月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

ちょうどよい…のはなし

2012年11月13日 21時46分05秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
昨日の出来事です


明るい陽が差す暖かい昼下がり

「今からお寺へお参りするので、お経さんをあげてほしい」とのお電話をいただきました

少し前からご病気をされ、なかなかお寺参りもままならなくなったTさんです

お参りに来られてお話を伺うと、13日がお舅さんの祥月命日で1日早いけれど、今日は具合もよく、晴れてあたたかいので、今日ご法事をつとめたいとのことでした

ご仏前にお灯りをともし、お香をお供えし、Tさんとふたりで『阿弥陀経』をおつとめさせていただきました

息が苦しい中にお経を読んでくださるかすかな声

「なもあみだぶつ…なもあみだぶつ…」

と、Tさんのお念仏の声が背中に聞こえます

ふたりだけのおつとめが済み、ご法話をさせていただくのに振り向くと、にこ~っと微笑まれながら
「今日がよかった、今日でよかった、明日ではお参りできんかったかもしれんけん、今日がちょうどよかったんです」

と仰るTさんの目には涙が…

そうですね、ただ今が阿弥陀さまの御手の中…

そして、合わす手の上にたくさんのたくさんの仏さま方々の御手が重ねられているのですね


なんとも、ほっこりあたたかいご縁でした

ありがとうございました


(写真は、おとなりのおばちゃんのお庭の柿の実です。実りの秋、おみのりに出遇う秋のひと日です)

一生之内

2012年11月13日 20時50分22秒 | 仏々相念(住職日記)

明日ともしらず・・・

 

長いのか短いのか分からないが一生。

それぞれの一生。

 

今、ず~っとお味わいさせていただいている「名のり」

縁あって2人の尊いいのちを仏さまから預かり一緒に生かさせていただいている。

お陰で2人とも大きくさせていただいています。

コイツよりはるかに大人。

 

娘が今生のいのちいただいたころ、まだまだ若く今以上に情けない有様でした。

今もその有様は何ら変わってないのですが・・・

もの凄く不安でした。

「オレ、やっていけるのか・・・育てていけるのか・・・」情けないかな、嬉しさ以上にその思いが強かったのです。

息子が生まれた時もそうでした・・・

 

そんな不安を抱えつつも逃げるなんてできません。

ガチガチに固まった腕に抱かせてくれた重い重い尊いいのち。

我が手の中にあるいのちに思わず言っていました、「オレがお前の親父だよ!」って・・・

言わずにおれない瞬間でした。

 

こんなにも可愛いいのちもしんどいこと辛いこと悲しいこと、受けながら生きるのか・・・

コイツの情けなき有様振り返ってもそんな辛きひと時が見えてしまいます。

だから、だから・・・名のるのでしょう。

「オレが一緒にいるから!ず~っと支えていくから!」

それが儘ならんのはよく分かっています。

どこまでもコイツのことが一番大切なんだから・・・

自分が可愛いから不安がっているんだから・・・

でも、名のるコイツがいたことです。

あの時の想いってのは今も心に大切にしています。

 

結局はいつまでもダメ親父でして・・・

様にならん「名のり」で申し訳ないことです。

 

「南無阿弥陀仏」は真実の親(阿弥陀さま)の名のり。

ず~っと一緒にいてくれるあったかいおはたらき・・・

「かならずすくう、まかせよ」と名のってくれるのです。

 

一人じゃなかった!

明日もまたいのちあるのなら大切に生かさせて頂こう!

 

南無阿弥陀仏を称えつつ・・・