京都の町屋、第2回右京区です。
今回も町屋は少ないです。
山﨑家(旧井上家)
景観重要建造物
右京区 嵯峨観空寺明水町
加藤邸
歴史的意匠建造物
右京区花園伊町
慈済院 国登録有形文化財
表門 江戸/1615~1661 木造、瓦葺、間口2.8m、東方潜戸付1棟
京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町
玄関廊式台のほぼ正面、天龍寺の総門から本山庫裏に至る参道に面して建つ。一間薬医門、切妻造本瓦葺で、本柱頂部を繋ぐ冠木を男梁と女梁で挟み、男梁上の板蟇股で棟木を受ける。軒は二軒疎垂木である。天龍寺最古級の表門であり塔頭の表構えを伝える。
庫裏 登録有形文化財
江戸/1799 木造平屋建、瓦葺、建築面積101㎡1棟
本堂東側に玄関廊を介して建つ。切妻造妻入の正面は、舟肘木で受ける妻梁上の中央に蟇股と虹梁大瓶束を組み、両脇に海老虹梁を飾る定型的な構成を見せ、絵様なども時代性をよく示す。平面はほぼ正方形で、東半を占める土間は大黒柱を中心に豪壮な梁組を現す。
玄関廊 登録有形文化財
江戸/1751~1830 木造平屋建、瓦葺、建築面積62㎡1棟
本堂と庫裏の間を繋ぐ両下造の建物。東半に玄関の間をおいて入母屋造の式台玄関を構え、西半の一〇畳では虹梁を三筋架けて板蟇股で化粧屋根を支持する特異な構成をもつ。玄関と廊下の機能を兼備する一方で本堂と庫裏を繋ぐ開放的な大廊下形式の名残を伝える。
本堂 登録有形文化財
江戸/1816 木造平屋建、瓦葺、建築面積238㎡1棟
天龍寺の旧三門の北に位置する塔頭の本堂。南面する六間取の方丈形式で、室中を含む前三室は境に竹の節を設け、三室通しの棹縁天井を張る。四面広縁や上間後室の西側に床と付書院を設ける形式などに、禅宗塔頭寺院本堂としての特色を示し、意匠も洗練される。
書院 登録有形文化財
江戸/1751~1830 木造平屋建、瓦葺、建築面積61㎡1棟
本堂北側に建ち、庭に面する北西面に切目縁を廻らせる。内部は八畳二室からなる書院を原型に、南西面に廻らせた広縁を取り込んで広い座敷としており、北東に床を備える。面皮柱など数寄屋意匠を摂取し、天龍寺で近世に遡る唯一の書院遺構として価値がある。
落柿舎 国登録有形文化財
江戸/1751~1830 木造平屋建、茅葺一部瓦葺、建築面積58㎡1棟
京都府京都市右京区嵯峨小倉山緋明神町20
嵯峨小倉山の敷地中央に南面して建ち、寄棟造茅葺である。東端を狭い土間とし、床上部は西端南側を四畳半の主室として西面にトコとトコ脇を備え、他は二畳と三畳を配する。数寄屋を基調とする穏やかな佇まいの茅舎で、嵯峨の風情を醸す重要要素となっている。
本庵四畳半と三畳
次庵(句会席)
旧徳力彦之助邸(ギャラリー工房・チェリ)国登録有形文化財
昭和前/1937 木造一部鉄筋コンクリート地上2階地下1階建、スレート葺、建築面積187㎡1棟
京都府京都市右京区太秦組石町
京福電鉄嵐山本線太秦駅の南方,太秦小学校校庭に面して建つ。漆芸家・徳力彦之助が英国客船の調度品を購入し自ら設計した住宅兼アトリエ。櫻井馬淵建築事務所が実施設計にあたり,チューダーゴシックに仕上げる。傾斜地のためRC造地下室に玄関を設ける。
陽明文庫
事務所 登録有形文化財
昭和前/1938木造平屋建,瓦葺,建築面積159㎡1棟
京都府京都市右京区宇多野上ノ谷町
木造平屋建ての事務所建築。第一文庫,第二文庫と並んで配置されている。簡素な意匠・構成になるが,玄関周りの格子状の意匠,暖炉の煙突などに特徴が見られ,全体として洋風とも和風ともつかない特色あるデザインである。設計は長谷部鋭吉。
第一文庫 登録有形文化財
昭和前/1938 鉄筋コンクリート造平屋建,瓦葺,建築面積73㎡1棟
京都府京都市右京区鳴滝宇多野谷2
