オーディオの悪魔④

　前回の終わりにとんでもないことって書きましたが、あれはウソでもヒキでもなく実際のことです。……いい音（ただし主観的）になったと喜んで音楽を聴きながら、ブログ書いたり、ネットサーフィンしたりしてたらどうも左右のバランスが変です。「あれ？接触不良かな？」とプラグをいじったりするとちゃんと出ます。よしよしって思ってるとまた次の日とかになんか右からじゃりじゃりって音が。砂が入ったりするわけもないので、またいじる。次の日には音が小さい。

　そんな繰り返しでおかしい、おかしいと考えているうちにふと思い出したことがあります。このミニコンポをお払い箱にしたのは右チャンネルの調子が悪かったからなんだ！DVDプレイヤー対応にしたのはそのついでだったんだ！（連載第１回を参照）……みなさんもあるでしょう？昔お気に入りだった服をひさしぶりに着てみようと思って、タンスから出してみて初めて自然的不可逆的体型変化によって着れなくなってしまっていたのを思い出したことが。あるいはカラオケで昔お気に入りだった歌をひさしぶりに歌おうと思って、前奏が流れ始めてから年齢的不可避的声帯変化によりキイが出なくなってしまっているのに気づいたことが。ないと言うならそういう認知症の前駆症状的実例を考えてコメントしていただければいいんですが、ともかくその時の私のひきつった苦笑いは想像できると思います。

　「しまった。これならあっさりパワードスピーカーにしとくんだった」これを840回（ヴェクサシオンですねｗ）繰り返して今回は終わります。






　ということをやってると本当に見捨てられそうなんで話を続けると、選択肢は２つってことになりました。
①　パワードスピーカーを買う。候補は２万円のデカイの。その場合小粋なスピーカー７千円はお蔵入り。アンプ内蔵だけどその実力はちょっと疑問。
②　新しくアンプを買う。これも候補は同じくらいの値段。しかし、アンプがあったから使っただけで、PCのためだけにミニとは言えアンプを買うか？そもそもこの価格帯のアンプってそれほどのものか？

　これ以外に修理はしないのか？って声がありそうですが、しません。修理代高いですからね。ノートPCから転向したのもACアダプターの接触がおかしいだけなのに基板換えるから３万円って言われたのがきっかけです。よほど値打ちのあるものか、新しいものでない限り修理には出しません。もっと別の意見として最初の安いスピーカーに戻れば？っていう意見もあるでしょう。そういう人は友だちが「最近かわいい服が着れなくなっちゃった」って言うのに「ジャージを着てれば？」とアドヴァイスできる人でしょう。

　で、熟考に熟考を重ね、その間にもアンプの故障頻度はじりじりと高まって、ついに決断しました。



　とりあえず店に行く。それから考える。




　で、その様子は連載第２回とほぼ同じですので参照してください。３つの売り場をうろうろ。おしゃれに言えばデジャ・ヴュ。医学的に言えば学習能力の欠損。でも、どこか楽しいうろうろ１時間。結論。①のデカイのを買う。理由。スピーカーはデカイのがいい＋アンプを買ったんじゃ進歩がない。進歩がなくても無駄はないだろ？なーんて理性的な判断力は失われてるのでした。……で、最終回にふさわしく手が痛くなるような重さをえっちらおっちら運んで、３度目の梱包を解きます。デカイ。置きます。デカイ。PC周りが一気に狭くなりました。音を出します。デカイ。そうなんですね。スピーカーが大きいと音も大きいんですね。

　まあ、音が大きめになるのはヴォリュームを絞ればいいんですが、心なしか音が荒いような。きめの細かさがないっていうか。いやいやこれは使い始めたばかりだから。エージング（使い込めばくらいの意味です）でよくなるよ。ははは。……はぁ。

　今日に至るも古いアンプ＋小粋なスピーカーが出していたしっとり肌の音にはならないようです。なくなってみるとよけいいいように思うのは音だけではありませんが。今度のは迫力はあるんですが、そんなのメインシステムの方がもちろん上ですから。とは言え、私がいくら知性に問題があって、性格が破綻していてもさすがにアンプを買う気はしません。

　で、お話はこれで終わりですが、おまけでちょっとソフトのことを書きましょう。というのはサウンドカードとパワードスピーカーは同じメーカー（小粋なスピーカーもですが）で、それにネットの曲をプレゼントしてくれるのがついていました。で、そのサイトからは24bit/96kHzの曲がそのままDLできるんですね。CDは16bit/44.1kHzですから、これはすごい。どうすごいかって言うと……なめらかに動くんでしょ。ゲームと同じようにｗ。

　でも、PCでふだん聴くインターネットFMよりもiPod（のようなものｗ）用にCDから圧縮して落とした方のがいい音なんで、どんなものかなって興味はありました。ところがまず24bit/96kHzって最近の録音になるのであんまりないんです。それが売りなんだから最初からわかるようにしておけばよさそうなのにアルバムを見ないとわからない。クラシックはだいたい少なくて、24bit/96kHzでは炎のチャイコ（わかる人はこれでわかるでしょうし、わからない人は全然問題ないのでスルーしてください）を見つけてかえって疲れちゃったｗ。

　で、ジャズにしました。ほとんど聴かないジャズを。試聴で聴いたピアノが「ピアノ♪」って感じで良かったから。あるいはお店の高級なスピーカーからジャズばかり流れてたせいかもしれません。ほかにも何曲か16bit/44.1kHzも混ぜて。……とっころが。音が良いってことは重いってことなんですね。５分くらいの曲がなかなかDLできず、サイトが壊れてんのかって思ったくらいです。クラシックにしなくてよかった。まあ、そんなこんなでやっと落として何回か聴きました。もちろんいい音です。今までPCで聴いた音としてはいちばんでしょう。でも、24bit/96kHzと16bit/44.1kHzの違いって私にはわかりません。この程度のシステムではってことかもしれませんが、このメーカーのお勧めの環境になってるんですけど。それよりは同じジャズでも録音の仕方とか味付けの違いがなんとなくわかりました。で、わかってきたら曲自体に飽きちゃってました。……なんだか締まらない話でしたが、最初からそうなんで仕方ないです。今は相変わらずインターネットFMかCDから圧縮した音楽を流しながら、ぼんやりした顔でPCに向かっています。……きっと悪魔が魂を奪っていったんでしょう。