大海原で何も考えずに・・想った・・
あるのは大気と大海原、そして、小さな和船と二人の俄漁師!
おっと、俄漁師は私事で、もう一人はベテランだ・・
教えを請い、釣り糸を垂れた。
師匠の教えはズバリで、釣果は上々・・
太平洋の大海原でのことだ!
朝まだけき晩秋のハーバー。
日の出に向かって、港を出る。沖合10キロをめざす。そこには秘密の岩礁があり、マダイやチダイが良く掛かるという。
まるで素人の私でもはたして釣れるか、はなはだ不確定ではあるが、折角の招待だ。
急遽、船上の人となった。
しばらく港を走り、すぐに外海に出た。外海とは太平洋のことだ。目指すは大海原、見る間に陸地は遠ざかり、先は、水平線が引き裂く茫漠たる空と海ばかり・・。
時折、大型船を垣間見るが、誰も知らないポイントに向かって進む。そう言う場所があるのだ。時折ある岩礁が釣りポイントであるという。そこには魚が集まる。鯛や大物が期待できるというのだ。
一時間も走れば、はるかに陸地を望み、見渡すばかりの大海原。やっぱり、地球は水の惑星だと、あたりまえの感想が実感を持つ。
この日は快晴に近い、絶好の釣り日和。波もほとんど無い。うねりは仕方がないが、それでも昼過ぎには一時、全くの凪の状態になった。海は好きで良く眺めに行くが、太平洋のど真ん中で、こんなにも凪の状態があるとは、正直驚いた。
寒かった朝方に比べて、昼の太陽の降り注ぐ大海原は、凪も手伝ってか、暖かかった。着込んだ上着は2枚も脱いで、釣り三昧に浸った。
釣果は、思いがけずも上々であった。大小合わせて、20匹のマダイやチダイ、それに大物のヘダイが釣れた。大きいもので35センチ以上はあった。
最初は素人向きに、仕掛けを講じてくれて、小物狙い。マアジや小鯛が釣れた。午後からは、師匠を見習って、大物狙い。そうなると歴然たる腕の差が出るが、それでも2匹の大物をゲットした。
師匠のお陰だ。何でも素直に真似するしか方法はないから、愚直に従った。勿論、仕掛けも師匠手作りである。まずはポイントであろう。如何に腕が良くても、魚が居なければ釣果に結びつかない。
そして、
合わせが大事である。小物はバカでも連れるが、大物はその点、警戒心が強く、仕掛けと合わせが重要である。そう感じた。
兎も角、何事も世情を忘れ、自然の中に埋没した瞬間であった。