近衛家に伝わる古文書・美術品などを収める収蔵庫。当時の近衛家所有地の一角に建てられた。収蔵品の重要性に鑑み,湿度管理などを意識して設計されている。土蔵風であるが,RCによる堅牢な構造である。設計は長谷部鋭吉,大工棟梁は俣野忠蔵。
第二文庫 登録有形文化財
昭和前/1940 鉄筋コンクリート造2階建,瓦葺,建築面積121㎡1棟
京都府京都市右京区鳴滝宇多野谷
近衛家が所有する美術品等を収める収蔵庫。第一文庫と同じく湿度管理,耐震耐火などを意識して建てられたが,厳しい資材事情から床下吹き放ちを断念するなど設計・仕様が異なっている。第一文庫と同じく設計は長谷部鋭吉,大工棟梁は俣野忠蔵。
虎山荘 登録有形文化財
昭和前/1942 木造平屋建,瓦葺,建築面積393㎡1棟
京都府京都市右京区宇多野福王子町
陽明文庫所蔵品の閲覧を目的として建てられた数寄屋造りの別荘建築。主屋部分と客殿部分から構成され,内部に茶室(滴庵)などを持つ。伝統的な構法の中にも設計者である長谷部鋭吉による新たな試みが随所になされ,細部にも見るべきものがある。
京町屋外観の特徴
屋根
一階庇の最前列は一文字瓦で葺いています。
横の一直線と格子の縦の線の調合が町屋の外観美の一つです。
格子
格子は戦国時代からで、内からは外がよく見え、外からはよく見えないようになっています。
家の商いや家主の好みでデザインが異なります。
上部が切り取られた「糸屋格子」、太い連子の「麩屋格子」、「炭屋格子」、重い酒樽や米俵を扱う「酒屋格子」、「米屋格子」、繊細な「仕舞屋格子」などがあります。格子を紅殻で塗ったものが紅殻格子。
ばったり床几
元々は商いの品を並べるもので、後に腰掛け用に床几として近隣との語らいの場でした。ばったりとは棚を上げ下げするときの音からきています。
店の間の外観
軒下に水引暖簾、大戸に印暖簾を掛けます。
虫籠窓
表に面した二階が低くなっている「厨子二階」に多く見られる意匠。
防火と道行く人を見下ろさない配慮と言われています。
犬矢来
竹の犬矢来は割竹を透き間なく組んだものから、少し透かしたものまでさなざまです。
直線的な町屋の表情を和らげてくれます。
各種建造物指定の説明
国・登録有形文化財
緩やかな規制により建造物を活用しながら保存を図るため,平成8年度施行の文化財制度で,登録された建物が登録有形文化財です。
登録文化財には,築後50年を経過している建造物で,国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないものといった基準を満たす建造物が対象となります。
京都市では,近代の建造物を中心に積極的に登録を進め,市内243件(平成31年1月末現在告示分)が登録されています。
景観重要建造物
平成16年に制定された景観法に基づき,地域の自然,歴史,文化等からみて,建造物の外観が景観上の特徴を有し,地域の景観形成に重要なものについて,京都市長が当該建造物の所有者の意見を聞いて指定を行う制度です。
指定を受けた建造物には,所有者等の適正な管理義務のほか,増築や改築,外観等の変更には市長の許可が必要となりますが,相続税に係る適正評価や,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。
歴史的意匠建造物
歴史的な意匠を有し、地域の景観のシンボル的な役割を果たしている建築物等を京都市が指定するものです。
歴史的風致形成建造物
平成20年11月に施行された、歴史まちづくり法に記載された重点区域内の歴史的な建造物で,地域の歴史的風致を形成し,歴史的風致の維持及び向上のために保存を図る必要があると認められるもので,京都市長が建造物の所有者及び教育委員会の意見を聞いて指定した建造物。
指定を受けた建造物には,所有者等の適切な管理義務のほか,増築や改築,移転又は除却の届出が必要となりますが,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。