モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

エリカ・ダーレンシス(Erica darleyensis)の花

2009-01-23 11:54:27 | その他のハーブ

エリカはヨーロッパに広く野生化していて、この茂み・原野をヒース(heath)と呼んでいる。
ヒース(heath)は、本来はイギリス北部、アイルランドなどにおける荒れ地のことで、独特の背の低い植物が群生する。また、そのような植物のことを指して呼ぶ場合もあり、この場合は、エリカ属以外に類似した特長を持つカルーナ属、ダボエシア属をも含む。

『嵐が丘』の舞台はこんなエリカ・ヒースしかない厳寒の原野にある館だった。
時代もかわり、いまではヒースガーデンがつくられ、観賞用として独特の景観を生み出している。

ツツジ科エリカ属は700種以上あるというが、その大部分は南アフリカのケープ地方にあり、キュー王立植物園のプラントハンター第一号、フランシス・マッソンが南アフリカ原産のエリカを英国に送り、18世紀後半には英国・フランスなどで人気を博すことになる。ジョゼフィーヌのマルメゾン庭園でも世界のヒースが集められていた。
このエリカまたはヒースを好む感覚はなかなかわかりにくいが、北国のヒースガーデンを見ると納得するものがある。

もう一つの原産地は、地中海沿岸から北ヨーロッパでありここには、14種が生息している。
ヨーロッパ原産のエリカは耐寒性が強く、英国では庭の垣根などに利用されていて、パンジーの品種改良の親となった変種のバイオレットが見つかったのもこのエリカの生垣の下だった。

なにを間違ったか、或いは正解なのかもわからないが、エリカに手を出してしまった。12月頃からミリ単位の小さなつぼみをつけ始め、まだ開花期ではないが薄く赤みが入ったライラック色の花がポッポッと咲き始めた。

(写真)エリカ・ダーレンシスの花


このエリカ・ダーレンシスは、ヴィクトリア時代(1837-1901)の末頃、イギリスのダービーシャーのダーレイデル(Darley Dale)にあるジェイムズスミス・ナーサリー(James Smith Nursery)で発見されたので、地名からダーレンシスと名付けられた。

耐寒性が強いエリカ・カルネア(Erica carnea)と、南欧原産でどんな土壌でも生育するエリカ・エリゲナ(Erica erigena)との自然交雑種とみなされており、丈夫で強いのでいまでは品種改良の基本種となり33種も作出されている。そのうちのどれかに該当するがまだ確定できない。

エリカ・ダーレンシス(Erica darleyensis)
・ツツジ科エリカ属の耐寒性が強い常緑の小潅木。
・学名は、Erica × darleyensis Bean(エリカ・ダーリーエンシスまたはダーレンシス)。属名のエリカは、ギリシャ語のEreiko(裂ける)に由来し、枝が裂けることからついた。
・親の種は、耐寒性が強いエリカ・カルネア(Erica carnea)と、南欧原産でどんな土壌でも生育するエリカ・エリゲナ(Erica erigena)との交雑種で、1890年代にイギリス、ダービーシャー州のダーレー・デイルのJames Smith Nurseryで発見された自然交雑種。
・樹高50-70cmで、枝はよく分岐し葉は小さく一箇所に3-4輪生する。現在の樹高は10cm程度。
・花は、釣鐘状で先端が4裂し開花後も脱落しない。
・開花期は春2-4月で長期間咲き続ける。花色はピンク、ローズ、ホワイトなどがあるがライラックピンクの花が既に咲き始めた。
・開花後の6月頃に軽く剪定する。
・どんな土壌でも育ち成長が速く雑草を抑える働きをする。
・耐寒性は強いが、夏の高温多湿には弱いので半日陰で育てる。冬場は乾燥に注意する。ただし水をやりすぎない。

命名者のビーン(Bean, William Jackson 1863-1947)は、キュー王立植物園の植物学者

(写真)エリカ・ダーレンシスの葉と花

Erica darleyensis, occasionally listed as E. hybrida, originated as a spontaneous cross of E. carnea & E. erigena. Its name darleyensis refers to Darley Dale, a place in Derbyshire, England, where Winter Heath was first grown at the end of the Victorian era in the James Smith Nursery where the first hybrid seedlings appeared.

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