0283_神々の合議(008)裕也の冒険-地獄の業①-
--地獄の業①--
裕也は、小声で「水子ちゃん」と言った。
部屋の隅に明かりが灯る。
「ポッン」
可愛らしいAラインのワンピースを着た女の子が少し宙に浮き座っている。
裕也は、女の子に向き直り、
「閻魔大王に裕也が地獄の行を受けます。
諸天善神と約束しました。
迎えを寄こしてください。
と伝えて来てくれませんか、
お願いします」
と言う。
女の子は、「はい」と一言いって消えた。
暫くして、辺りが曇る。
だんだん暗くなる。
宙が黒い渦を巻き始める。
鈴の音が鳴る。
「チリン。チリン。チリン…」
小さな二人の赤い鬼と青い鬼の影が現れる。
頭に二つの角が生えている。
凄い形相をしている。
(魔物の像と似てる)
そして、徐々に体は大きくなり、
屋敷の天井に着くぐらい大きくなった。、
そして、裕也の目の前に居る。
「お前が、裕也か?」
「はい」
と裕也は、躊躇(ためら)いなく答える。
鬼は、裕也の腕を抑えた。
裕也は、ぐたりと倒れる。
魂と分離したのだ。
そして、
今度は、徐々に体が小さくなり、
部屋に出来た宙の黒い渦に吸い込まれていく。
裕也の魂は、連れていかれた。
後には、裕也の体が倒れている。
鈴が小さく響ている。
「チリン。チリン。チリン…」
会合の案内役の天照の神は、布団を敷き、裕也の体を寝かした。
つづく。 次回(地獄の業②)
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