日本がおしなべて総括が最も下手な国家であり、国民である。
総括とは、日本が明治以来、突き進んでいった怒涛の日々を忘れがちになり、過去の清算をしないまま、現在に至っている事実である。
アジアの黎明を告げたのは、確かに日本国であり、日本国民である。ロシアに勝利したことで、白人社会を脅かす国家として世界を愕然とさせた訳であるところまでは、誰でも理解の範疇にある。
軍部の台頭が激しきなっていく様を、紐解いた知識人は、少なからずいるが、事実の歴史を紐解いた知識人は、見当たらない。しかし、半藤一利が書いた昭和史などを読むと、裏側で何が起きていたのか、総括の原因が見てとれて、貴重である。
なぜ、満州国を創らねばならなったのか、なぜ、中国の奥の奥まで攻め続けたのか。ノモハン事件、インパール作戦の悲劇など、わかっているのに、なぜ、停戦ができなかったのか。半藤一利は、やさしく誰でもわかるように紐解いた。総括をしないまま、現在を生きるのは、未来の日本を伺うことはできない。