初めての作家さんですが、本屋大賞「流浪の月」の次作ということで期待して読み始める。
統理・路有・百音( とうり・ろう・もね )
・・・今どきのキラキラネーム、ライトノベルズのたぐいなんだろうか。
彼らの住むマンションの屋上庭園には「御太刀神社」という屋上神社があり、ここに祀られているのが断ち切りの神様であることから「縁切りさん」と呼ばれている。
両手を広げた人の形の紙に、断ち切りたいものの名前を書いてお祓い箱に入れる。
それぞれの心の中にあるもやもを断ち切ることで、心が、こだわりが解き放たれ身軽になっていく。
「事実というものは存在しません。存在するのは解釈だけです。」
道徳の時間で話し合った思いやりについて悩む小学生の百音に、統理がニーチェの言葉を
使っての説明に考え込んでしまった。
今世界で起きているコロナ問題。
世界は中国から広がっていったといい、中国はアメリカが持ち込んだという。
解釈、都合によって事実はいかようにも捻じ曲げられるけれど、それでは事実って何。
事実ではなく、偽りのない真実が存在するってことだろうか。
読み終わり、自分なりの解釈かもしれませんが名前の由来に納得でした。
前作「流浪の月」を読むのが楽しみ。
「わたしの美しい庭 」凪良ゆう
書店員さんのおすすめコーナーで興味を持ってた太田愛「天上の葦」を図書館で見つけた。
借りてるのも他に読みたい本もあるし、上下はちょっと無理か。
で、上巻だけ借りてきた。
昼のニュース番組冒頭に街のライブ映像として放映される渋谷スクランブル交差点。
老人は群衆が渡り切った無人の交差点で何もない空を指して絶命した。
死の間際、老人は空に何を見ていたのか。
突き止めれば一千万円の報酬を支払うと、興信所を営む鑓水と修司のもとに不可解な依頼が舞い込む。
老人が死んだ同じ日、一人の公安警察官が忽然と姿を消した。
相棒の脚本も手掛けている作家だから面白くないわけないと読み始めたのだが、中盤を過ぎ全容が見え始めてもこれは深い。
戦争が根底にあるのだなと思っていたが、悲惨すぎて語らないのではなく語れない戦争体験もあるのだ。
忖度でマスコミに圧力をかける安倍政権。
北朝鮮、中国の脅威から国を守るためにと目指すは憲法改正。
山口に配備しようとしている陸上イージスにしても、未だ影響力のあるテレビで危険をこぞって報道するとしたら。
日常を静かに破壊する犯罪。
社会を一変する犯罪が仕組まれていた。は、このことでは?
来年読むことになる下巻が楽しみだ。
マツダユカさんのマンガと、鳥類研究者による洒脱で絶妙な文章。
身近な存在の鳥類がこんなに面白い存在だったとは、苦笑、大笑い、感心しながら読み終える。
花の蜜や甘い果実が大好きなメジロやヒヨドリの舌の先は、ブラシのようにフサフサに枝分かれしている。
昔父がメジロを飼っていたけど、練り餌を食べてた舌がそんなになっていたとは。
さらにすごいのが、ペンギンの舌と口の天井は針の山のようにとげだらけ。
タカ目ハヤブサ科に分類されタカの仲間と考えられていたハヤブサは、DNA研究の結果インコの近縁なんだって。
おっとり性格で大好きなオカメインコとねえ。
他人の空似だったとは。
1947年、日本固有種のヤマドリかキジかの国鳥選定議論で、桃太郎効果でキジに軍配があがったんだけど、現在では大陸のキジと同種と分類されお札のキジは鳳凰に座を譲ってしまった。
へええ、知らなかった。
カラスは巣材に新建材を使い、特に愛用してるのはクリーニングでもらう針金のハンガー。
ベランダのハンガーの数が少なくなっていたら、もしかして。
そんなこんなエピソードが満載の「トリノトリビア」
大笑い間違いなしです。
出合いが「ふたりの花見弁当」だったので、はじめ食堂は姑の一子さんとお嫁さんの二三、手伝いの万里で営んでいた。
