月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

試行錯誤

2013年06月21日 19時50分48秒 | 仏々相念(住職日記)

どこに行きたいのか・・・

 

本堂のお荘厳をさせていただいています。

サウナスーツの下は直ぐに汗でビショビショ。

流れ出てくれる汗に感謝しつつも、きれいにしているのか汚しているのか・・・

そんな気持ちのいい夕方を過ごしています。

 

畳の上をモップ掛け。

一畳一畳できるだけ丁寧に・・・

内陣から外陣になり拭き続けているとクモがいました。

苦手でして、コイツ。

近くに行くまでクモも動かないのですが、

もうすぐ当たるという頃にタタタ・・・って感じで移動します。

でも、拭き終えたところに向かって移動してくれればいいのですが、

いつもいつもこれから拭かないといけない方に向かいます。

「そっちに行ったら・・・」ってまた追い払う形になることを思います。

 

こんなシチュエーション、よくあります。

 

ご縁をいただきお勤めさせていただいているとお経さんの上に一匹の蟻が・・・

グルグルグルグル回ります・・・

「お前、どこに行きたいの・・・」そう思いつつ蟻が這った後の文字を読んでいます。

御経本のふちをグルグル回ったり縦横無尽に走ったり忙しそう。

ページをめくるたびに潰すのではないかと心配になりますが、

何のこれしきとばかりに復活しては表舞台で蟻のいのちを生き抜いています。

 

クモも蟻もそれぞれに何かを求めているのでしょうね。

 

グルグル・・・

ゴソゴソ・・・

何を求めているのかと言われそうな情けないコイツの人生がいつも重なります。

 

昨日、息子が観ているテレビを何気に観ていました。

パン好きのお笑い女性芸能人「たんぽぽ」の1人が1週間ほど神戸のパン屋さんで修業します。

 

お店を手伝いながらいろんなことを教わります。

パン生地のこね方・・・

包餡の仕方・・・

どれも見るとやるとでは大違いなのでしょう、大変そうな姿が映ります。

 

この期間に一つお店に出せるオリジナルのパンを作って下さいってことに。

オリジナルのパンを作るのにもプレゼンをします。

10通りの案をプレゼンするもどれも却下・・・

そりゃそうですよね、店の看板がかかっているのですから。

悩み落ち込んでいる彼女に先輩がアドバイスをされます。

 

これだけはっていうブレナイものを持つことの大切さ・・・

 

そのアドバイスを聞き一つの食材に拘り作り上げたオリジナルのパン。

失敗を繰り返し、繰り返し・・・

やっと出来上がったオリジナルのパン。

それを店頭に出し売れた時の嬉しそうな姿。

そりゃ、感動して見せていただいたことです。

 

悩んで苦しんで出来上がった一つのパン。

それを手に取り食べる人のなんと幸せそうな顔、顔、顔・・・

その苦労を知っている訳ではありません。

でも、いただいた味そのまんまの顔になっています。

その顔を見つつ、

「よかった~・・・うれしい~・・・」って涙する。

その涙の味を美味しいといただくのです。

 

必ず救う、まかせよ・・・

ブレルことのない真実の親のおはたらき。

長い長いご苦労で思案したてた「南無阿弥陀仏」

 

拘りのない欲望を求めてウロウログルグル・・・

そんな人生の中でやっと出会った「南無阿弥陀仏」

 

「最高に美味しいっす!」

 

阿弥陀ほとけのご苦労は知りませんが・・・

喚ぶ声そのまんまが有難いです。

ウロウログルグルの有様を知らしめ一緒にいてくださることの勿体なさ。

 

パンを食べる人たちの本当に嬉しそうで幸せそうな顔。

見てるこっちも幸せになれるような気がします。

 

よくよくのご縁の中、

会い難いお念仏にやっと触れさせていただいています。

そのひと時を大切にさせていただきたいとおもいます。

 

「最高にしあわせです、コイツ」って・・・

パンを食べるあなたのように・・・