NO-47
みなさん、昨日の深夜に福島より帰ってきました。福島はとても寒かったです。郡山では雪が降り次の日の朝は見事なまでのアイスバーンになり、運転が乱暴な僕にはやっぱり無理で、郡山の仮設なり借り上げなりの住居を構えなくて良かったと思いました。
昼の1時頃でも外気温が0度とか1度で風は強いし、手は悴むし体は冷えるしで東北の寒さを体感して横浜の気温の高さがありがたく感じました。牛の餌の調達のために富岡町から出て来た彼と三春町で昨日会い、外で話をしてたら口が少し腫れ額もちょっと腫れていたので、どうかしたか?と聞いたらダチョウの話になった。
これから話すダチョウたちも、殺処分されるかも知れないといわれていて、今全国の動物愛護団体の方が反対してくれているという事らしいです。みなさんには申し訳ないですが、1月の2日の夕方に彼から電話を貰い「ダチョウの捕獲に失敗した!」と僕は聞いていて、福島に帰る準備をしていたためにブログで書きたくてうずうずしていたけど我慢しました。
彼は以前から「ダチョウを捕獲して檻に入れて保護したい」と言っていたのだが、冗談だと思っていたら本気で今まではロープを使い、何とか捕獲しようとしたけど捕まらない話は聞いていた。誰に聞いたかは知らないが、ダチョウは目を覆われるとおとなしくなると。
それで彼は、家から自分の黒い長袖のTシャツを持ち出し、津波で屋根しか残っていない富岡町の駅前にいるオスのあの大きく黒いダチョウを捕まえようと捕獲に乗り出した。ここ数ヶ月間ダチョウにも餌をやり続け、彼の車を見れば餌を頂戴とばかりに近づいてくるダチョウ。
彼は餌をやり、今日の食事時間は終わりだよ~といった時、餌を食べているダチョウのくちばしを素早く掴み、持って来たTシャツで頭を包み急いで袖の部分を緩めにダチョウの首で縛った。ここまでは百点満点で、ダチョウはおとなしくなりじっとしていたのだが、突然の真っ暗闇に異変を感じたダチョウがあの長い首を右に左に大きく振り出した。
その時、緩めに縛った黒いTシャツがスポッと抜けた。これが最大の失敗である。なんでもっと強く縛らなかったのか?と彼に聞いたら、「ギュッと締め付けてはダチョウが弱っちゃうかも知んねえから手加減しちまった」と。
突然、日の光を得たダチョウは彼を見て「こいつめ!よくもやってくれたな!」と彼を見るなり突進してきて、前蹴り一発!立て続けにもう一発!計2発のキックを体で受け止め「うっ、痛てえ!」と不意の前蹴りと強烈な蹴りに彼はひるんだ。
ダチョウの足は膝から下はほとんど骨で、くるぶし辺りは野球のバットより太いかも知れない。足の指は2本でそのうちの一本はかなり太く、爪も大きくてそれで蹴り上げた。かなりの痛さだったようだ。(笑)
怪物君もダチョウには動物愛護の精神で、攻撃出来ず背中を向けて逃げ出したら、ダチョウは「こいつは、めちゃくちゃ弱い奴だぞ!」って思ったか知らないが、彼を追いかけついにバトルに発展した。あの大股で追いかけるダチョウに必死の形相で逃げる彼。この白髪頭のおやじが逃げ回る。おかしくてたまらず笑い転げた。
彼も相手が悪い。ダチョウはボス格で百何十kgの体重がありそうな大物。あの富岡駅は一時帰宅で帰った住民たちが、津波で無くなった駅に立ち寄り写真を撮って帰るある意味名所的な所で、(僕も写真を撮った)サンドイッチやお菓子などの餌をあげるから、他のダチョウを追い出して自分の縄張りにしたダチョウである。
楽して餌を確保する場所を勝ち取った。そういう意味では強いダチョウなのだが、彼も馬鹿じゃないからダチョウが追いかけてきてもトラックの角で直角に横に飛び、勢いが付いたダチョウは急に止まれない!ダチョウの頭と目だけは彼を追っているから、首だけ彼の方向を向いてアスファルトの駅前を足を滑らせてズドーンと横に何度か倒れたそうだ。
