0255_神々の戦い(024)裕也の冒険-時の魔法人の門③-
扉が開く。
「ぎぃぃい。ぎぃ。」
--(1)勇気の試練①--
扉を開け、一歩踏み出すと、そこは崖であった。
「ヒュー」
風が吹く。
天空に声が響く。
「ここは、勇気の門である。
お前の勇気を試そう。
崖の中腹に花が咲いてる。
その花を取ってこい。」
確かに中腹に赤い花が咲いていた。
しかし、崖は高く底は深く見えない。
(掴む物は、少しはあるみたいだ。
出っ張りがある。)
若者は、手探りで崖の壁を触ってみた。
そして、そろりと足を崖に降ろす。
出っ張りの岩を探りながら降りていく。
赤い花には、そうとう深くまで下りないと届かない。
「ツルリ」
足を滑らせた。
だが、右手はしっかり岩を掴んでいた。
(ふぅ。命拾いした。)
そうしながら、やっと赤い花に辿り着いた。
赤い花弁(はなびら)は、暖かかった。
そして、真ん中の胚珠(はいしゅ)は、赤い宝石で出来ていた。
若者は、それをもぎ取り手にした。
そして、懐(ふところ)に入れた。
「ゴォォォオオオ!」
すると、掴まっていた岩が沈みだす。
若者は、諦(あきら)め覚悟した。
悲鳴一つ上げない。
静かに崖底に落ちて言った。
(俺は死ぬのか?試練に負けたのか?)
つづく。 次回(時の魔法人の門④)