0251_神々の戦い(020)裕也の冒険-アクストラの星①-
裕也は、黒い壁の前にいた。
(アクストラがいない。)
完全に時空を移動していた。
壁に近づいてみる。
手のひらで触った。
(冷たい。)
ただの岩の壁である。
(次元の歪みはない。)
裕也は、しぶしぶ洞窟を引き返すことにした。
洞窟は、複雑に入り組んでいた。
(分かれ道。そんなものがあったかなぁ?)
行きは、次元移動で一つ飛びしたからか道がわからない。
裕也は、指をかざした。右、そして、左。
(風の流れを感じる。こっちに行ってみよう。)
裕也は、洞窟を進んだ。
奥に向かっているのか、出口に向かっているのか、
それさえ分からなかった。
ただ、風を感じて進んだ。
(あ!灯り。灯りが見える。)
裕也は、喜んだ。この独りぼっちから解放される。
足は自ずと急ぎ足に成った。
(人影が見える。)
近づく。女性と子供である。そして、大勢の姿がある。
裕也は、近づいた。
子供が裕也に気づく。
「あ!アクストラさま。」
母親も裕也に気づいた。
「アクストラさま?少しお顔が違う気がします。」
(アクストラの同名天だから間違われてもしょうがない。
いや、よかった。
白髪だから、間違われるのも無理はない。
どうしよう。
何から説明すればいいのか?)
裕也は、迷っていたが、口を切って言葉を発した。
「私は、裕也と言います。アクストラの分身です。」
「分身?」
洞窟にいた者たちは、裕也に注目していた。
つづく。 次回(アクストラの星②)