大雪のため四国地方の交通網を寸断した最強寒波ピークの石鎚山へ入った。
土曜日の朝、平地(松山)の最低気温が氷点下2℃を記録しているので、
石鎚山上は氷点下15℃くらいまで下がっただろう。
通りで背中がジクゾクして寝付けなかった冷凍庫のような山小屋の夜だった。
三日間降り続いた雪の後、標高1400mの成就社で1m近い積雪(最後の画像)だった。
誰も入っていない真っ新な雪を踏みしめ盟友菅さんと共に入山した。
もう成就社山門からスノーシューを装着してのスタートだ。
出発時刻が私の遅刻で13時半過ぎとなった。
三日間の食糧と撮影機材、厳冬期用装備で25kgを背負う。
雪がどんどん深くなるとスノーシューの浮力が効かなくなりズブズブ膝丈まで沈む。
吹き溜まりの斜面となると、ひたすらピッケルで雪掻きしながら、
目の前の雪の壁を崩して踏み固めながら前へ進むしかない。
前社ヶ森で日没を迎えた。
(最後から2、3番目の画像)
ヘッドランプを装着して、そこから先がディープな雪との果てしない格闘の時間が続いた。
樹林帯を抜けると地吹雪が舞い、吹き荒ぶ烈風に急速に体温が下がってゆく。
見慣れた筈の風景が白い茫漠とした闇の中で目標物を失い、何度も道を外し吹き溜まりに迷った。
その度に立ち止まり菅さんと共に修正を図った。
とても山頂までは辿り着けないことは分かっていた。
なんとか二の鎖下の避難小屋まで辿り着かねばという執念で前へ進んだ。
次第に意識も朦朧とし始めていた…背中の震えが止まらない。
二の鎖の鳥居が闇の中からヘッドランプの明かりに浮かび上がった時は、心底ホッとした。
最後の雪の壁となった吹き溜まりを掻き分け崩し、踏み固め、這い上がり、
23時半前、二の鎖下避難小屋到着。
成就社から10時間、ひらすら雪と格闘した長い時間だった。
もう疲労困憊で、翌朝山頂を目指す気力は残っていなかった。
雪まみれの装備を解いて、暖かい防寒ウェアに着替え、
ストーブで湯を沸かし、暖かいほうじ茶を口にした時の身体全体を包む安堵感。
人心地ついて、菅さん持参の暖かい鍋料理で冷え切った身体も内部から暖まってきた。
冷凍庫の夜にはピリ辛のキムチ鍋がホカホカ温かい。
遅い山の盟友との新年会となった。
一時は古傷の痛みに雪山を断念しかけていたが、
次第に痛みの症状が寒気によるものだと分かってきた。
今回は足首と足先にカイロを貼り付けることで、痛みの再発はなかった。
10時間も雪掻きを続けた足首の酷使にも関わらず。
翌朝、山上はガスに覆われ、朝焼けの銀世界は望めなかった。
しかし、下山にかかる9時過ぎから雲が切れ始めた。
ちょうど夜明峠手前の雪原で、紺碧の空とキラキラ輝く真っ新な銀世界が視界いっぱいに広がる。
ここで正午過ぎまで厳冬期雪山のPure Whiteを堪能した。
その快晴の土曜日は、たくさんの人が入山していた。
二の鎖までは二人でトレースをつけたが、山頂まで辿り着けた人はいただろうか?
あの先が最大の難所だから…
朱の世界だけが山ではない
その瞬間に切り取れた世界に乾杯だ
と思うようになりましたよ
今日はmisaも早く写さないと色が変わると
短い脚で鼠の如く森を走り廻りました(笑)
misaにしたら最高の雪原散歩
「やっほー」と叫びたい気持ちでした
自然に触れられるしあわせに感謝したいと
薄雲がかかり始めたhomeGroundを後にしました
青を基調とした写真世界が続いていますね(笑)
元々、ランスケブルーと称して色温度への拘りがありましたからね…
11月から続いた足首の痛みに、もう厳冬期の雪山泊山行は諦めていました。
ところが前回の皿ヶ嶺で、まったく痛みがなかったことで希望が芽生えてきました。
骨に刺激を与える運動と共に、日常の身体運動も見直しました。
確かに、今回の大雪の後の石鎚入山は、危険な冒険でした。
それが、いきなり10時間の苛酷な雪山ラッセルですからね(笑)
よく保ってくれたものだと…
なかなか手厳しいお山の神様からの復活の洗礼でした。
misaさんも天狗高原の銀世界を堪能した様子。
春から秋の間は、石鎚から足が遠退いていても、どうしても冬だけは入りたくなります。
私の石鎚山への傾倒の原点は、この夜明峠で観た朝焼けの荘厳な氷雪風景でしたからね。
雪山(雪景色)の写真は単調になるのですが、構図や光で切り取っています。
さすが、ランスケさん・・・
調子よさそうですね。
私も足の切開をしたところの古傷が寒くなると痛みがでます。
血の循環なんだろうと思います。
気をつけてくださいね。
久しぶりに生き生きした写真を見せて頂きました。無理せず仲間と一緒に行ったのが、なお良かったのかも・・・
雪を降らせる白い雲が次々と流れ込んでいる様子が窺えました。
期待通り、鬼城さんの写真仲間の皆さんは、天赦園や宇和盆地の雪景色を撮られていますね。
見慣れた風景も雪が降り積もると、モノクロームの別世界に様変わりします。
昔から多くの風流人が画材とした山水の美の極致ですね。
自然の景観を模した日本庭園の雪景色が美しいのも、その所為だと思います。
山岳写真も厳冬期の風景が、一際荘厳な世界を見せてくれます。
霊峰石鎚の神の山としての本領は、間違いなく厳冬期の風景です。
山頂までは届きませんでしたが、諦めかけていた厳冬期石鎚へ再び立てて嬉しいです。
盟友、菅さんに感謝です。
あれが出来たことで厳冬期の瓶ヶ森入山がずいぶん楽になりました。
テント持参分の重量が軽くなったことと気持ちの上で、
あそこまで辿り着けば大丈夫という安心感は大きいですよ(笑)
東の川から5時間ということは大雪の前ですね。
石鎚で成就社から10時間もかかった深い雪です。
あのルートだと台ヶ森でビバークだったかも?
今週の雨は気温が高いので山では雪解かしの雨になりそうです。
もう一度、大寒の頃くらいまでにまとまった雪が降ると、
瓶ヶ森も笹が隠れるくらいの理想的な厳冬期の風景になると思います。
その頃には雪も締まってラッセルも楽になりますよ。
私も、もう一度瓶ヶ森の壮絶な厳冬期風景を撮りたいと願っています。
堂ヶ森入山も頑張ってください。