(写真) “ロックウッド デ フォレスト”の花
「ロックウッド デ フォレスト」の花が咲き誇っている。ローズマリーの中でも花の形が美しい。
上の花弁2枚が直立し雄しべ雌しべが丸みを帯びるので横から見ると飾り文字の“L”のようでもある。
ローズマリーは、意外と気分やでパラパラとしか咲かないので、こんなに花がつくのはめずらしい。
この“ロックウッド デ フォレスト”は、半匍匐性なので、深めの鉢に入れ、上からたらすように仕立てていこうと思っているが、成長がのんびりしているのでかなり時間を要する。
はやく、ローズマリーのみごとな枝ぶりの数々を作りたいが、10年はかかるのだろう。
10年持つだろうかこの思い。というのが多少気になる。
こんなことを考えると、日本の盆栽のようでもあるが、ローズマリーの庭は、受け継がれる長期的なガーデニングの思想がないと出来上がらない。
10年先にも残っているのだろうか?
(写真)立ち性の枝についた“ロックウッド デ フォレスト”の花
ローズマリー・ロックウッド デ フォレスト(rosemary Lockwood de Forest)
・シソ科マンネンロウ属の常緑小低木。
・学名は、Rosmarinus officinalis (Prostratus Group) 'Lockwood de Forest'。
・属名の“Rosmarinus(ロスマリヌス)”は、“海の雫(しずく)”という意味で、地中海沿岸の波の音が届く範囲に生息してことでつけられた。
・ローズマリーのグループ名の「Prostratus(プロストラータス)」は、ラテン語で“地をはう”の意味で、枝は地を這うか垂れ下がるかする。
・Prostratusグループのローズマリーは、壁またはロックガーデンのトップからの吊り下げ形が適している。
・ローズマリーの原産地は地中海地方だが、'Lockwood de Forest' 種は米国Santa Barbaraの庭で誕生した異種交配種。(詳しくは下記に記載)
・乾燥したアルカリ性土壌を好む。
・耐寒性は強い。
・草丈は20~200cm。匍匐性(ほふくせい)あり斜面に垂れ下がるか吊り鉢に適している。
・開花期は、初夏(6~7月)と冬(12~2月)が開花期
・ローズマリーには、様々な品種があるが、名前と実物をマッチングさせることが難しい。
“デ フォレスト”夫妻が偶然に作出した新種
この品種は、ロックウッド(Lockwood)とエリザベス・デ・フォレスト(Elizabeth de Forest)夫妻が、サンタ・バーバラ(Santa Barbara)にある自分達の庭で偶然に誕生しているのに気づきしばらくしてから発見したという。
サンタ・バーバラは、ロスアンゼルスから北150kmの海岸線上にあり、今では結構なリゾート地となっている。気候的には、ローズマリーの故郷と似た地中海性気候であり土壌としては適地である。
夫妻のこの庭には、La Mortola庭園オリジナルのRosmarinus officinalis ’Prostratus’とRosmarinus officinalisの茂みがあり、この2種の異種交配によって誕生したハイブリッドのようだ。
発見の時期は定かではないが、経緯はこうだ。
1930年代の初めにサンタ・バーバラの庭にシドニー・ミッシェル(Sydney Mitchell)という人物が訪ねてきて、「イタリアのモルトラ庭園で地を這うローズマリーを見た。是非ここで育てるべきだ。」と教えてくれ、このローズマリー・プロストラータス(Rosmarinus officinalis ’Prostratus’)を手に入れた。庭には、その時にすでに木立性のローズマリー(Rosmarinus officinalis)が植わっていた。
ある日、ロックウッドはこの2種と異なる種があることに気づき、これをカッティング(挿し芽)で殖やしていた。これが後に夫妻の名前をつけた新種のローズマリーだった。
エリザベスが新種に気づいたのはロックウッドが死亡した1947年以降であり、1963年には第三者が認める新種としてカタログに掲載されるまでになり、栽培者のロックウッドとデ・フォレスト夫妻の名前が入った現在の学名として認知されるまでになった。
このローズマリーは、今では、ロックガーデン、段差のある庭でトップから垂らすグランドカバーとして世界を魅了する人気のあるローズマリーとなっている。
“La Mortola Botanical Gardens”は、イタリアのリビエラにある有名な庭園。
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