たらちねの 母が吊りたるアオガヤを すがしとい寝つ たるみたれども・・・確か長塚節じゃなかったかな?
女は子供を産み育てると言う大切な役割を負わされているが故に能力の大きな部分をそちらに振り向けられている。従って諸君、君たちが長じてカシコクなってエラクなって、もしかして母親を愚か、或は煩わしい、乃至は疎ましい、と内心思っても黙っていなければならない。安直に苦情を言う、非難する、ようなことがあってはならない。それが男子たるものの在るべき姿である。これは高等学校の生物学の先生の講義である。今日のサプリメント学習、カロリーメイト学習の教師にこんなことが言えるものか。だからくだらない学生が出て来るんだよ。
私思うにこれがまた夫たる者のあるべき姿でもあろう。女の空間は住んで居る地域と交友関係、職場、時間は今日プラスマイナス一週間程度。しかし侮るなかれ、現実感覚は男など思いも及ばない。一方男の時間は短くても今日プラスマイナス10年、長いと人類史全体、空間は宇宙全域。しかしこれがはじけるとバクチに身を亡ぼしたり糸の切れた凧みたいになる。
私も若い頃は妻を『おんな』として見ていた。しかし次第に『人』として見るようになった。これはどういうことかと言うと、結婚前の状態に戻った。肩が凝るらしいので肩叩きはするがそれ以外では離れている。丁寧語を使うようになった、名前で呼ぶようになった、等。
息子たちが結婚した今、母親として見るようにもなった。
息子達、解っているか、君たちの母親はどんなに仕事が忙しくとも昼には必ず帰って来て君たちに食事の準備をした。手を抜いた事が一日もない。これはエキセントリックな性格の姑である私の母も褒めていた。今は紙オムツだが昔は浴衣の使い古しを使ったものだ。いちいち洗濯し、取り換えた。熱を出したと言えば寝ずに見守った。君たちに授乳しながら居眠りして後ろにひっくりかえりそうになりその度に君たちはワッと声を上げて怒った。
今君たちの母親は君たちが小さな子供、少年、であった頃の思い出に生きている。君たちを喜ばそうと車に乗ってあちこち駆け回り喜びそうなものを探してくる。自転車に乗ってそこいらを駆け回っていた少年の姿が脳裏にあるのだ。
私はそれを見て自分が如何に冷淡で浅はかな息子であったかを思い知る、匕首で胸を抉られるようだ。いつだったか、遊びに行った帰りがけに道端のアカシヤの白い花を摘んで母に渡したことがあった。その時の嬉しそうな顔を忘れられない。
息子達、私が言外に言おうとすることを賢く推察したまえ。
女は子供を産み育てると言う大切な役割を負わされているが故に能力の大きな部分をそちらに振り向けられている。従って諸君、君たちが長じてカシコクなってエラクなって、もしかして母親を愚か、或は煩わしい、乃至は疎ましい、と内心思っても黙っていなければならない。安直に苦情を言う、非難する、ようなことがあってはならない。それが男子たるものの在るべき姿である。これは高等学校の生物学の先生の講義である。今日のサプリメント学習、カロリーメイト学習の教師にこんなことが言えるものか。だからくだらない学生が出て来るんだよ。
私思うにこれがまた夫たる者のあるべき姿でもあろう。女の空間は住んで居る地域と交友関係、職場、時間は今日プラスマイナス一週間程度。しかし侮るなかれ、現実感覚は男など思いも及ばない。一方男の時間は短くても今日プラスマイナス10年、長いと人類史全体、空間は宇宙全域。しかしこれがはじけるとバクチに身を亡ぼしたり糸の切れた凧みたいになる。
私も若い頃は妻を『おんな』として見ていた。しかし次第に『人』として見るようになった。これはどういうことかと言うと、結婚前の状態に戻った。肩が凝るらしいので肩叩きはするがそれ以外では離れている。丁寧語を使うようになった、名前で呼ぶようになった、等。
息子たちが結婚した今、母親として見るようにもなった。
息子達、解っているか、君たちの母親はどんなに仕事が忙しくとも昼には必ず帰って来て君たちに食事の準備をした。手を抜いた事が一日もない。これはエキセントリックな性格の姑である私の母も褒めていた。今は紙オムツだが昔は浴衣の使い古しを使ったものだ。いちいち洗濯し、取り換えた。熱を出したと言えば寝ずに見守った。君たちに授乳しながら居眠りして後ろにひっくりかえりそうになりその度に君たちはワッと声を上げて怒った。
今君たちの母親は君たちが小さな子供、少年、であった頃の思い出に生きている。君たちを喜ばそうと車に乗ってあちこち駆け回り喜びそうなものを探してくる。自転車に乗ってそこいらを駆け回っていた少年の姿が脳裏にあるのだ。
私はそれを見て自分が如何に冷淡で浅はかな息子であったかを思い知る、匕首で胸を抉られるようだ。いつだったか、遊びに行った帰りがけに道端のアカシヤの白い花を摘んで母に渡したことがあった。その時の嬉しそうな顔を忘れられない。
息子達、私が言外に言おうとすることを賢く推察したまえ。