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旧海軍の潜水艦

2018-05-23 17:41:14 | 日記
 今月発売された歴史群像に日本海軍の潜水艦に関する記事がありました。内容的にはこれといって目新しいことはなかったのですが、日本海軍の中で期待されていたにもかかわらず、潜水艦部隊が振るわなかったのかを改めて考えさせられました。

 日本海軍の潜水艦は仮想敵国である米艦隊が日本に向かって進撃してくるところを潜水艦で攻撃して被害を与え、その結果として日本艦隊と同程度に米艦隊の戦艦群を減らして決戦に持ち込むことを目的としていました。そのため、潜水艦には米艦隊の速力を上回る速力が求められました。そしてそのような潜水艦が建造されました。

 で、実際真珠湾攻撃で日米が開戦したわけですが、もともと日本海軍の潜水艦が標的としていた米海軍の戦艦群は撃沈破されてしまいました。それに代わって米海軍は空母を中心とした高速な機動部隊を用いるようになりました。低速な戦艦ではなく高速な空母を中心とした部隊には潜水艦では対処しきれなくなりました。

 ですが、日本海軍は潜水艦を戦闘艦撃破に用いようとしました。確かに空母ワスプ撃沈などの成果をあげているのですが、もともと想定していたほどの成果を上げることは困難となっていました。そのうえガダルカナルの戦いで補給のために潜水艦が使われるようになり、被害も増えてきました。

 潜水艦の艦長たちは輸送船を攻撃することを訴えましたが、背に腹はかえられず潜水艦が補給に使われました。そして米海軍のソナーやヘッジホッグといった対潜兵器によって日本海軍の潜水艦の活動は困難となっていきました。

 ということで、日本海軍には潜水艦の特性を生かした戦術をとる余裕がなくなってしまった結果、被害のみが大きくなる悪循環に陥ってしまったといえます。インド洋では通商破壊に活躍したこともあるのですから、もっと余裕をもって潜水艦を運用できていたら成果をあげられていたのではないかと思います。

 目先のことに対処しなければならない状況に追い込まれ、それにつぎ込まれてしまったことが日本海軍の潜水艦の不幸だったように思います。