立春過ぎに今シーズン一番の寒波がやって来た。
そして、この日は満月である。
なかなか週末の休日に、こんな幸運が重なることはない。
この冬三度目の石鎚は、単独行。
月の撮影がメインなので望遠レンズと重い三脚を担ぎ上げることにした。
極端に積雪量の少ない年だから、できる撮影法だと思う。
それに一月は二度、山へ入っているので身体もできている。
朝方降った雨が山では雪になっていた。
ロープウェイを降りた成就社から、真っ白の雪景色。
正午過ぎには雲が切れて、石鎚の稜線が見え始めていた。
天候の回復が早過ぎる。
これでは月の出の夕方まで霧氷が残っているか心配だ。
積雪量は今シーズン一番だろう。
二の鎖から上は、斜面の吹き溜まりで1mを超えているだろう。
新雪なので三の鎖の巻き道の凍結も大丈夫だった。
多くの登山者と擦れ違いながら、誰もいない山頂に3時過ぎに到着した。
案の定、霧氷は強い北西の風に吹き飛ばされて、かなり落ちてしまっている。
月明かりの銀世界撮影には、寂しい風景だ。
弥山冬期避難小屋に荷物を解いて、寝床の準備。
暖かい珈琲とドーナツで一息入れる。
チョコレートドーナツの甘さが、スーッと口腔いっぱいに広がり、
冷え切った身体と臓腑に染み渡る。
スイーツで幸せになる女性たちの心理が、よく理解できる多幸感に包まれていた(笑)
大好きな仏映画「ショコラ」の蠱惑的な映像が脳裏に甦る。
日没の時間と重なるように東の空に満月が昇ってくる。
この時期、月は北に傾いて瓶ヶ森あたりから昇る。
夕映えに染まる天狗岳を撮っていると、
思いの外、早く淡く色の薄い月が瓶ヶ森から顔を覗かせていた。
慌てて望遠レンズを取りに小屋内へ走る。
三脚に望遠レンズを装填して撮影開始。
山の端に薄い雲がかかり、紅い月がもうかなり高く上がっていた。
稜線からせり上がるように昇る月を撮り損ねてしまった。
これだから月の出の撮影は難しい。
翌朝の月没撮影に望みを託そう。
残念。夜半から山上は吹雪が吹き荒れ、下山まで雲が切れることはなかった。
風景写真の撮影は一期一会。
撮れる時にベストを尽くさないと、次はないのだ。
改めて、この鉄則を思い知らされた。
マジックアワーも終わり、高く上った満月が皓々と夜空を照らすまで撮り続けた。
この穏やかな空模様が嘘のように、夜半から吹雪が吹き荒れ、
小屋からトイレまでの行程が、過酷な状況に。
行きは吹雪に目を開けていられない。
帰りは身体が宙に浮きあがるくらいの烈風。
この時は、落ちた霧氷がみるみる成長してゆく姿に、翌朝の期待感を膨らませていた。
しかし冬山の天候は、こちらの思うようには行かないものだ。
下界が晴れていても、石鎚山上は絶え間なく流れてくる雪雲に覆われていることが多い。
翌日、山上は終日、雲に閉ざされた。
下山した成就あたりも、チラチラ小雪が舞う空模様だった。
下山して、ポン・ジュノの快挙を知った。
去年、是枝裕和のカンヌ・パルムドールに続いて、
今年もアジアからポン・ジュノの「パラサイト」がカンヌ最高賞を獲得した。
どちらも貧困と格差を独特のユーモアで綴った作品。
そして、なんとアカデミー賞、作品賞、監督賞他4部門獲得の快挙。
ポン・ジュノの受賞スピーチが、スコセッシを初め深い映画へのリスペクトに溢れ素敵だった。
厳冬期の石鎚、もう経験することは無いけれど素晴らしい画像とともに体に響きます。
体調も復活されたようだし、トレーニングの効果も出ているようで安心です。
自然の写真は「一期一会」、よく分かります。(涙
この日、私は先日の撮影場所で城と月の出を待っていました。準備万端・・・
今回は満月があまりにも明るすぎて、マイナス補正を忘れる有様でした。
DPPで現像修正・・・これも使い慣れて居ないので悪戦苦闘でした。
近日中にアップします。
別件ですが、アカデミー賞、おめでとうですね!
