トーネードの無職生活

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「フーコン戦記」を読んでいます

2015-12-02 07:17:24 | 日記
 先ごろ読み終えた「龍陵会戦」の著者古山高麗雄の三部作の三番目の作品の「フーコン戦記」を読んでいるところです。「龍陵会戦」は著者がかかわった戦いであったので、物語は著者本人が私として語られていました。「フーコン戦記」は著者はかからわれてはいませんので、取材された方がモデルなのか著者の創作なのかはわかりませんが、一兵士の方が語られています。

 「フーコン戦記」で戦った菊第十八師団は「龍陵会戦」の龍五十六師団とは同じ九州北部出身者を中心とした部隊で、菊と龍は兄弟師団で日本一強い師団といわれた部隊です。

 フーコンの戦いは同じビルマの戦いの中では扱いが地味なのですが、悪病瘴癘の地で連合国軍の大軍を相手に粘り強く戦い、後退戦を続けて最後まで戦った部隊です。当時の師団長が田中新一で、彼は開戦当時の参謀本部の中心人物で軍務局長の武藤章とともに太平洋戦争の開戦を引っ張っていった人間です。

 ところが、東条首相とけんかしたためビルマの第十八師団長に飛ばされたのですが、そのおかげかいっしょに開戦を主導した武藤章はA級戦犯で死刑になったのに、同罪であるにもかかわらず戦犯にもならなかったという人間です。人間の運命はわからないものです。

 陸大出の中には師団長としては無能な人間も多々いたようですが、田中新一は苦しい戦いの中で部隊が大変な損害をこうむったにもかかわらず、師団を崩壊させることなく戦いぬいたという意味ではなかなかの師団長だったともいえると思います。

 まだ読み始めて三分の一ぐらいですが、「フーコン戦記」も前作同様、下級兵士が生き残って戦後にフーコンでの戦いを思い起こすような感じで話がすすんでいます。前作は著者の強い感情が感じられましたが、この作品ではオブラートに包まれたような感じですが、大きな被害を受けた部隊で生き残った者として戦争に対する意識が感じられる作品になっています。

 前にも書きましたがビルマの戦いは裏庭での戦いで、インパール作戦以外あまり取り上げられませんが、著者の三部作以外にもアキャブの戦いやイラワジ河会戦など地獄のような戦いが繰り広げられた地域でしたので、日本軍を考えるうえでももっと知られるべき戦場だと思います。

 余談になりますが、当時のビルマは今のミャンマーで、スーチーさんが率いる政党が選挙で過半数を確保して政権交代することになりましたが、スーチーさんが大統領以上の存在になって支配するみたいなことを言っているようで、なんとなくスーチーさんに不安を感じてしまっているところです。