0304_西の地球と神様の約束(002)裕也の冒険-阿弥陀如来の約束(02)-
--阿弥陀如来(あみだにょうらい)の約束(02)--
裕也は、両膝をつき両手のひらを木彫りの仏像に向かって翳(かざ)した。
「おわしませ」
「出ておわしませ」
「お出になりませ」
と三度、唱えた。
光の粒が仏像の喉(のど)の辺(あた)りから浮いて出た。
そして、等身大の光輝く阿弥陀如来の姿を現した。
「阿弥陀様」裕也は、思わず声がついて出た。
女の子も喜んだ。
「この女の子は、味が分からないと言っています。
どうか治してあげれませんか?」
「うぅぅぅん。 ん。 ん」
阿弥陀様は、少し力を入れてみた。
そして言葉がやっと出た。
「無理みたいですね。
ごめんなさい」
「いいえ」裕也は、すまなさそうに返事した。
「裕也さん。付いて来てください」
そう言って阿弥陀様は、右手を出した。
そして、手を持つように促(うなが)した。
裕也は、その手を握った。
阿弥陀様の後ろに空間が開いた。
そして、裕也を導き溶け込んでゆく。
(阿弥陀様は、俺をどこに連れて行く気だろう?)
目の前に立派な阿弥陀像が現れた。
どこかのお寺らのお堂らしい。
阿弥陀様は、裕也に促(うなが)した。
(阿弥陀様をお出におわすのかな?)
裕也は、さっきの様に両膝をつき、
両の手を翳(かざ)し唱えた。
「おわしませ」
「出ておわしませ」
「お出になりませ」
像の喉の辺りから光の粒が浮き出て来た。
元の場所に別の阿弥陀様を連れて戻ってくる。
女の子は、驚いた。
さっきより立派である。
「味が分かりません。
どうかお治しくださいませ」
新しく連れて来た阿弥陀様は、考えあぐねた。
「うぅぅぅぅ。 ん。 ん。 ん」
「無理な様じゃ」
新しい阿弥陀様の後ろに空間が開いた。
そして、右手を出す。
裕也は、その手に手を乗せた。
そして、また、異空間に消えた。
暫くして、また、新しい阿弥陀様を連れて戻ってきた。
女の子は、今度こそと意気込んでお願いする。
「味が分かりません。
どうかお治しくださいませ」
新しく連れて来た阿弥陀様は、また考えあぐねた。
「うぅぅぅぅ。
ん。 ん。 ん。 ん。 うぅぅ。
ん。 ん。」
「無理な様じゃ」
今度は、阿弥陀様だけで異空間に消えて行った。
どんどん、阿弥陀様が集まってくる。
(日本の信仰心は、凄(すご)い)
「これほど阿弥陀様がおわすとは」
裕也は、驚いた。
「ほんと、会えただけで嬉しい」
女の子は喜んだ。
つづく。 次回(西の地球と神様の約束(003)-阿弥陀如来の約束(03)-)
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