新基地A護岸 無謀工事 必然の遅滞
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を巡り、政府が軟弱地盤の広がる大浦湾側の本格工事に着手(8月20日)してからまもなく3カ月になりますが、「A護岸」(地図)の造成に必要な約1000本の鋼管のうち打設(打ち込み)完了は14日時点で20本にとどまっています。政府が想定するA護岸の工期は約4年。しかし、このペースだと、単純計算すれば鋼管打設だけで3倍の12年近くかかります。
14日、A護岸建設現場には、鋼管打設を行うクレーン船に、鋼管のストック8本を乗せた台船が横付けされていましたが、打設作業は行われませんでした。台風や天候悪化に伴う遅れも指摘されていますが、そもそも沖縄は台風の多い地域であり、遅れの言い訳になりません。
完全に打ち込まれないまま、大部分を海上に露出したまま2カ月以上放置された鋼管もあります。放置の理由、その用途について本紙の取材に防衛省沖縄防衛局は、「作業の逐一についてお答えすることは差し控える」と回答を拒否しました。
さらに、今年1月に着工された、護岸建設のためのケーソン(コンクリート製の箱)の仮置き場となる海上ヤードも作業が止まっています。現場からは海上ヤード作業船の姿が消えています。その理由も不明です。
政府は大浦湾埋め立ての工期は約9年、完成までは約12年かかるとしていますが、ただでさえ、現在の技術では地盤改良が不可能な最深90メートルに及ぶ軟弱地盤の問題を抱えている上に、工事全体が困難に直面していることは明らかです。
しかし、防衛局は8月以降2カ月以上中断していた大浦湾のサンゴ移植を11日に再開。さらに13日、辺野古側と大浦湾側の中間の辺野古崎付近のN3、N4、K5~7護岸で閉じられた区域(地図)で新たな埋め立てを開始しました。
完成を見通せない新基地建設を続けるのはあまりにも無謀であり直ちに中止すべきです。
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