数の女性看護師をハベラセテいる。

ホームページはやたら立派。

専門業者にギャラをはずんだのだろう。

最後の方に、やりもしない最先端『免疫細胞治療』のページ。

ホントにこの医院のスタッフかどうかわからぬ大勢の人々に

白衣を着せて、6段のひな壇に並べての

盛大な記念写真。

このホームページだけで怪しいことは明白ではないか。

 

もう勝手にさらせ!

 

その後、数か月たったころ

いつものように机に向かってパソコンをやっていたら

なにやら背後から変ないや~な臭いが漂ってきて後ろを振り返ると

笑顔の母が画面をのぞき込んでいた。

ボクはムッと咳き込み鼻をつまんだ。

母の口の中の臭いがここまで来るとは...。

笑顔だけに今日は比較的体調は小康状態なはずである。

それでいて、胃やその奥の方からの臭いがこんなにすごいなんて

ただごとじゃない。

「お母さん。ほら、コレ今検索した

水戸の済生会の病院。ここいいらしいよ」

ここの時点で

やっとボクの意見を取り入れてくれたんだけど。

 

結果は

ステージ4の小腸のガンだった。

大腸ガンは比較的発見されやすく早期発見で治療し完治できる確率が高い。

だが

小腸は長い長い渦巻きの腸の中心部にあり

発症自体珍しいが加えて、発見が極めて難しいという。

 

2017年7月母は旅立った。

 

ところで

二人の弟や妹は

とくに一つ下の弟は

母が弱ってる間

「ボクが(母の)遺産に興味津々であると信じきっていて

(自分が一番そう思ってるからこそ、ボクもそうだと思ってるんだろ。ばーか)

そればかりを気にして

電話で母へ

「通帳のあるところと暗証番号のメモは別のところで」

「兄に盗まれないよう気を付けてね」

なぞとさかんに忠告とやらをしている。

ちなみに

私は視力は悪いが、それを補うくらい聴力が発達していて

母の手に持つ受話器から

漏れ出てくる弟たちの声が

手に取るように聞こえてくるのである。

 

ここで確認のために

声を大にして述べたいが

 

私は母の遺産をあてにしたことがないし

いくらの貯金預金だかも

いっさい知らないし関心がない。

むろん通帳の場所さえも知らない。

いまだにいくらの遺産があったのかも知らない。

 

母の遺産は、私をのぞく

二人の弟と妹の3人で分け合った。

むろん私も法律上は25パーセントの権利があるはずだが

そんなもんは、金の亡者どもにはくれてやらあ。

 

もらったのは

135万円の生命保険と

この自宅の25パーセントの権利である。

一つ下の弟がマザコンなのか

両親の残した家と土地を売ったら

面影を消し去って寂しいと思ってるのか

ハンコを押す気持ちはさらさらないようで

兄妹4人の同意のハンコがなければ

私一人が

この家と土地を売っぱらいたいと思っても不可能なのだ。

かくして

空き家にするわけにもいかず

仕方なく押し付けられ住まわされている。

こんなボロボロの家でも

売れば

1100万ぐらいにはなって

手数料や何やらひかれても

一人200万円にはなるだろう。

 

200万円をもって

東京でアパートを借りて

人生の再スタートする

心の準備はできているのだが

なにせこの

男のくせに金に細かいクソ弟が

早く死なない限り

私の目論見は実現できそうにない。

 

こういう能天気で自己中で

こういうこと言ったらやったら、相手はどう気持ちになるかな

なんて

一切考えたことないやつに限って

不思議と元気で長生きするんだよねえ。

すごく人がよくて、気の使う人望の厚い人が

早世したりする。

昨年もそういう人多かったでしょ。

 

まったく

やるせない腹立たしい世の中だよねえ。

 

 

ところで

上記の3人の弟妹は

彼らの中でちょっとギクシャクすると

すぐに私について噂話をして

「ばかだったよねえ」

と、取り上げて喋っていればギクシャクはひとまず収まり

(即効型仲直り薬)として重宝されてるとのこと。

 

父や母の裏の顔も知らない

よき思いでしか持ち合わせてない人間に

何を言っても

「それは嘘だ」

とか

「やつあたりをしてる」

と、とんだヤブヘビになるのはわかりきってるからこれ以上は言うまい。

 

 

ボクが最初に死んでも

彼らに葬儀をされないように

民生委員に言伝をしておく。

一つ下の弟が死んだら

近所のスーパーで

ふだん580円の寿司の折り詰めを

798円のにして

舌鼓を打つと

密かに計画しているワタシである。