闇と光の慈愛のコントラスト(93)新たな時
==第二章、闇と光==
--新たな時(006)解き伏せの儀--
襲(おそ)い掛かる闇のもに向かって、
アクティスは、呪文(じゅもん)を唱えだす。
「ナム ヤミニ オワク ヒソム
ノロイヲ ウケシ ヤカラ
トキヲ トメシ アワレキモノ
イマ シズケサヲ アタエレキカ」
闇の者の動きは止まった。
今度は、歌いだす。
「愛の定めを忘れしか。
愛する家族を求めしか。
故郷の夢を見んか。
呪いを解かん。
血の縁によって、
今は、静かに眠れ。
お眠りなさい」
闇の者は、静かに眠った。
アクティスの声は、透き通っていた。
「サンディア。血の縁をお願い」
サンディアは、指の傷を力を入れ開く。
そして、血を闇の者の口に垂(た)らす。
「ジュワ。ジュゥュァ」
体は、青く光る。
人の姿に変わった。
「うぅぅぅ」
闇の者は、目を薄っすらと開ける。
「正気に戻れたのか?
私は、今まで何をしてたのか?
アクティス様。
アクティス様では、ありませんか?
無事だったのですか?」
目の前にアクティスがいた。
魔族の者は正気を取り戻した。
「レイナ。
良かった。
今は、静かに休みなさい」
アクティスは、レイナを労(ねぎら)う。
レイナは、再び眠りに落ちる。
このまま外に寝かすわけにはいかない。
サンディアとエンビは、レイナを奥に運んだ。
アイリスは、藁(わら)を敷いた。
そして、布を被せて寝かせた。
レイナは、呪いをかけられて以来、
目をギンギンに光らせ興奮し、
狂ったように森を走り叫びさ迷い回っていた。
(よっぽど疲れていたのね)
アイリスは、闇の友を早く救わねばと思った。
つづく。 次回(惑わし光の民)
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