丸で特集された隼の記事を読む

　先月発売された丸の特集は、陸軍の戦闘機一式戦隼でした。隼は海軍のゼロ戦と同じ時期に開発された機体で、基本的に同じエンジンを搭載していたのでなにかと比べられますが、一般的にはゼロ戦の方が性能的には上という印象が持たれているような気がします。しかし、製造された機体の数はゼロ戦に次ぐ5000機以上となっていて、陸軍の主力戦闘機として大戦を戦い抜いた機体でもあります。

　ゼロ戦より劣っていると思われてしまうのは、武装が主翼の設計上の制約のために主翼に機関銃を搭載できなかったこと。スピードがゼロ戦より若干遅いぐらいのものでしょうか。逆に旋回性能ならば隼の方が上回っていたようです。それから今回の特集を読んで初めて知ったのですが、隼は燃料を積めるだけ積めばゼロ戦より多くの燃料を積めたという事。実際にはそこまで燃料を積まづに活動していたと思うのですが、ちょっと驚いた点でした。それから、隼は燃料タンクに防弾の設備が整っていたこと。ゼロ戦はほぼなしでしたから、曲がりなりにも防弾の設備がある点は大きな違いだと思います。

　ということで、隼はゼロ戦を上回る点もあったのですが、どうもゼロ戦より低く見られがちです。それは私が思うには開戦時にゼロ戦は空母部隊や主力となる陸上の戦闘機部隊にに配備されていて縦横無尽に活躍し、その後もラバウル航空隊の活躍などで印象に強く残ったことがあると思います。

　ところが隼は開戦時に二つの部隊に配備されているだけで、それ以外の戦闘機の部隊は旧式化した九七式戦闘機が配備されていて、それが隼に置き換わるまでにかなり時間がかかったのと、隼が活躍した戦場がビルマやニューギニアといった大戦の羅海道みたいな戦場で注目を浴びずらかったからだと思います。

　隼は大戦の初めから終わりまで戦い抜きますが、陸軍の戦闘機は二式単戦、三式戦飛燕、四式戦疾風、五式戦と次々新しい戦闘機を開発して投入したのに対して、海軍はゼロ戦で大戦を戦い抜くことになります。大戦末期に紫電改が活躍したのがゼロ戦と違う機種がでた例としてあるくらいでしょうか。ということから考えると、陸軍の戦闘機開発の方が柔軟だったような気もしてきます。

　そのような中でも一式戦隼は主力戦闘機として大戦を戦い抜きますが、末期には特攻機としても数多く使われたのが残念という感じがしてなりません。