勃ちあがった象の白い涙の物語

ロックンロールにゃ老だけど死ぬにはチョイと若すぎる

『野獣死すべし』

2016-08-15 04:00:01 | DVD(映画)
80年発表の松田優作主演の映画。
この作品の演技において、松田優作は名優の称号を手にしたといっても過言ではない。
とにかく、この映画で見せる優作の狂気に満ちた演技は、唯一無比のものであり、彼以外にこのような演技を成し遂げられる役者は、おそらくいないであろう。

そんな優作の演技以外にも、殺害されるシーンでの小林麻美の美しさや、列車内の室田日出夫の演技など、見どころはそれなりにある。

ただ、内容が少し難解というか、やりたいことはわかるのだが、上手く消化できていない印象がある。
戦場カメラマンとして数々の戦場で凄惨な場面に出会うことにより、その精神を狂わせてしまった伊達邦彦を描くことにより、単に戦争の悲惨さを描くのではなく、戦争という異常な状況が人間の精神に及ぼす影響を描くことによる、ある意味、よくできたテーマの反戦映画ということはわからいではないのだが、ちょっとわかりづらいような、と思う。
特に、その傾向が顕著なのが、いろいろと語られることの多いラストシーンである。
日本映画史上、指折りの難解なラストシーンといわれるあの場面は、これだけいろいろと語られて、いまだにこれといった定説的な解釈が出てこないということは、単に観客にやりたいことが伝えきれていないという、作り手の未熟さの表れであろう。

『蘇る金狼』

2016-08-13 02:51:02 | DVD(映画)
79年の松田優作主演作。
ストーリーはご都合主義だし、アクションはチャチだ。
ただ、松田優作を筆頭に、小池朝雄、成田三樹夫、岸田森や佐藤慶など、出演している役者は、一見の価値があるし、特に、風吹ジュンには、特筆すべきものがある。

それ以外には、内容的にはあまり見るべきところはないが、のちの『野獣死すべし』で見せた松田優作の狂気の演技の原型が見られたりはするし、特に、ラストシーンは、なかなかの見どころだと思う。

『ゴジラvsビオランテ』

2016-08-10 01:54:30 | DVD(映画)
84年に復活したゴジラの2作目の作品。
ゴジラ作品の中では酷評されることの多い作品だが、個人的にはナカナカだと思う。
CGが当たり前の今見ると、少しチャチな印象を持たざる得ないが、制作当時の状況を考えるならば、よくできていると思う。
確かに、ストリー的には、少し中途半端な印象を持たざる得ないが、ビオランテの造形はよくできている。
このビオランテの造形のすばらしさは、ゴジラ怪獣史上、屈指のものだと思う。

ただ、この植物と動物に融合というのは、かつて『帰ってきたウルトラマン』であったネタではある。

『真田幸村の謀略』

2016-07-12 13:12:38 | DVD(映画)
この作品の前に、『柳生一族の陰謀』が大ヒットして、その流れで作られた作品であるが、『柳生一族の陰謀』とは比べものにならない駄作である。
出演者は豪華だし、それぞれの演技も、大げさすぎてわざとらしい。ただ、それはそれで、この手の作品らしくていい
しかし、話の内容が、史実を完全に無視しているうえに、あまりに荒唐無稽である。
正直、『柳生一族の陰謀』も話の内容はそうであったのだが、少なくともチープではなかった。
それが、これは、あまりにチープである。
はっきり言って、今更、見るだけの価値はない。

細見美術館 春画展

2016-02-20 01:04:36 | DVD(映画)


(本文と写真との間には、何の関係もありませんし、何の意味もありません)

一部で話題の細見美術館の「春画展」に行ってきた。
予想していたことではあるが、人でいっぱいである。
さすがに入場までの待ち時間はなかったものの、展示物の前は人でいっぱいで、とても展示物を見れるような状況にはない。

