話題の映画、「パラサイト・半地下の家族」を観て来た。
私の住む街、松山ではアカデミー賞受賞後の2/14 という非常にタイムリーな上映日となった。
いつもは閑散としている単館ロードショー・シネマ・ルナティックが整理券を出すほどの盛況。
雨の日曜日、満員の狭い空間で長時間過ごすことに躊躇いがあった。
新型コロナウイルス感染ルート不明の現状では、最も避けなければならない場所なのだ。
それでも観たいという人が私同様、こんなにたくさんいた。
アメリカ、フランス、韓国、日本と興行記録を塗り替える大ヒットしているこの映画は、
カンヌ・パルムドール(最高賞)という芸術映画の既成概念を吹き飛ばす、ジェットコースター展開の映画だった。
スラプスティック・コメディ(ドタバタ喜劇)につられて笑っていると、
とんでもないところに観客は連れて行かれる。
ネタバレ厳禁なので詳しく書けないが、エンディング間近、あの宗教的な啓示に包まれた祝福の光から、
また別の場所へ観客は放り出される。
エンドロールが流れる中、あまりの脱力感にしばらく座席から立てなかった。
もう一度、Amazon・primeで繰り返し観たい。
いろんなところで、この話題の映画のレビューが出ているので、簡単にストーリーを紹介します。
サブタイトルの半地下の家族は、韓国が97年の金融危機でIMF介入以降(映画「国家が破産する日」)急速な格差の拡大と貧困層の増加で
朝鮮戦争当時、建物の地下に作られた防空壕に、行き場所を失った貧困層が住みはじめたソウルの住宅事情がある。
努力すれば報われるという経済成長期の神話は崩壊し、
いくら頭が良くても、親に金がなければ、いい大学にもいい就職先にも就けないという現状がある。
その半地下に住むキム一家が、ある偶然で山手のIT企業CEOの豪邸に、徐々に入り込み、文字通りパラサイト(寄生)するというストーリー。
この徐々に山手の豪邸に入り込む展開が、スピーディでハラハラドキドキのジェットコースター映画なのだ。
格差と貧困を象徴するキーワードとして「匂い」を設定したのが秀逸。
このキーワードが後半の急展開を決定づける。
ポン・ジュノ監督の映画は、シリアスで重いテーマを扱っても、どこか軽妙だ。
それは、この監督の持つ資質なのだろう。
3年連続でカンヌ・パルムドールは貧困と格差をテーマとした映画が受賞した。
ケン・ローチの「私はダニエル・ブレイク」是枝裕和の「万引き家族」そしてポン・ジュノの「パラサイト」。
その中で一番、エンタメ志向が強いのが「パラサイト」だ。
それが世界で大ヒットしている要因だろう。
興行性に重点を置くアカデミー賞受賞も頷ける内容だった。
一般に現代社会を正直に描いた作品は評価が薄いと聞きました。
つまり現実を表現してもらいたくない。
アメリカ大統領が「なんでこんな映画に?」といった評価はばかげたものでしかない。
万引き家族もダニエル・ブレークも真実です。
AMAZONプライムで見てみます。
アカデミー賞効果でしょうね。
ブログ記事に書いた通り、感染ルートが不明な今は、映画館のような人混みは避けた方が賢明です。
しばらく待てばAmazon・primeで新作として登場しますよ。
その時は、じっくりお愉しみください。
貧困と格差をテーマにした映画は、もう一本、アカデミー賞有力候補だった「ジョーカー」もそうですね。
アメコミのダークヒーロー、ジョーカー誕生の物語を強烈に描いています。
アメリカ、イギリス、日本、韓国、どこも貧困率の高い国ばかりです。
グローバル経済の行き着いた先は、極端な富の偏在でした。
その揺り戻しが今、世界で起こっているように思えます。
明日からmasaさんの所属する写真サークルが堀之内のNHK、1階のアートギャラリーで写真展を開催します。
とてもレベルの高い写真サークルなので、もし松山に寄られるようでしたら是非足をお運びください。
2/25~3/1(日曜日)まで開催しています。
私も最終日の日曜に行くつもりです。