世の中には、一見、「そんな研究なんの役に立つの?」と思わせることがある。
例えば、ニュートンという科学雑誌の11月号に載っていた記事で
強くて高い“砂の城”--砂場でつくる“砂の城”の高さを最大にする数式と水分量がわかった
というタイトルであった。
「え!?」てな感じである。
そして、これだけ聞くと、「なんの役に立つの?」的疑問を持ってしまう。
記事を読み進めていくと、こうである。
砂浜や砂場でつくる“砂の城”を高くするためには、適度な水分を砂に含ませ、土台の直径を大きくすることが大切だとされている。
だが、実際に“砂の城”をどこまで高く積み上げることができるのか、よくわかっていなかった。
へぇ~と思う反面、そんなこと誰もまじめに研究しないだろうと、つい思ってしまう。
だが、イラン、基礎科学高等研究所のパクポーア博士らは、円柱形の“砂の城”をつくり、実験的に検証したというのである。
その結果、“砂の城”の最大の高さは、ある数式に従うことを見出したというのである。
本当に大真面目なのである。
その数式によると、城の最大の高さは、土台となる円の半径の3分の2乗に比例するという。
さらに博士らは、砂に含まれる水分は1%程度が最適であることを突き止めた。
1%よりも多すぎても少なすぎても、“砂の城”はもろくなるという。
1%程度の水分量だと、水は砂粒と砂粒の間に入り込み、砂粒どうしを結びつける役割を果たすという。
ここまで聞くと滑稽に思えてくる。
しかしこの成果は、ダム建設などの土木工学への応用が期待できるというのだ。
そこまで聞くと、なるほど、確かにである。
産業の芽を探すとき、何事にも大真面目に向かい合わなければならないと改めて思った。