トーネードの無職生活

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先月発売の丸の特集の日本海軍の彗星艦爆を読んで

2019-07-07 02:53:47 | 日記
 先月発売された丸の特集は日本海軍の艦上爆撃機彗星でした。この機体は私の好きな機体のひとつでもあります。非常に特徴のある機体で、設計開発したのが民間の航空メーカーでなく海軍の空技廠の技官でした。またドイツのダイムラーベンツの液冷エンジンであるDB601をライセンス生産したアツタエンジン搭載した機体でした。

 海軍が民間の航空機メーカーに開発を指示せず自ら空技廠で設計開発しようとしたのは、たぶん民間の航空機メーカーに開発させても必要な時期に開発を終えて実戦に投入できる機体を開発製造することが技術的に難しいのだと判断したのではないかと思います。急降下爆撃を行う艦上爆撃機は機体の強度などなど民間メーカー側にまだノウハウの蓄積がなく、民間航空機メーカーだと他の機体などにも人手をとられたりすることのあって開発が遅れることなども考えられ、空技廠の技官が彗星の開発のみの専従となり専門に設計開発に取り組むことが必要と考えたのではないかと思います。

 しかし学者とはいわないまでも民間のノウハウに欠けた空技廠の技官が設計すると、製造のしやすさだとか工数をすくなくして手間がかからないようにするとか、整備性の良さだとかってことはあまり考えずに開発設計することになって、実際に彗星を製造した愛知では結構苦労したのではないかと思ったりしています。

 またエンジンですがダイムラーベンツからライセンス生産の契約を取るのにかなり苦労したとのことでした。同盟国どおしなので政府レベルの働きかけですんなりいくのかと思ったら全くそうではなくて、さらに陸軍も川崎でのライセンス生産をすることにして話がややこしくなったようです。そしてドイツは戦争をはじめそうな時期ということで綱渡りで契約をしたことを特集の中で知りました。

 DB601を海軍では愛知が、陸軍では川崎が製造したり改良することとなりました。愛知のライセンス生産もかなり苦戦したようでなかなかエンジンができあがらないという状況だったようです。ですがその後性能向上型を愛知は開発して製造しましたが、陸軍では性能向上型の製造に失敗し首なしの機体がたまるということになりました。

 陸軍と比べると海軍の愛知の製造したアツタはトラブルが少なかった印象を受けているのですが、日本では液冷エンジンはマイナーな存在なので整備員が取り扱いに慣れていないというのがあったように思います。そのためエンジントラブルが多い。ですから乗りたくない機体ということになっていったような感じがします。しかし大戦末期に美濃部少佐のもと作られた芙蓉部隊では乗り手のいない彗星を集めてきちんと整備をして沖縄戦で特攻はせずに夜間攻撃を行い成果を上げました。ですから、きちんと整備ができる人員と部品材料などが得られれば稼働率もそこそこ高くすることができたのではないかと思います。

 彗星の実戦参加は艦爆としてではなく二式艦偵という偵察機としてミッドウェー海戦に参加しました。今回の特集で彗星を装備した部隊の解説もあったのですが、想像上に偵察機として配備されていて驚きました。艦上爆撃機としての彗星の部隊はたぶんアツタエンジンの生産数が少なくて機体の生産が上がらず、なかなか部隊がそろえられなかったという感じを今回の特集の記事を読んで感じました。潤沢に彗星艦爆が供給されていたならば旧式化した九九艦爆が戦争末期まで攻撃に向かわなければならなかった悲劇もなかったのではと感じたところです。

 アツタエンジンの生産がすすまず彗星の機数が増えないということからだろうと想像しますが、エンジンを空冷エンジンの金星に換装した彗星もつくられるようになりました。このころになると特攻一色という感じになってきていて空冷化した彗星にも特攻専用機なんてのも生産されるようになっていまして、彗星のなかでもこの機体だけはどうも受け入れがたいって感じがしてしまいます。

 彗星は性能的にはすぐれたものがありましたが、兵器として見た場合、必要な時期に必要な機数がそれえられずに小幅につかわれて結果が残せなかった機体って感じになってしましますかね。でも彗星の写真をみるとその美しさにはほれぼれとするものがあります。