月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

美味空気

2012年05月11日 20時07分46秒 | 仏々相念(住職日記)

これ見て下さい・・・

 

夕方、外でゴソゴソしていますと駐車場に車が入ります。

お世話になっている御門徒さんがお参り下さいました。

 

お母さんの御遺骨を49日までお預かりすることになっていましたのでその御縁でした。

近くであれば何の問題もないのですか、お家が関東・・・

 

私がゴソゴソしていたので気を遣われたのでしょうね、「直ぐに失礼します」とのことでした。

御遺骨をお預かりし尊前にご安置させていただき、短いお勤めをさせていただいたことです。

その時に喪主様が「これ見て下さい!」って聖典を出されました。

よく読まれていた事が伺えるようなお経本。

そうなんです、そのお母さんのお経本だったのです。

 

そのお経本の表紙を開けてみるとそこに数年前になる「徳正寺念仏あられ」のラベルが貼られているのです。

きれいにまん真ん中に貼られていました。

子どもが書いて下さる親鸞さまのお姿のラベル・・・

あ~、こんなに大切にしてくださってたんだって思うと感動します。

毎日、お経本開けながらこの姿を見て下さっていたのかもしれません。

いろんな事を思いながら・・・

御主人の事、子どもさんの事、ひょっとしてよく参って下さった徳正寺の事・・・

 

このお経本を私に見せて下さりながらの喪主様の優しいお顔・・・

「これからは私がこれを大切に読ませていただきます」っていただかれる。

お念仏相続なされることに誰よりもお母さまが喜ばれることでしょう。

「ありがとう。大切に生かさせていただいてね」って・・・

 

今日、息子が修学旅行から帰ってきました。

最近の修学旅行は海外です。

勿論、関東・北海道との選択なのですが、「折角だから「中国」行ってみんけん!行ける時に行かんと・・・」

ってことで中国からの帰省となりました。

 

迎えに行き車に乗り込むなり、「あ~空気、美味しいよね!本当に最高だよ、日本!」

これなんですよね・・・

出てみて分かるベースの大切さ!

見えなかった大切なモノに気付くのでしょう。

 

歯を喰いしばりながらの現実。

跳ね返され、潰され、崩れゆく・・・

そんな日常を重ねて重ねて生きてきた。

何時しか大切な事すらも忘れてガムシャラに日常を重ねていく。

そんな日常の中にこのお経本を開く時、母の温もりに出会うのでしょう・・・

懐かしい故郷の香りに触れるのでしょう・・・

あ~、やっぱりお念仏っていいよな~!って気付くのかもしれません。

しんどい現実を支え抱いて下さっていたあなたに出会う。

 

お念仏っていいよな~・・・

忘れて生きる私をず~っと案じ支えて下さる忘れてくださらないおはたらきですから!

 

だから、また立てるのでしょう・・・