京都の町屋、左京区の第2回です。
今回も町屋以外が多いです。
茂庵(旧谷川茂次郎茶苑)旧点心席
登録有形文化財
左京区吉田神楽岡町
大正/1912-1988 木造2階建、銅板葺、建築面積64㎡
数寄者谷川茂庵が営んだ吉田山荘の独立して建つ食堂で,2階建,寄棟造,銅板葺で基壇上に建つ。軸部,小屋組等全体に丸太で構成され,東側面1階は壁面を後退させ懸造のようにみせる。棟両端に鳥形の鬼瓦をのせるなど,趣味性の強い,かつ優れた意匠の建物。
待合
田舎亭
安楽寺山門
登録有形文化財
左京区鹿ケ谷御所ノ段町
明治/1892 木造、茅葺、間口2.2m、袖塀付
寺地南西隅の緩い石段を上がったところに西面して建つ。八角円柱の本柱と面皮の控柱を立て,丸太の桁を回し,小丸太の垂木を扇に配して軒を構成し,屋根を寄棟造,茅葺とする。数寄屋風の造りで特徴ある彫物を付すなど景観構成上欠かせない意匠を凝らした門。
安楽寺本堂
登録有形文化財
左京区鹿ケ谷御所ノ段町
江戸/1751-1829 木造平屋建、瓦葺、建築面積111㎡
本堂は境内北寄りに南面して建つ。一重,宝形造,本瓦葺,裳階付の前堂の背後に,後設の切妻造,桟瓦葺の正堂を張り出す。前堂は方1間格天井の身舎周囲に化粧屋根裏の庇を回した形式で,正堂は鏡天井で須弥壇を構える。江戸後期浄土宗本堂の展開を示す遺構。
安楽寺書院(客殿)
登録有形文化財
左京区鹿ケ谷御所ノ段町
江戸/1751-1829 木造平屋建、瓦葺、建築面積96㎡
本堂の東に位置し,渡廊下で連絡する。桁行約13.7m,梁間約7m,切妻造,桟瓦葺で,南に下屋を付す。南北に3室を並べ(もとは15畳2室),東西及び南に縁を回す。奥の主室には床・違棚を備え,丸太や色土壁を用いて,簡素だが数寄屋風の座敷に造る。
百石斎(旧田邉朔郎書斎)
登録有形文化財
左京区浄土寺真如町
大正/1917頃 鉄筋コンクリート造2階建、瓦葺、建築面積25㎡
琵琶湖疏水を計画・設計した田邉朔郎の設計による鉄筋コンクリート造2階建の書斎。内部にキングポストトラスを用いる。土蔵造風であるが,妻面に各階二つの窓を配すと共に小庇を四面に周し,採光に考慮する。RC造を得意とした田邉の堅実な作風が窺える。
大野邸
歴史的風致形成建造物
左京区 岡崎円勝寺町
伽藍下鴨(旧映画監督の家)
歴史的風致形成建造物
左京区 下鴨宮崎町
山ばな平八茶屋
景観重要建造物
左京区 山端川岸町
清風荘
重要文化財
左京区田中関田町
大正/1914 木造
清風荘は鴨川の東、今出川通の北側に所在します。
西園寺公望の京都私邸として住友家が建設したもので、大正元年に主屋が完成し、大14年までに附属の建物が整えられます。
敷地の西半に主屋を中心として建物を配し、東に離れ、北に土蔵と納屋、附属屋、南に茶室、西に正門を設けています。
主屋は各部屋を大小の中庭を介して接続し、二階座敷からは東山を望めます。
いずれの建物も上質の数寄屋建築で、私邸らしい落ち着いた室内意匠です。
設計は住友家出入りの八木甚兵衛(二代)により、茶室や供待などを数寄屋大工の上阪浅次郎が手掛けています。
清風荘は、端正な意匠の数寄屋住宅であり、一体として整備された附属施設も残されており、近代和風建築の精華の一つとして重要です。
京町屋外観の特徴
屋根
一階庇の最前列は一文字瓦で葺いています。
横の一直線と格子の縦の線の調合が町屋の外観美の一つです。
格子
格子は戦国時代からで、内からは外がよく見え、外からはよく見えないようになっています。
家の商いや家主の好みでデザインが異なります。
上部が切り取られた「糸屋格子」、太い連子の「麩屋格子」、「炭屋格子」、重い酒樽や米俵を扱う「酒屋格子」、「米屋格子」、繊細な「仕舞屋格子」などがあります。格子を紅殻で塗ったものが紅殻格子。
ばったり床几
元々は商いの品を並べるもので、後に腰掛け用に床几として近隣との語らいの場でした。ばったりとは棚を上げ下げするときの音からきています。
店の間の外観
軒下に水引暖簾、大戸に印暖簾を掛けます。
虫籠窓
表に面した二階が低くなっている「厨子二階」に多く見られる意匠。
防火と道行く人を見下ろさない配慮と言われています。
犬矢来
竹の犬矢来は割竹を透き間なく組んだものから、少し透かしたものまでさなざまです。
直線的な町屋の表情を和らげてくれます。
各種建造物指定の説明
国・登録有形文化財
緩やかな規制により建造物を活用しながら保存を図るため,平成8年度施行の文化財制度で,登録された建物が登録有形文化財です。
登録文化財には,築後50年を経過している建造物で,国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないものといった基準を満たす建造物が対象となります。
京都市では,近代の建造物を中心に積極的に登録を進め,市内243件(平成31年1月末現在告示分)が登録されています。
景観重要建造物
平成16年に制定された景観法に基づき,地域の自然,歴史,文化等からみて,建造物の外観が景観上の特徴を有し,地域の景観形成に重要なものについて,京都市長が当該建造物の所有者の意見を聞いて指定を行う制度です。
指定を受けた建造物には,所有者等の適正な管理義務のほか,増築や改築,外観等の変更には市長の許可が必要となりますが,相続税に係る適正評価や,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。
歴史的意匠建造物
歴史的な意匠を有し、地域の景観のシンボル的な役割を果たしている建築物等を京都市が指定するものです。
歴史的風致形成建造物
平成20年11月に施行された、歴史まちづくり法に記載された重点区域内の歴史的な建造物で,地域の歴史的風致を形成し,歴史的風致の維持及び向上のために保存を図る必要があると認められるもので,京都市長が建造物の所有者及び教育委員会の意見を聞いて指定した建造物。
指定を受けた建造物には,所有者等の適切な管理義務のほか,増築や改築,移転又は除却の届出が必要となりますが,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。