倒されたダチョウは「こいつ、ほんとに絶対に許さねえ!」と更にヒートアップ。彼もいつもは可愛い顔してると言っていたダチョウをこの時ばかりは「やべえ!かなりやべえぞ!」と必死で逃げた。彼は「追いかけられてトラック10週くらい走らされた」と言っていたが、僕はその姿を想像して笑った笑った。
ダチョウは車の中に逃げ込んだ彼を、「逃げるな!この野郎!早く出て来い!」とガラスから見える彼を目掛けて前蹴り1発!このときの一撃で右側のライトが飛び出し、コードが伸びきってライトがぶらぶらとぶら下がっていたと。その後も何週も車の周りを回り、雄たけびをしながらダチョウは彼を威嚇しながら待った。
彼は何度もガラスを覗きこまれては、車を蹴られ出るに出れずひたすらダチョウの機嫌が良くなるのを待つが、20分過ぎても30分過ぎても良くならない。7~8m離れたところで羽を広げてのファイティングポーズに怒りの鳴き声を発し「早く出て来い!」と彼を挑発しつづけた。
何度も近づいてはガラスの中を覗き、雄たけびを発してはまた戻りと彼も「あの状況では動くに動けなかったよ!」と言った。あの興奮した状態でトラックを走らせたら、追いかけてきてストレスに弱い鳥類のダチョウに不可がかかることを知っている彼は、そこでずっとダチョウとの睨み合いに入ったのだ。
車から出たらまた追いかけっこのバトルをしなければならないし、ここで車を走らせたらダチョウが追いかけてくるしと彼は真面目に考えてじっとその時間を過ごすわけだが、僕なら怖くてびびってるかも?(笑)自分も車も先制攻撃を受けて、面食らっているのにダチョウは勝ち誇ったかのような態度!自分からは一発も攻撃しなかったから、ダチョウに舐められたのかは分からないが散々な彼であった。
それでも昨日僕の見た彼のトラックに、ダチョウの前蹴り一発の痕が付いていたのだが、トラックのボディがあんなにへこむのだから相当な一撃であったと思った。僕は最初からダチョウが怖くて近づけないから、彼は本当に物好きなんだ!って思っている。彼の太ももには2箇所に真っ赤になったあのダチョウの爪の痕がくっきり。
僕が彼の失敗を笑いの種にしてギャハッハッーと大笑いをし、松っちゃん正月早々やってくれるじゃんって言って笑っていたら「笑いごとじゃねえよ!」と強い言葉で、ムッとしたのがわかったけど「子供がやられたら普通の怪我じゃすまねえぞ!俺のわき腹に入ったら肋骨折られたかもしんねえ!」と怖いことを言った。
2年前に買ったトラックはいつ見ても、これで本当に野良仕事しているのか?と思うくらいきれいで、いつも感心していたのに夏には牛にやられ、今度のダチョウでぼろぼろの傷だらけの状態だ。彼も少しは考えて茶色の目立つガムテープでなくて、透明のガムテープで補修してなるべく目立たないようにしていたところがまたおかしかった。(笑)
「俺は軽傷だが、車は重症だ!」という彼に、明日から餌あげられないんじゃ無いの?って聞いたら、「大丈夫だべ、餌あげないわけにもいかねえし、鳥は2~3歩歩けば忘れるっていうじゃねえか。多分ダチョウだって餌は欲しいはず、大丈夫だべ」とその時は言っていたのだ。
3日目のことは、お互いに連絡していなかったので僕は分からなかったのだが、ぼくは少し不安を覚え松ちゃんの作業服とかダチョウは記憶して襲ってくると思っていたが・・・・これは明日書くね!今日はNTTさんで来てくれて午前中に光の設定してたから遅くなりました。
今日の写真は、みなさんの募金とご支援で頂いた牛のとうもろこしと鳥のえさなどと犬用品です。松村本人から「みなさんに本当に感謝していますとよろしくお伝え下さい」とのことで、強制避難区域の富岡町に戻った彼に代わって御礼申しあげます。これからも引き続きご支援のほど宜しくお願い致します。