夏の楽園
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異例に早い梅雨明けだ。
週明けを境に、ガラリ季節は入れ替わっていた。
眩しい光と輝く青空に夏雲湧く、あの焦がれる光の季節がやってきた。
私は夏が好きだ。
光も空も緑も花も朝の空気も、すべてが過剰に溢れ返っている。
輝かしい命の季節だ。
さて、今年も夏の初めは、あの場所へ。
ササユリ咲く山上の別天地を目指す。
夏の堂ヶ森からクラセの頭にかけての風景は、四国随一の楽園の景観だと思う。
かつて瓶ヶ森白石小屋の管理人だった小野さんは、
全国の山を巡り、この堂ヶ森からの風景に惚れ込み、四国に居を移した。
樹林帯を抜け笹原の稜線に出ると風が吹き抜ける。
身も心も蕩けさすような楽園に吹き渡る風だ。
暗い樹林帯を滝のように流れ落ちる汗と茹だる熱気に真夏の山歩きの愚かさを
繰り言のように毒づいていた。
苦行の後、この天然の涼風は何事にも代えられぬ脳内快楽状態。
サウナの後の麦酒なんか目じゃない(笑)
堂ヶ森避難小屋は、そんな楽園の山小屋だ。
小屋脇の沢で缶ビールを冷やしておくと小一時間で飲み頃。
暮れゆく山の時間に身を委ね、冷たい麦酒の咽喉越しの快感と、
吹き渡る風に四肢は野放図に弛緩し、ページを繰る文庫本の字面さえ蕩けるような物語を耳元に囁く。
その夜、天の川銀河が天頂に大きく弧を描き、満天の綺羅星を仰ぐ。
(朝の気温は小屋内で15℃。戸外で12℃。夕方は戸外で18℃。酷暑の下界を思うとお気の毒様。)
麦酒と本があれば、好い。
自堕落に夏の時間を、ここで過ごせたら、どんなに良いだろう…
唯一の楽園の欠陥は、沢の水がすぐに涸れてしまうこと。
これは致命的。
堂ヶ森周辺で見られた生き物たちは、
この時期、涼しい山上へ移動し過ごすアキアカネの姿が目を引きます。
赤トンボの代名詞であるこの蜻蛉が、近頃激減しているようです。
まだ石鎚山系の稜線では普通に見られるのは嬉しいこと。
翅に特徴的な紋のあるミヤマアカネも見られました。
ただし、夏の間は、まだ体色が赤くありません。
同様に夏の間、山で過ごす百舌鳥も小屋のすぐ脇で、さかんに鳴いていました。
アマツバメは、単独で飛ぶ姿を目撃。
夏の終わりになると、渡りの前に群れ飛ぶ姿が見られます。
蝶は、ウラギンヒョウモンやミドリヒョウモン等のヒョウモンチョウの仲間が多く見られます。
あれ?そういえばブヨが、まったくいなかった。
虫対策は充分にしていったのに、拍子抜け。
おかげさまで快適でした(笑)
今回も樹林帯で聴かれたエゾハルゼミの鳴き声。
どうも蛙のような音声を含めて蝉の鳴き声でないと思っている人が多いようです。
誤解を解くためにYOUTUBEの動画を貼っておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=OosvK5SMkao
かつては四国一の美しい風景と云われた山域も見る影もありませんね。
実は、堂ヶ森方面も梅ヶ市からの登山ルートで何度も鹿の後ろ姿や鳴き声を目撃しています。
瓶ヶ森周辺での鹿の目撃例は、数年前と比べると格段に増えています。
この山域の風景が、いつまで保たれるか怪しくなっています。
でも私は、それを「鹿の食害」とは捉えていません。
本来、鹿は里と山との境界を行き来きする生き物だったと知りました。
鹿は里周辺からは作物を荒らす害獣として追われ、山林は杉の単層林で覆われ食物はありません。
そして本来の生息域ではない高山へと追いやられてしまいました。
流れ星さんのように山野草を愛する人にとっては、貴重な植物を食い荒らす天敵かもしれませんね(笑)
高層湿原の聖地、尾瀬も奥日光方面からの鹿の進出で危機的状況にあるようです。
野生動物との共存は、結局、私たちの価値観や自然観を問い直す作業だと思います。
今日、期日前投票に行ってきました。
なんとか未来に、この美しい自然を残したいですね。
すばらしい笹原が見られ、それだけで嬉しくなりました。
先日歩いた三嶺ではシカ食害の為美しい笹原はありません。
なんとかこの景色はのこってほしい。
ササユリまだまだきれいでした。
アメリカ、ネブラスカ州で撮影された。
こんな気象現象見たことない。
http://bigstormpicture.blogspot.jp/2011/08/august-arcus-extravaganza.html
残念ながら現在の避難小屋を造るときに、旧愛大小屋は残っていた骨組みや土台を含め、
すべて解体されました。
きっと鬼城さんたちも、ここからの展望を楽しんだのでしょうね。
たぶん、この眺めは、その頃の風景とほとんど変わっていないと思います。
ここは石鎚や瓶ヶ森そして美川(大川嶺)と違って、開発の手が延びませんでしたから。
それだけに石鎚山系において、昔日の山岳風景が残る貴重な場所だと思っています。
(あっ、あの反射板はなかったか?)
いつまでも残ってほしい風景ですね。
瓶ヶ森林道の落石による通行止めが解除されたという情報を、
いけぴーさんのブログのコメント欄に書き込んでしまいました。
ごめんなさい。私の勘違いでした。
改めて山荘シラサの7/11付、通行止め情報を貼っておきます。
http://live.shirasa.com/article/368855763.html
夏山、良い写真ですね。笹百合の花、匂いまで届きそうです。私が初めて見たのは、美川でした。
現在のスキー場の上の方です。
夏を呼ぶ花ですね。
白骨林、笹原(広角?)トンボ、蟬の脱殻、満天の星空、雲の流れ、どれをとってもなつかしい。そして自然のすばらしさを感じさせてくれます。