瞬は目の前の光景に溜息をつき、柔らかな髪を掻き上げた。
城戸沙織がグラード財団のコネと莫大な財力を注ぎこみ学園を建設し、学業年齢の聖闘士たちを強引に入学させ、ついでに全国の不良・不登校学生たちを次々と入学させ始めた。
ナイフや警棒などで教師を威嚇し、無断で親の車を乗り回し少女の輪姦に勤しむ凶悪な学生たちを、だ。
もっとも、校内暴力など聖闘士にかかればなんでもない、素手で断崖をも打ち砕くのが聖闘士だからだ。
但し。
校内の備品及び建築物を破損させることは厳に城戸沙織に禁じられていた。
星矢たちはともかく、瞬は学校の備品に傷一つつけたことはない。
学校生活は順調に送れていた。
その瞬までも、強引にこの富士の樹海に囲まれた学園に転校させられた。
だが、この学園にはあれほど学校生活などバカバカしくて送れるかとのたまっていた一輝がいた。
兄がいるのなら天国も地獄と瞬は上機嫌になったが、華奢な外見の瞬は苛めの対象になった。
女が混ざっている、などという軽口から始まって色素の薄い髪を黒く染めろ、挙句の果てには複数の生徒に押さえ込まれ髪を切られそうになった。
だが、その場にいた生徒たちはたまたま間近にいた一輝に叩きのめされ、以来それらの苛めはパタリと止んだ。
城戸一輝。
城戸瞬。
外見はまったく似ていない二人が兄弟だということはすぐに知れ渡ったからだ。
第1回寮会議。
「聖闘士学園」と命名された学園には全国津々浦々から両親・学校では手に負えない学生が揃っている。
学園・寮建設に当たり、一応。城戸沙織は全国の学校をリサーチし、建築士たちと話し合い、建設に当たった。
だが、何か過不足があれば全員の意見を聞き、レポートを提出するようにと理事長である沙織から命が下った。
議長には瞬が当たる事になった。
なんといっても瞬は一輝の弟だと周囲に知れ渡っている。
それに、マイペースの氷河や星矢が議長では纏まるものも纏まらなくなる、紫龍は書記。
しばらく待っていて紫龍が生徒たちを迎えに出た。
沙織の命は「生徒全員の意見を聞くこと」だからだ。
だが、何十人という生徒を相手に紫龍一人では時間がかかり過ぎると星矢がエスケープした生徒たちを探しに食堂を出て行った。
そうこうしている間に、いやいやその場に集まっていた生徒たちから苦情が出始めた。
生徒たちの不満が高潮に達したところで一輝と一緒に入学してきた暗黒聖闘士たちが睨みを効かせながらエスケープ狩りに食堂を出て行った。
だが、一度噴出した不満はそうそう収まらない。
そこに髪を金色に染めた男を肩に担ぎ星矢が帰ってきて生徒たちを説得した。
「ここを出たければオレを倒してからにしろ」と、腕をまくって見せた。
以来、食堂は腕立て伏せ大会の会場に変貌してしまっている。
「続く」
城戸沙織がグラード財団のコネと莫大な財力を注ぎこみ学園を建設し、学業年齢の聖闘士たちを強引に入学させ、ついでに全国の不良・不登校学生たちを次々と入学させ始めた。
ナイフや警棒などで教師を威嚇し、無断で親の車を乗り回し少女の輪姦に勤しむ凶悪な学生たちを、だ。
もっとも、校内暴力など聖闘士にかかればなんでもない、素手で断崖をも打ち砕くのが聖闘士だからだ。
但し。
校内の備品及び建築物を破損させることは厳に城戸沙織に禁じられていた。
星矢たちはともかく、瞬は学校の備品に傷一つつけたことはない。
学校生活は順調に送れていた。
その瞬までも、強引にこの富士の樹海に囲まれた学園に転校させられた。
だが、この学園にはあれほど学校生活などバカバカしくて送れるかとのたまっていた一輝がいた。
兄がいるのなら天国も地獄と瞬は上機嫌になったが、華奢な外見の瞬は苛めの対象になった。
女が混ざっている、などという軽口から始まって色素の薄い髪を黒く染めろ、挙句の果てには複数の生徒に押さえ込まれ髪を切られそうになった。
だが、その場にいた生徒たちはたまたま間近にいた一輝に叩きのめされ、以来それらの苛めはパタリと止んだ。
城戸一輝。
城戸瞬。
外見はまったく似ていない二人が兄弟だということはすぐに知れ渡ったからだ。
第1回寮会議。
「聖闘士学園」と命名された学園には全国津々浦々から両親・学校では手に負えない学生が揃っている。
学園・寮建設に当たり、一応。城戸沙織は全国の学校をリサーチし、建築士たちと話し合い、建設に当たった。
だが、何か過不足があれば全員の意見を聞き、レポートを提出するようにと理事長である沙織から命が下った。
議長には瞬が当たる事になった。
なんといっても瞬は一輝の弟だと周囲に知れ渡っている。
それに、マイペースの氷河や星矢が議長では纏まるものも纏まらなくなる、紫龍は書記。
しばらく待っていて紫龍が生徒たちを迎えに出た。
沙織の命は「生徒全員の意見を聞くこと」だからだ。
だが、何十人という生徒を相手に紫龍一人では時間がかかり過ぎると星矢がエスケープした生徒たちを探しに食堂を出て行った。
そうこうしている間に、いやいやその場に集まっていた生徒たちから苦情が出始めた。
生徒たちの不満が高潮に達したところで一輝と一緒に入学してきた暗黒聖闘士たちが睨みを効かせながらエスケープ狩りに食堂を出て行った。
だが、一度噴出した不満はそうそう収まらない。
そこに髪を金色に染めた男を肩に担ぎ星矢が帰ってきて生徒たちを説得した。
「ここを出たければオレを倒してからにしろ」と、腕をまくって見せた。
以来、食堂は腕立て伏せ大会の会場に変貌してしまっている。
「続く」