腫れ出すと言う予報を見てラインにメッセージ入れ
てたのですが、満月が目標だったと言うことで目標
達成おめでとうございます!!しかも天狗と鳥居も
氷結してますね!
パラサイトは実は知りませんでした。また見てみたい
と思います。でも今回は日本勢も頑張ってましたよ。
望遠レンズ特有の圧縮効果で見事な満月写真でしたね。
惜しいのは、鬼城さん自身が書いているようにマイナス補正が弱くてオーバー気味の露出だったことです。
今月も再挑戦したとのこと。
ブログ掲載を楽しみにしています。
やっと立春過ぎになって雪山撮影らしい積雪量になりました。
でも予想通り、笹が埋もれるほどの雪は、今年は無理ですね。
この連休、積雪量次第では瓶ヶ森入山も考えていました。
掲載した月の出の写真のように瓶ヶ森の笹原が雪で埋もれる積雪量とは、程遠い有様です。
それに週半ば、春を思わせるような気温と雨の予報が出ています。
これで積もった雪が、また融けてしまいます。
今年の雪山撮影は、これで終わりかもしれません?
英語圏以外の作品のアカデミー賞受賞、それも作品賞、監督賞の快挙です。
ポン・ジュノの「パラサイト」は世界で180億円以上の興行収入も挙げている大ヒット映画でもあるのです。
多様性へとシフトを切ったハリウッドの歴史的な映画となりました。
ポン・ジュノの過去の作品、改めて見返しています。
今回は三連休なので、私も最後の日を秋葉祭りに充てるか迷いました。
でも明日からしばらく雨予報なので、山道具の洗濯とメンテナンスそしてブログ更新を優先しました。
lineへのメッセージありがとう。
事前の天気予報を見ても、まさか吹雪になるとは思ってもいませんでした。
ライブカメラを見ると今朝の映像が見事な朝焼けでした。
もう一泊する食糧を持っていかなかったのが残念。
念願叶い、やっと行くことができました。
ランスケさんが訪れてアップされ、ますます行く気になりました。(笑い)
凄い人、素晴らしい伝統、堪能しました。
masaさんとはどこかですれ違っているかもしれません。
ああいう土俗的な祭礼が、今も残っていることが嬉しいです。
火事装束からも分かるように防火の神(秋葉権現)由来の神仏習合の神様ですね。
天狗や狐やひょっとこのお面を被り、山間の往来を行列する異形の姿に惹かれます。
そして鳥毛ひねりの動的なパフォーマンスが祭りの華ですね。
私もぜひ来年は、この祭りの土俗性を際立たせる撮影方法を試してみたいと思っています。
かうまく撮影できませんでした。今年は(昨年も?)
どうやら世代交代で いろんな意味で新しいお祭り
になった感がありました。また来年行きたいですね。
その時は雪が降る中(笑)
鬼城さんおつかれさまでした。靴はお山用のブーツで
上は赤いシャツでした。またいつかお会いした時
いろいろおしえてください!!
以前は土佐の三大奇祭と云われていたのに、近頃は土佐三大祭りへとメジャー化していますね。
masaさんの言うように世代交代や時代と共に変化してきているのでしょう。
でも、この祭りの纏う特異性は格別です。
全国にある秋葉神社の総本山である静岡の秋葉山神社本宮のお祭りを見ても、
仁淀の秋葉祭りとは、まったく違うものです。
土佐秋葉祭りの土俗性が際立っています。
初めてこの祭りの写真を見て、惹きつけられてから、ずっとその思いは変わりません。
だから、この祭りの写真は、着眼点次第でガラリと表情を変えるはずです。
さぁ、来年どう撮るか?楽しみですね。