“北のまほろば“
先日、司馬遼太郎著“北のまほろば”の本を読んだ。まほろばとは、「素晴らしい場所」「住みやすい場所」という意味の古語である。青森県には、10の市と22の町、8の村の計40市町村があり、本には平内町(人口約1万人)、川内町(5千人)、脇野沢村(2千人)などのことが書かれていた。
30年前、青森県に住んだことがあり、三つとも懐かしいまちであった。脇野沢村と川内町は下北半島にあり、平内町とは夏泊半島にあるまちである。ヒラナイとは青森市から約30キロの“ピㇻ・ナイ”というアイヌ語が語源で、昔はアイヌコタンだったらしい。
青森県には、“蝦名(えびな)”という名前の人が多く、次が北海道に住んでいる人が多い名前らしい。私の知人にも蝦名という名前の人が三人いて、そのうちの一人が平内町出身であった。調べると、平内町には約500人の蝦名姓を持つ人がいて、平内町の人口に換算すると5%を占める多い名前であるから一番多いのかも知れない。
アイヌ(エミシ)は全国にいたが、蝦名姓が青森県と北海道に多い名前ということは、昔から北海道と青森とは交易が盛んに行われていたと本に書かれていた。なお、北海道への入植者の一番多い県は青森県で、アイヌといえば北海道をイメージする人が多いが、アイヌ文化圏は北海道を含む東北一体だったのである。
「十勝の活性化を考える会」会員