京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

京町屋 左京区(1)西川家土蔵・主屋、吉田山山荘、旧三井家下鴨別邸、野村碧雲荘、上西家

2020-09-13 17:48:37 | 京都の町 町屋・建造物


今回から左京区です。
1929年(昭和4年)に上京区から分区した区です。
京都市の東北部を占め、南北に長い特徴があります。
東は滋賀県に接し、南は三条通を挟んで東山区に接しています。
南部は住宅地や文教地区になっている一方、北寄りの岩倉は田畑も多く残り、北部は山間地で林業が盛んです。
東山慈照寺(銀閣寺)・南禅寺・下鴨神社・平安神宮、鞍馬寺・貴船神社・三千院・岩倉具視幽閉跡・修学院離宮などが有名です。
京町屋は上京区、中京区、下京区より圧倒的に少なく、4回で終わります。


西川家住宅土蔵
登録有形文化財、歴史的風致形成建造物
左京区岡崎円勝寺町
昭和前/1927頃 土蔵造2階建、瓦葺、建築面積11㎡
主屋の南東側に南北棟で建つ。土蔵造二階建、桁行三・六メートル梁間三・一メートル、切妻造桟瓦葺で、西面の戸口に庇と鉄扉を設ける。
外壁漆喰塗で鉢巻を廻らし、二階南面に窓を穿つ。南面壁を主屋の塀と一連の意匠として瓦屋根を葺き、屋敷構えを整える。





西川家住宅主屋
登録有形文化財
左京区岡崎円勝寺町
昭和前/1927頃 木造2階建、銅瓦葺一部瓦葺、建築面積184㎡、門及び塀付1棟
内装を和洋折衷とした応接間を通り沿いに配し、左右に門と塀をのばす。
後方に渡廊下を介して建つ居住部は、中廊下式で庭に面して座敷を並べて縁を通し、数寄屋意匠を加味しつつ、幅広の板材を多用するなど贅沢な造作とする。市街地に残る上質な和風住宅。





吉田山荘(旧東伏見家住宅)旧門番所
登録有形文化財
左京区吉田下大路町
昭和前/1932頃 木造平屋建、瓦葺、建築面積12㎡
表門の南側に建ち、桁行四メートル梁間三メートル、木造平家建、入母屋造桟瓦葺である。東道路側は石積基壇上に建ち、外壁は漆喰塗で腰を竪板張とし、西面に戸口を設け、東面窓に格子を建てる。柱上に舟肘木を置き、軒は疎垂木で軽快な意匠の建物である。





吉田山荘(旧東伏見家住宅)本館
登録有形文化財
昭和前/1932
木造2階建、瓦葺一部銅板葺、建築面積237㎡
左京区吉田下大路町
吉田山南麓に建つ木造二階建、建築面積二三七平方メートル、入母屋造桟瓦葺で、東を玄関とし、中廊下の南に居室を配し、南西を平屋の離れとする。
和室を主とするが、ステンドグラスや二階東面のベランダなどに洋風意匠を加味した、良質な近代和風邸宅である。





吉田山荘(旧東伏見家住宅)表門
登録有形文化財
左京区吉田下大路町
昭和前/1932頃 木造、銅板葺、間口3.9m、左右袖塀付
敷地東辺南寄りに開、一間一戸平唐門、銅板葺である。門口は三・九メートルで柱間に板戸を吊り、円柱上に女梁と男梁、桁行中央にも男梁を置いて蟇股と舟肘木で棟木を受ける。左右の土塀は漆喰塗で下部はモルタル洗出し。優美で格調のある表構えを見せる。





旧三井家下鴨別邸 玄関棟、主屋、茶室
重要文化財
左京区下鴨宮河町
大正/1925 木造、建築面積105.89平方メートル、入母屋造、南西隅袖塀付、桟瓦葺
旧三井家下鴨別邸は、賀茂御祖神社の南側に所在する。
大正14年に、明治13年建築の木屋町別邸の主屋を移築し、あわせて玄関棟を増築し完成した。
主屋は、三階に望楼をもつなど開放的なつくりで、簡素な意匠でまとめられている。
また玄関棟は、和風意匠を基調としつつ椅子坐式の室内構成として天井を高くするなど、近代的な趣をもつ。
茶室は、次の間に梅鉢型窓と円窓を開けるなど特徴ある意匠になる。
旧三井家下鴨別邸は、近代京都で最初期に建設された主屋を中心として、大正期までに整えられた大規模別邸の屋敷構えが良好に保存されており、高い歴史的価値を有している。










主屋





茶室















野村碧雲荘 旧館(北泉居)
重要文化財
左京区南禅寺下河原町
大正/1921頃 木造、建築面積456.67平方メートル、一部二階建、桟瓦葺一部檜皮葺、西面門・南突出部西面門及び塀付、東面廊下蔵に接 野村碧雲荘は,実業家野村徳七が京都南禅寺に建てた和風別邸で,敷地北辺に沿って大玄関及び能舞台,大書院などが並び建ち,琵琶湖疏水の水を引き込んだ池を囲み,花泛亭などの茶室を配している。
建設年代は,大正6年から昭和3年にかけて建設された。数寄屋大工北村捨次郎が手掛け,木造平屋建,桟瓦葺を基本とし,良材を用いた瀟洒なつくりで,高度な数寄屋技法を用いている。
野村碧雲荘は,借景をいかした庭と調和した近代和風住宅建築として重要であり,特徴ある茶室なども揃って残り,高い価値がある。





