月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

H寺様のご法縁のはなし

2010年10月02日 13時08分38秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
遅ればせながら、先月27日28日にお参りさせていただきましたH寺様秋季彼岸会のことを少し…

H寺様へは、今治港からフェリーで約一時間、瀬戸内海の島々の一島にあるお寺様です。
島の港に着いたときには雨が降りしきり、もうすでに真っ暗になっていました。
ご住職様が桟橋まで迎えに出てくださり、そのお姿にホッとさせていただきました。

雨にも関わらず、ご門徒様は夜のお座にお参りをされ、ひととき阿弥陀さまのおこころをお聴聞させていただきました。

島の夜は静かに更けて…
翌日は雨もあがり朝から晴れ。

少し、近くを歩いてみました。
この島には60数戸約100人の方々が静かに暮らしておられます。
子どもはいません。お寺の若いご住職さんご夫妻がこの島の最年少だそうです。
島の入り口には廃校になった小学校がありました。錆びついたすべり台や古い百葉箱が寂しさを感じさせますが、花が植えられて現在は島の方々の憩いの場となっているようです。
校舎の前庭の真ん中の桜の木は、枝を横に広く張っていました。


今はその木の周りを駆け回る子どもの姿はないけれど、春になると変わらずに美しく咲き誇るのでしょうね。
そして、それはきっとふるさとを離れていったすべての子どもたちの心に咲くのでしょうね。
中にはその桜の花に気がつかずに忘れてしまっている子どももいるかもしれないけれど、それでも桜は変わらずに咲くのでしょう。
「いつか、気づいてね。私が応援してることを……」って、静かに語る桜の声が聞こえるようでした。

歩きながら出会った方に「おはようございます」と声をかけると、恥ずかしそうに、それでもお仕事の手を止めてくださったり、自転車から降りてくださったり、被られていたお帽子を取ってくださったりしてお返事をしてくださいました。
「どっからおいでたん?」(どちらから来られたの?)、「お天気になって良かったですね~」などと、温かい言葉で接してくださいました。

午後からのお座には近くの島からもお参りに来られ、一層にぎやかにご法縁がつとまりました。

それぞれの方がそれぞれの胸に愛しく懐かしいお顔を思いながら、阿弥陀さまのおこころを聞かせいただくこのお彼岸のご縁も、夜のとばりがおりるころ、しずかに閉じさせていただきました。

ありがたい、ありがたいご法縁でした。

そうそう、坊守様の手料理を大変美味しくいただきました。教えていただいた精進料理のレシピ、早速作ってみました。家族にも好評でした。

なにもかもお勉強になります。

彼岸花のはなし

2010年10月02日 06時32分55秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
おはようございます。

境内の片隅に、彼岸花がたった一輪咲いています。

昨年、ご門徒のHさんに無理をお願いして、彼岸花の球根を掘っていただき、境内のあちらこちらに植えてみたのですが、植え方が悪かったのか、管理が悪かったのか、たった一輪だけの開花となりました。
それでも「ようこそ、うちのお寺の境内に咲いてくれました。」と喜ばせていただきました。

今年はお彼岸まで猛暑だったせいか、お彼岸の頃を迎えても群になって咲く彼岸花を見ませんでしたが、遅ればせながら、あちらこちらで、緑の中に沸き立つような真っ赤な彼岸花の群生を目にします。

毎年彼岸花を見ると、遠い昔に、河原で彼岸花を手折ってくれた人の笑顔を思い出します。

今年も変わらずに咲く彼岸花にあえてよかった。

そして、その人が今も変わらぬ笑顔でそばにいてくださることに感謝しています。

さあ、今日もいちにち願生(がんば)りましょう!