気に入って続いて読んだ「真夏の焼きそば」から、下って「恋するハンバーグ」では
昭和40年代、帝都ホテルで副料理長だった考蔵さんは、佃島の岸恵子と謡われた一子さんが二度ぼれするほど気性も見かけも男前。
昭和の高度成長期と共に、引き継いだ実家のはじめ食堂がフランス料理からご飯に合うおかずをだす洋食屋さんに変わっていく様子や、「さすらいのコンソメスープ」はまさに昭和の人情話。
おいしい料理と店で集う客たちは、水谷豊主演の「もへじ」を連想します。
もへじ、大好きなのに新作ありませんね。
ドラグァクイーン シャールさんの夜食カフェシリーズは残念ながら終わってしまいましたが、はじめ食堂はまだまだ続いていきそうです。
ところで、辰波酒店が食堂に持ち込んだ秘蔵の日本酒、而今って驚きの値段なのですね。
焼酎ブームの頃の(今でも?)伊蔵みたい。
今年になって選んだ本にはずれはなく、初めての作家・作品との出会いが続いています。
山口恵以上子さんの食堂のおばちゃん。
表紙とタイトルで借りてきた古市一絵さんのドラァグクイーン、シャールさんがオーナーの、夜になったら不定期に開く夜食カフェ、マカン・マラン。
三浦しをんさん「愛なき世界」
AHOとAHOOの遺伝子の話なんて読んじゃうと、一雨降ると復活してる庭の雑草をむしるのにもちょっと心が動いてしまう・・・
相変わらず人物が魅力的で、藤丸君と食堂のお客さんのスピンアウト作品が作れそうだ。
村山早紀さん「星をつなぐ手」
作中にあった書店員さんが仕掛けて全国的ヒットになった作品の話、刊行後実際に「文庫X」という謎の本が大当たりしたそうだ。
「殺人犯はそこにいる」
隠蔽された幼女誘拐事件のルポルタージュ。
グリコ森永事件の本は読んだことがあるけど、今度読んでみよう。
小ちゃな図書館だから読みたい本なんてないと思っていたのに、本館からまわってきた新刊コーナーには私好みの本があって忙しい。
あんなに好んで読んでいたジャンルが嫌になったのは、相変わらずマイナスエネルギーにとらわれているから。
それとも事件、災害、異常気象などの外的ストレスのせい?
心が和むような本はないものか。
そんな時に出会ったのが、上田早夕里さんの「ラ・パティスリー」
続けて読んだ「菓子フェスの庭」
洋菓子店の話、また書いてほしいなあ。
大山淳子さんの猫弁シリーズ、あずかりやさん。
全部読んでしまったので、市民と県立合併の新しい図書館オーテピアで新たな出会いを物色するも・・・
ミステリー系多し。
で、2017年本屋大賞に「桜風堂ものがたり」がノミネートされた村山早紀さん「百貨の魔法」を選んでみた。
著書多数の人気作家のようで、今回は装丁の美しい「コンビニたそがれ堂セレクション」
風早の街の 駅前商店街のはずれに
夕暮れどきに行くと
古い路地の 赤い鳥居が並んでるあたりで
不思議なコンビニを 見つけることがある
といいます
百貨店のあった街も風早でした。
冒頭のあんずでポロポロ涙。
心にぐっとくる話は嫌なのに
最近食べものを題材にした新しいジャンルの小説が注目されているんだってね。
みんなおんなじ気分なのかしら。
ロードレーサーちかの4作目 近藤史恵「スティグマータ」
伊吹有喜「今はちょっと、ついてないだけ」
初めて読む作家だったのでとても新鮮な出会いでした。
なかったことには、ならない。
物語でしか描けなかった、あの震災と原発事故と帯にあった「象は忘れない」
知ってたこと、知らなかったこと、フクシマで起きたことをフィクションで描かれると余計に感情移入してしまうのはなぜだろう。
著者の柳広司さんの憤りが熱く伝わってきます。
読みたい本が目白押しの読書時間に、最近新しくコミックエッセイというジャンルが加わりました。
コミックとコミックエッセイの違いって?