この大雨の中ですら、この人手。普通なら、どうなんだろう。

「永遠の0」

2015-08-17 02:05:56 | DVD(映画)
原作は太平洋戦争を、真珠湾攻撃から沖縄戦まで、その全貌を一通り抑えているのだが、映画と言う時間の限られたなかでは、そういうわけにもいかず、また、原作者の百田尚樹は、超がつくほどの右翼的な思想の人のようで、その手の発言が物議を起こすことが、最近、多いような気がするのだが、この映画では、そういう右翼的な部分が必要以上に強調されているような気がして、そういう意味では、少し残念な気もするのだが、それでも、これは、結構、いい映画だと思う。

「余命1ヶ月の花嫁」

2015-06-13 00:40:16 | DVD(映画)
原作はすごくよかった。
単なる病気もののお涙頂戴ものになっていなくて、ちゃんとメッセージもあったし、それがこちらにきちんと伝わる内容になっていた。

それに比べて、この映画は、単なる病気のお涙頂戴ものになってしまっている。

それはそれで楽しめるのだが、これでは千恵さんは泣いているぞ。

「日本沈没」

2015-06-09 00:28:24 | DVD(映画)
確か2006年くらいに公開された映画だったと思う。
ということは、あの2011年の大震災以前に制作された映画だと言うことである。

東日本大震災を経験した、さらに、ここしばらくの天災の続く昨今に、改めて鑑賞してみると、それなりに考えるところが出てくるのだが、映画としては、すごくよく出来た映画だと思う。

「少年H」

2015-05-03 04:05:10 | DVD(映画)
映画としては、まぁまぁ面白かったのだが、原作を読んだ人間としては、イマイチ不満が残る。

日本人にとって太平洋戦争というのは、非常に大きな歴史的な出来事だったのだろうし、その民族の精神性というか、その根底に存在する、そういうものに大きな影響を与えているのだと思う。
それゆえに、あの戦争を描いた作品は数多く存在するのだけれど、そのどれもに共通して言えることは、ある種の湿っぽさが感じられることである。
ところが、この「少年H」の原作では、そういう湿っぽさが非常に希薄で、そういう意味で、非常に稀有な作品であったと思う。

それが、この映画では、原作では抑えられていたその湿っぽさが復活してしまっている。
なんか、もったいないなぁ、と思ってしまう。

「風立ちぬ」

2015-02-25 02:11:35 | DVD(映画)
本当のところはどうなるかわからないが、今のところ、日本映画界屈指のヒットメーカー宮崎駿の引退作となる作品。
先日、早くもTVでやっていたので見てみた。

いささかストーリーとしては淡々としているような印象はあるが、いい映画だと思う。
公開時に中国や韓国から批判された軍国主義的なものは感じられなったし、あの批判は、はっきり言って的外れも甚だしく、そういう批判をする人間の文化的なレベルの低さを露見するだけになったのじゃないか、と思う。

ただ、同じように批判されたタバコの吸い過ぎは、確かにそのとおりだな、とは思う。
喫煙シーンが必要以上に自粛されている今の時代だからそう思うのかもしれないが、何か必要以上にタバコを吸っているよな、とは思う。

「ノルウェイの森」

2015-01-10 04:42:55 | DVD(映画)
はっきり言って、さっぱりな映画である。
やりたいことはわかる。
原作の村上春樹の世界観を、何とか映画で再現しようとしているのはわかるのだが、正直、この目論見は完全に失敗している。

これは、役者の演技や演出に問題があるのではなく、こういう企画そのものに問題があるのだ。

正直、見ないほうがいい映画である。

高倉健さん、亡くなる

2014-11-18 21:49:08 | DVD(映画)
(本文と写真との間には、何の関係もありませんし、何の意味もありません)

最後の日本映画界の大スター、高倉健さんが亡くなったらしい。
個人的には、健さんの映画にはそれほどの興味はないが、彼が出演するというだけで客が呼べる数少ない俳優の一人であることは確かだと思う。

本人も認めているようだが、健さんの場合、それほど演技が上手い俳優というわけではない。というか、演技の基礎をキチンと勉強する前にスターになってしまったために、そういう基礎ができていないようだ。
それだけに、どんな役を演じても同じ演技になってしまう。というか、同じ演技を求められるような役ばかりしか演じていない。
ただ、ある意味、それで、あれだけの存在感と人気を保つことが出来るのだから、やはり、役者としての資質は並みの物ではないとは思う。