一昨日ベランダから月を見たとき
ふと手が止まった。
去年のキルギスで
氷河の上にいた夜を思い出した。
@イニルチェク氷河
そのときの寒さとか、氷の音を思い出した。
そういう世界があったことを思い出した。
なんか日常でのわたしと、遠いところにいるわたしが
つながるみたいなの。東京の家のベランダで。月を通して。
世界のあちこちに行ってどこが好き?
と良く質問される。
どこなんだろー、どこも好きです
と、答えるほど、どこも好き。笑
でも、実は氷河の上が一番好きなのかもしれない。
キルギスのテンシャン山脈のふもと、広大なイニルチェク氷河の上を10日間テントで
歩き、泊まる、旅をしたの。去年。
氷河の上を歩くのは
山の中の登山道とは違うし、
雪山の雪の上を歩くのとも違う。
土や石ころも混ざった氷の
複雑で脆くて、安定していないところを
ひたすら冒険するの。道は
ない。
月がひっそり7000mの山影に隠れると
暗闇がさらに深まるの。
@4100m イニルチェク氷河ベースキャンプ
<
写真はすべて@イニルチェク氷河 この山はハン・テングリ7010m
すこしテント場から離れた灯りのないところから
見上げる空の
すごいこと。
流れ星がポロポロ落ちていくの。
なんか宇宙だったんだよね。
そして
水が流れているポコポコいう音や
カラン、と、時々氷が溶けて崩れる音がするの。
それが、満点の星空の下
流れ星の音のように聞こえるの。
左から二つ目のピークが天山山脈最高峰のポベータ7439m
宇宙の中にいるんだなあって思った。
カラン、カラン。と。
*
わたしが思い出す最も宇宙な夜は
このイニルチェク氷河でと、
ペルーのマチュピチュでのとき。
マチュピチュのときは、高山病のお客さんを夜に
スタッフたちと下山させるために歩いて暗い山の中を
下りたとき。
70代のその女性も、おんぶされながら
こんな星空は生まれて初めて見た、といっていた
なんだか銀河がピンク色にかすむほどすごいものだった。
星を見ていなかったら、あとは目がおかしくなるほど
暗闇だった。
*
いや、まだあるな、星空の思い出。笑
中学のときの肝試しのキャンプだわ。笑
たいまつが消えて、生まれて初めて本当の暗闇から
星を見たわ。
*
イニルチェク氷河の星空には
氷の音がついていた。
そういえぱ。
20代の後半の頃、後藤くんという男の子がいてね。
いけめんの。笑。3つくらい年下だったかな。
それがポツリポツリしゃべる子でね。
あるとき一緒にウィスキーバーに行って、
テーブルで向き合って座ってそれぞれ、ウィスキーのロックを
頼んだの。後藤くんは、
グラスを傾けて回しながら
氷の音を聞きつ
そのグラス越しにわたしを見つめてた。笑
そしてほろ酔いな感じで、
氷がきれーー
とか言ってた。氷がカラン、カランて。