身近な日常をマンガで描いているってことなのかな。
吾輩はタマ 猫である
縁側で並んで座ってる大吉つぁんは、吾輩の飼い主にしてしもべである。
うふ、確かに。
ネコを飼ってる友人も、召使と化してるものね。
ばあさんに先立たれた大吉おじいちゃんとねこのタマとの暮らしが、やわらかな鉛筆線で描かれていて、スケッチ風な絵がうまい。
ねこまきさんの「ねことじいちゃん」を読んでると、犬派の私ですけどやさしい時間に癒されます。
知らなかったけど、12万部の人気シリーズなのでした。
ハード系読書のの合間に、癒し系コミックエッセイでリラックス。
うん、これはいいですね
嫌な出来事は多いし、これからが夏本番だと思うと・・・
こんなストレスの多い毎日をほっと癒してくれるのは、ミシガンの柴犬マルちゃんと一茶君のブログ。
ほぼ毎日、一茶君が生まれてからの過去ログ、現在2013年9月、を笑いを交えて読んでます。
そこに出合った「8月のソーダー水」
作者のコマツシンヤさんは高知のひとでした。
とっても印象的な青い表紙
暑い夏にぴったりな青の世界で描かれたお話は、ちょっと不思議でさわやかな風を運んでくれます。
灯台が散歩に出かけるのって素敵。
8月のソーダー水ってタイトルは、「三月の水」という歌の題名をもじったものとあとがきにあったけど、どんな歌なんだろう?
またオールカラーの青の世界の本を出してほしいなあ。
科学を勉強する学生さん、湯川秀樹、中谷宇吉、牧野富太郎、朝永振一郎が下宿していたらというマンガによるお話。
研究に没頭する科学者はみんな個性的です。
よくわからないけど科学っておもしろい。
で、下宿の名前の由来のトムキンスの冒険を読んでみようと図書館書庫から出してきてもらって!
ぶ、分厚い・・・
しかも二段構成。
素人にも分かりやすく書かれているから興味深く読めるんだけど、理解できるているのかというと。
頑張って二章の血管まで読んで返却日となりました。
早朝ラジオをつけると、金星探査機あけぼのチーフマネージャの中村さんが話していました。
ううむ、やっぱりユニークっていうかおもしろい人が多いなあ。
昨夕お城のすべり山でツクツクボウシなく。
カナカナ、シャワシャワ、ミーンミーン、勢揃い!
近頃では犬より猫を飼う人が多くなったとかで、書店でも猫コーナーをみかけるようになりました。
子猫や寝姿は本当に愛らしいなあと思うのですが、でも、よき友・相棒となる犬がやっぱり好きな犬派の私、言葉がなくても通じ合えているようなこんな写真にぐっとくるのです。
「ぼくのともだち」は、アメリカミシガン州に暮らす柴犬マルちゃんと誕生から1歳までの一茶くんとの生活が写真と文章でつづられた本です。
犬は基本的に小さな子供が苦手なのに、寝てるマルちゃんの耳をひっぱったりくちにさわったり!
どきっとする写真があるのですが、そこには赤ちゃんを迎える前の準備、ご苦労がありました。
信頼関係がないと中々できることじゃないですよね。
何度でも開いて見たくなるのは、ファインダーを通して注がれるあたたかなまなざしと、この瞬間は二度とないものだから。
一茶くんに泣かれてこまってる顔、へそ天で寝てるとこ、昼寝のしてる横には子犬の時からの相棒ぬいぐるみモンキーさんが。
センスいい色使いや暮らしぶりが素敵なジョンソン祥子さんですが
「すっきり、楽しく、自由に暮らす」では、えぇそうだったのって意外なところが。
少々の汚れや散らかりを気にしていたら、気持ちよく暮らすことはできないというおおらかで繊細な素敵な人でした。
マルちゃんも抜け毛はあるものね。
Maru in Misigan /ジョンソン祥子