西門と管理事務所










美術館





上西家住宅主屋
登録有形文化財
左京区浄土寺西田町
昭和前/1934 木造2階建、瓦葺、建築面積164㎡、パーゴラ付
吉田山東方の神楽岡通沿いの角地に建つ。東西棟の北側に切妻を張出し,東端部に和室を付ける。内部は中廊下式。腰には褐色タイルを波状に張り,菱形桟の窓,く字形に張出す出窓等,多様な窓形式を用いるなど,装飾に意を凝らしたスパニッシュ様式の住宅。







京町屋外観の特徴
屋根
一階庇の最前列は一文字瓦で葺いています。
横の一直線と格子の縦の線の調合が町屋の外観美の一つです。
格子
格子は戦国時代からで、内からは外がよく見え、外からはよく見えないようになっています。
家の商いや家主の好みでデザインが異なります。
上部が切り取られた「糸屋格子」、太い連子の「麩屋格子」、「炭屋格子」、重い酒樽や米俵を扱う「酒屋格子」、「米屋格子」、繊細な「仕舞屋格子」などがあります。格子を紅殻で塗ったものが紅殻格子。
ばったり床几
元々は商いの品を並べるもので、後に腰掛け用に床几として近隣との語らいの場でした。ばったりとは棚を上げ下げするときの音からきています。
店の間の外観
軒下に水引暖簾、大戸に印暖簾を掛けます。
虫籠窓
表に面した二階が低くなっている「厨子二階」に多く見られる意匠。
防火と道行く人を見下ろさない配慮と言われています。
犬矢来
竹の犬矢来は割竹を透き間なく組んだものから、少し透かしたものまでさなざまです。
直線的な町屋の表情を和らげてくれます。


各種建造物指定の説明

国・登録有形文化財
緩やかな規制により建造物を活用しながら保存を図るため,平成8年度施行の文化財制度で,登録された建物が登録有形文化財です。
登録文化財には,築後50年を経過している建造物で,国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないものといった基準を満たす建造物が対象となります。
京都市では,近代の建造物を中心に積極的に登録を進め,市内243件(平成31年1月末現在告示分)が登録されています。

景観重要建造物
 平成16年に制定された景観法に基づき,地域の自然,歴史,文化等からみて,建造物の外観が景観上の特徴を有し,地域の景観形成に重要なものについて,京都市長が当該建造物の所有者の意見を聞いて指定を行う制度です。
指定を受けた建造物には,所有者等の適正な管理義務のほか,増築や改築,外観等の変更には市長の許可が必要となりますが,相続税に係る適正評価や,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。

歴史的意匠建造物
 歴史的な意匠を有し、地域の景観のシンボル的な役割を果たしている建築物等を京都市が指定するものです。

歴史的風致形成建造物
 平成20年11月に施行された、歴史まちづくり法に記載された重点区域内の歴史的な建造物で,地域の歴史的風致を形成し,歴史的風致の維持及び向上のために保存を図る必要があると認められるもので,京都市長が建造物の所有者及び教育委員会の意見を聞いて指定した建造物。
指定を受けた建造物には,所有者等の適切な管理義務のほか,増築や改築,移転又は除却の届出が必要となりますが,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。







長月の祇王寺 美しい青苔

2020-09-13 06:10:07 | 京都めぐり


長月の祇王寺です。





まだまだ青苔が美しいです。
祇王寺に生えている苔
ハイゴケ(這い苔)
比較的身近に見られる大型の蘚類。
日当たりの良い道端や岩の上、土手、山地、樹幹の下部などで黄緑色のマットをつくります。

スギゴケ(杉苔)
茎が細めの葉がその周りにならんでいるようすが、スギの枝のように見える。地上に密生して群落を作る。

コツボゴケ(小壺蘚)
湿った土の植えや、倒木の上に自生しています。透き通るような緑色が綺麗です。特に水を与えたときに葉がキラキラと輝くように見えます。また仮根が発生しやすいので、着生として楽しむこともできます。

ヒノキゴケ(檜苔)
山地の林の中の湿った腐植土上、谷沿いや沢の斜面のような湿度の高い場所によく大きな群生を作ります。
スギゴケと対照的な柔らかさ、色目の美しさはほかと異なる趣の絨毯を作ります。

シノブゴケ(忍苔)
林床の湿った倒木上に自生しており、マット状にひろがる。繊細に枝分かれする姿が美しく、小さなシダのようにも見える。仮根が発生しやすいので、着生として楽しむこともできます。

























新しく葺き替えられた山門

























竹林





























草庵の中


















祇王寺向かいの檀林寺土塀