「野村前農水大臣が処理水を汚染水と言って
事実上解任だか更迭されたけど」
「だって確信犯だろ」
「本人は、うっかりとか言い間違えとか言い訳してたけど」
「そんなことあるわけねえべ。それにうっかりだったとしても、逆に
こんな大切な敏感な時にドジを踏む行為をしたんだとしたら
それはそれで『ブレーキとアクセルを踏み間違えて
店に突っ込んでしまった老人ドライバーみたいで危なっかしい)って
ことになるわけだろ」
「キミが確信犯だと思う理由は?」
「本人か、もしくは地元の後援会の人かはわからないよ。
地元の鹿児島県にとって福島県、すなわち昔の会津藩に
全国からの同情や、いや同情だけならまだしも
国の予算が増額されるというのは面白くないんじゃない」
「ああ、西南戦争の」
「西郷隆盛率いる薩摩隼人ら、、元会津藩士主力の新政府軍に
散々やられたのだから」
「でもさあ、その何年か前は、白虎隊の悲劇を含めて
薩摩主力の新政府軍に会津が散々やられているから」
「ただでさえ国の予算が、会津すなわち福島に
強力に注入されるのは癪に障るのにですよ、
よりにもよって
鹿児島すなわち薩摩出身の俺が農水大臣在任中に
いけすかぬ会津に
一段と国の予算を配分しなければならないとなると
そりゃもう悔しいの一言では片づけられないでしょう
加えて、今、鹿児島や熊本だって水害対策で予算が喉から手が出るほど欲しい時に」
「だから、嫌みなのか悔しさなのか嫉妬なのか。
辞任を半ば覚悟したうえでの『最後っ屁』なのか。
あーいう確信犯的『うっかり口が滑った』発言になったんだと思う」
「さっきから聞いてると、事実のように言ってるけど、あくまで
噂話なんでしょ。それに西南戦争って今から146年前の話だよ」
「ボクの伯父さんのはな兄さんによると、福島のおじいさんは
母親から鹿児島県の女とは結婚するな。山口(長州)なら
まだいいがって言われていたらしい」
「へえ。それじゃそんな大昔と言う感じでもないな」
「はな兄伯父さんによると、夏の甲子園の高校野球で
山口県代表の豊浦高校と新潟県代表の試合があって
長州藩対長岡藩の再対決だって盛り上がったらしい。
実際に甲子園球場で観戦したらしい。だから
そんなに昔じゃないんだよ」
「野村前農水大臣の真意はわからないな。
ま、でもプロフィールに『農水大臣を歴任』って
記すことができるようになったんだから
思い残すことはないだろうし
地元の支持者との会合でも
(くだんの発言に対して)
『やりましたな』
『ふふふ。まあね』
などと、お互いニンマリ
ほくそえんで少しは憂さを晴らしたんだろうし
まーヨカッタんじゃないの」
「全然話は違うんだけど
『元法政大学教授』と『おばさん』という二文字を入れて検索してみてよ」
「どれどれ。ああっ」
「このまえ記者会見した大学の学長で
西郷隆盛の大河ドラマの作家も手掛けた作家といい
この国会議員もやったおばさんといい
肩書きが好きだねえ」
「ほんと」
「ボクは森鴎外は嫌いで
軍医としてはどうなのと思うけど。
唯一評価するのは遺族に
自分自身の墓に
業績やら経歴を刻み込むことを許さず
ただ名前だけを記すようにと告げたことなんだが。
彼女らは墓にも名刺にいっぱい書くんだろうね」
「土井たか子さんに呆れられているよな」