草むしりしながら

読書・料理・野菜つくりなど日々の想いをしたためます

草むしりの「幼年時代」その1

2018-11-14 13:46:54 | 草むしりの幼年時代
 老人の日の思い出

 敬老の日が祝日になったのは一九六六年で最初は「寄りの日」。それじゃああんまりだから「老人の日」と呼ばれるようになったそうだ。あれは私が幼稚園の時だった。老人の日に幼稚園で祖父母参観日があった。

 若い頃肋膜を患った祖父はいつも痰の絡んだような咳をしていた。うつしてはいけないという配慮があったのだろう。私が物心ついたときには、祖父は一人で別棟の隠居にいた。

 そのせいか、朝ドラのヒロインや「ちびまる子ちゃん」みたいに、お祖父ちゃんから可愛がられた記憶が無い。だから参観日にはこないと思って、その日は後ろにいる人たちを見ないようにしていた。

 歌やお遊戯が終わった後、最後に自分たちが描いた絵をあげる段になった。みんなが祖父ちゃん祖母ちゃんに向かって走って行ったが、私一人その場に立って俯いていた。

 その時誰かが「〇〇〇、〇〇〇」と私の名前を呼んだ。振り向くと祖父が一張羅の黒い国民服を着て立っていた。驚いたのか嬉しかったのか、私は泣きながら祖父に絵を差した。私の描いた画用紙の中の祖父も、やっぱり黒い国民服を着ていた。

 思い出すと今でも泣き出してしまう、子供の時の思い出である。