京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

京の町屋 東山(8)半兵衛麸本店、晴鴨楼、洛東遺芳園、甘春堂東店、甘春堂七条店、わらじや、そば茶寮澤正

2020-09-01 18:02:39 | 京都の町 町屋・建造物


京都の町屋、東山区第7回です。

半兵衛麸本店
京都を彩る建造物選定番号第8-019
 元禄2年(1689)創業の麸屋。町家と洋館が並び建ち,京町家は築130年ほど,洋館は築70年ほどである。町家は1階を展示室とお食事処,2階を事務室としている。洋館は1階を店舗,2階をお弁当箱博物館の展示室としている。伝統文化の継承と発信を目的とした活動も行っている。


















晴鴨楼
創業180余年、大正浪漫香る純和風老舗旅館













洛東遺芳園
京の豪商であった、柏屋を母体とし、昭和49年(1974)に開館。
以来、今日迄春秋2回特別公開しています。
 柏原家は、肥後熊本加藤清正公の家臣、柏原郷右衛門を祖とすると伝えられています。
江戸期の正保2年(1645)初代三右衛門が当所に居を構えたといわれており、はじめ京小間物・扇子等を商い、徐々に商種商域を拡げ、木綿・漆器・紙の店を江戸に持ったいわゆる江戸店持京商人となり、今日も東京・大阪で盛業中です。
 展示品のすべては、柏原家の江戸時代からの伝承品で、婚礼調度・絵画・浮世絵・工芸品・古書古文書等です。
また、現在の建物も幾多の大小火難を逃れ、数百年来の商家の体裁を保っている京都でも数少ないものであります。
 建物の一部はご希望によりご案内しています。
 京都市東山区問屋町通五条下ル3丁目西橘町472















甘春堂東店
京都を彩る建造物選定番号第6-036号
 豊国神社の近くにある慶応元年創業の和菓子店。当建物は,その東店で,出格子,虫籠窓,軒灯看板,屋根には煙り出しを備えた町家の面影を残す店構えである。
元々菓子工場だったが,昭和末に現在の店構えとなった。
菓子作りと同様に,建物も往時の面影を残す。











甘春堂七条店





わらじや









そば茶寮澤正
京都を彩る建造物選定認定番号第79号
 そば茶寮澤正の建物は,昭和2年(1927)に泉涌寺と剣神社の間に建てられた貿易商岩坪熊次郎の大邸宅の接客棟にあたる。
北西側に大きく落ち込んだ崖を持つ敷地は,よう壁で造成され,竹林や枝垂桜が植わり,木造平屋建て,入母屋造桟瓦葺で東妻面に入母屋造の玄関を設けた和館に陸屋根の洋館を付設する。
和館には,天井や床の間などに桐をふんだんに用いた客室や,欄干を備えた縁を持つ廊下,節目板と網代の天井を持つ茶室を配する。
洋館は,外壁を人造石洗い出しで石造風に見せ,幾何学的な意匠を持つ窓や扉を用いるなど洋風様式とし,和と洋を活かした趣向に富んだ意匠となっている。
そば茶寮澤正は,近代における京都郊外の邸宅の特徴を伝える建物として重要である。















京町屋外観の特徴
屋根
一階庇の最前列は一文字瓦で葺いています。
横の一直線と格子の縦の線の調合が町屋の外観美の一つです。
格子
格子は戦国時代からで、内からは外がよく見え、外からはよく見えないようになっています。
家の商いや家主の好みでデザインが異なります。
上部が切り取られた「糸屋格子」、太い連子の「麩屋格子」、「炭屋格子」、重い酒樽や米俵を扱う「酒屋格子」、「米屋格子」、繊細な「仕舞屋格子」などがあります。格子を紅殻で塗ったものが紅殻格子。
ばったり床几
元々は商いの品を並べるもので、後に腰掛け用に床几として近隣との語らいの場でした。ばったりとは棚を上げ下げするときの音からきています。
店の間の外観
軒下に水引暖簾、大戸に印暖簾を掛けます。
虫籠窓
表に面した二階が低くなっている「厨子二階」に多く見られる意匠。
防火と道行く人を見下ろさない配慮と言われています。
犬矢来
竹の犬矢来は割竹を透き間なく組んだものから、少し透かしたものまでさなざまです。
直線的な町屋の表情を和らげてくれます。


各種建造物指定の説明

国・登録有形文化財
緩やかな規制により建造物を活用しながら保存を図るため,平成8年度施行の文化財制度で,登録された建物が登録有形文化財です。
登録文化財には,築後50年を経過している建造物で,国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないものといった基準を満たす建造物が対象となります。
京都市では,近代の建造物を中心に積極的に登録を進め,市内243件(平成31年1月末現在告示分)が登録されています。

景観重要建造物
 平成16年に制定された景観法に基づき,地域の自然,歴史,文化等からみて,建造物の外観が景観上の特徴を有し,地域の景観形成に重要なものについて,京都市長が当該建造物の所有者の意見を聞いて指定を行う制度です。
指定を受けた建造物には,所有者等の適正な管理義務のほか,増築や改築,外観等の変更には市長の許可が必要となりますが,相続税に係る適正評価や,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。

歴史的意匠建造物
 歴史的な意匠を有し、地域の景観のシンボル的な役割を果たしている建築物等を京都市が指定するものです。

歴史的風致形成建造物
 平成20年11月に施行された、歴史まちづくり法に記載された重点区域内の歴史的な建造物で,地域の歴史的風致を形成し,歴史的風致の維持及び向上のために保存を図る必要があると認められるもので,京都市長が建造物の所有者及び教育委員会の意見を聞いて指定した建造物。
指定を受けた建造物には,所有者等の適切な管理義務のほか,増築や改築,移転又は除却の届出が必要となりますが,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。