無心
2018-02-27 | 祈り
その写真は事後承諾だった。
思わす連続してシャッターを切ってしまった。
たぶん、その人は撮られていることさえ気づいていなかったかもしれない。
それほど無心の祈りだったと思う。
初めて人が無心に祈る現場に立ち会えたかもしれない。
祈り終えた人に声をかけた。
反って来た声は、真摯な祈りと落差を覚えるほど快活な声だった。
小柄な彼女は、4度目のお遍路さん。
そして雪の日に出会ったお遍路さん同様、名古屋からの人だった。
驚いて、そのことを話すと、名古屋からのお遍路さんは意外と多いのだと云う。
今回はバスや公共交通機関を利用してのお遍路道中だが、歩き遍路も2回、
逆打ちも1回経験済みだと仰る。
あの無心の祈りは、私には計り知れない信仰の境地なのかもしれない?
ポカポカ陽気のその日、何人かのお遍路さんと出会えた。
3番目の画像の佐賀からやって来た大学生。春休みを利用したライダーお遍路さん。
ライダーお遍路さんは、もう一人、福山からのハーレーダビットソンの人ともお話できた。
祈りの風景も回を重ねるごとに、計り知れない世界を、その縁から覗き見るようで、なんだかドキドキする…
見てはいけない世界に足を踏み入れてしまったのだろうか?
写真を見ていると「無」の境地に引き込まれるような感じを受ける。
モノトーンの写真も同様・・・
これが感性なんだろうな?
いろんな想いを込め遍路をされている人たち、この文化、大切にしたいと切に願う。
この季節特有の遠い山並みが墨絵のように滲んだ春霞の世界に魅せられます。
ちょうど野良仕事をしていたお婆さんが焚火をしていたので、
焚火の煙と霞たつ野辺景色とお婆さんのシルエットが綺麗でした。
どうも最近、色を失くしたモノクロームの世界に傾きがちです(笑)
人が祈る姿は、聴こえてくる「色即是空」の声聞のように周囲の色彩さえも余分なものに思えてきます。
写真を撮るだけでなく、訪れる巡礼の人を待ちお話を聞いていると、
ポカポカ陽気に日向ぼっこする札所の猫になったような気分です。
そのまま微睡みに落ちてしまいそうな春の午下がりでした…