あれから三ヶ月、やっと山へ還ってきた。
身体の機能を損なうということが、如何に不自由なことか、
人の運動機能が、どういう身体の部位の連携で動いているのか、
改めて基本に還るというか、
生命体としての身体性(蘇生力)を実感した三ヶ月間だった。
雨上がりの瑞々しい風景を思い描いていた。
ほんの目の前、視線の先が輪郭を失って漂白してゆく、茫漠たる深い霧の中を手探りで彷徨うような峠越えだった。
そのまま異界へ誘われてしまう迷宮行…離人症めいた感覚に強く襲われた。
たぶん、それは私たちが近代化以前に失ってしまった原初的な世界への畏れと郷愁だろう…
それを内田樹は、村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」における書評のキーワードとした。
雨月物語の上田秋成から江藤淳、そして村上春樹へ至る系譜…
またそれは、柳田国男の「遠野物語」や宮本常一の「忘れられた日本人」や折口信夫の「死者の書」などで、
繰り返し綴られてきた記憶の深いところに仕舞い込まれてしまった懐かしい風景なのだろう…
先日、ホッホさんと深夜の長話の中で私自身がポロリと漏らした言葉、
「自分自身が山へ何度も通い続ける動機は、こんな原初的な闇や境界の風景と向き合いたいためかもしれない?」
そして今夜も圧倒的な闇の只中にテントを張り、
空を覆い尽くす綺羅星の輝きや、闇を透かして迫る森羅万象の気配に意識下の古層がざわざわ感応する(苦笑)
また色んな人たちとの出会いもあった。
瓶ヶ森白石小屋では管理人のI さんと、山にまつわる旧知の人たちの話を。
早朝の女山山頂では、宇和島から通い続けるお馴染の写真ヤさんZさんから、
アケボノツツジという石鎚の春を告げる花の、
その艶やかな華やかさ故の、周辺環境がどんどん劣悪になるというパラドックスを聞いた。
岩黒山のあの老木も、近年は左半分が花を咲かせなくなったようだ。
森林管理局の二人は、撮影のためにアケボノツツジ周辺の樹木を刈り払う愚行を言い募っていた。
そんな話を聞くにつれ、どうも最近、この花に対する撮影意欲が減退する。
高知のmisaさんとも一年ぶりですね。
瓶ヶ森到着からのメールのやり取りで、彼女とその写真のお師匠さんが、こちらへ向かっていることを知る。
まぁ、こういう偶然もあるのだ(笑)
私は春浅い森の風景を楽しみ、彼女たちは朝霧の仁淀川風景を楽しんだようだ。
伊吹山での、おだやかな五月の陽射しの下の昼食、
それぞれの写真や風景に対する想いがスパークする楽しい時間でした。
また今度はササユリの頃にね。
そして山の神様からの御褒美は、雨上がりの空を染めるStay Gold な夕焼けでした。
雨上がりの夕焼は綺麗でしたね。下界はPM2.5の影響でしょうか息苦しいので、シラサのテン場に行っておりました。ニアミスでした残念です(;_;)
また元気に山行され、素敵な写真が見られて嬉しい限りです。
山の写真、まさにランスケワールド!
そうでしたか、すぐ近くにお互いいたのですね。
シラサのテン場ということは、オートキャンプですか?
あの場所はロケーションは悪くないのですが、
車の往来する道路に面していることが難点です。
でも市街地近郊のキャンプサイトと較べると、ずっと静か。
山で一晩過ごすとリフレッシュできますよね(笑)
また何処かでお会いしましょう。
鬼城さんやkyoichさんにとって、お馴染みのこの場所は、
いかに林道を利用してお手軽に来られたとしても、人影の途絶えた氷見二千石原の開けたロケーションの只中で過ごす時間は格別です。
今回は台ヶ森方面へ下り、春浅い森を撮影しました。
まだ下りの山道では足に違和感や痛みが残ります。
徐々に慣らしてゆきます。
間もなく源流域の森も萌黄の季節を迎えますから(笑)
なかなかいいところです(^^)
それは知らなかった。
いつも山荘の道路を挟んだ向かいの草地にテントを張っているのを見ていたので、
あの場所がシラサのキャンプサイトと思っていました。
ブナの森の中のテン場は好いですね。
それに水場とトイレも完備しているなら。
写真目的でなければ、
ちょっとそそられるロケーションです(笑)
しっかり維持管理いただいているので安いと思います。山荘のご夫婦は気さくでいい方でした(^^)
記事の表紙にされておられます針葉樹林のシルエットと雲が夕日に染められた光景はとても素敵だと思いました。
時々山に行っておりますけども自分のヘタクソ加減には涙がでるばかりです。
まだ下りで違和感や痛みが残っているとのことですが、これからもランスケさんの素晴らしい世界とても楽しみにしております。
まったく人の気配がしない山深い場所で、野営をしてみてください。
きっと今まで経験したことがないような圧倒的な闇や野生の気配が迫ってきます。
今回のブログで一番言いたかったことだし、私自身が10年間続けたHPやブログで、ずっと書き続けてきたことです。
意識の底で眠っていた「野生の記憶」が、ざわざわ呼び覚まされてきますよ(笑)
えっと、本来は国定公園内でのテント泊は指定された場所でしか出来ません。
念のために(苦笑)
確かに、いけぴーさんのブログを見ていると、試行錯誤しているな、という感じが伝わってきていました。
そういう時期は必ずあるので、あえて助言を控えました。
以前も言ったように定型に囚われないで、
色々試してみてください。
目の前の風景から何を切り取るかは、
撮影する人によって違って当たり前なのですから。
私も、どれくらい失敗を重ねてきたことか(苦笑)
また山でお会いしましょう。